脳科学者の茂木健一郎が自身のYouTubeチャンネルにて、「人工知能の天才と、人間の天才」と題した動画を公開した。Anthropic社のCEOであるダリオ・アモデイ氏のエッセイを引き合いに出し、AIのデータセンター内に「天才たちの国」が誕生する未来像と、その圧倒的な知能に対して人間がいかに対峙していくべきかについて独自の考察を展開した。

茂木氏はまず、アモデイ氏のエッセイ「Machines of Loving Grace」の中で言及された「データセンターの中に天才たちの国ができる」という表現を紹介。AIの能力が飛躍的に向上することで、人類だけでは解決が困難だった難題を克服できる可能性を示唆した。具体例として、がん細胞の増殖や認知症の原因となる複雑なメカニズムの解明、核融合による無限のエネルギーの獲得、さらには大気中のCO2を吸収する新素材の開発などを挙げ、AIの天才たちがこれらを解決に導く明るい未来像を提示した。さらに、科学技術だけでなく、モーツァルトやダ・ヴィンチのような芸術や文学の天才もAIから誕生する可能性があると語る。

このようなAIの圧倒的な進化を支える根拠として、計算量やデータ量が増加するほど能力が発展していく「スケール仮説」を挙げた。では、この「天才たちの国」に対して人間はどのような役割を果たすべきなのか。茂木氏は「人間側も天才にならないとアラインメントできない」と指摘する。

そして、人間の天才性について「遺伝と環境だけでなく、ネットワークの性質が大きく関わっている」と説明する。イーロン・マスク氏のような突出した才能は、70億人という膨大な人口の集団が存在するからこそ生まれるのであり、人間の天才性の発露もまた一種のスケール仮説で説明できると主張した。

結論として、AIの天才ネットワークとバランスを取りながらアラインメントしていくためには、人類が全体として互いに協力し合い、「人間の天才」のクラスターを生み出し続ける必要があると強調。AIの進化を単に恐れるのではなく、人類全体の知のネットワークを拡張していくことが、AI時代を生き抜く最大の鍵であると結論付けた。

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