医療従事者向けに作られたAI「OpenEvidence」に長年悩まされている症状について相談してみた

「OpenEvidence」は医療従事者向けにゼロから構築された医療AI・臨床意思決定支援プラットフォームで、臨床上の疑問に対して医学論文やガイドラインなどのエビデンスに基づく回答を得るために使われるサービスです。今回は、医療従事者でない一般人からの相談にも分かりやすく答えてくれるのかどうかを確かめるため、実際に編集部員が悩まされている症状について相談してみました。
https://www.openevidence.com/
Most U.S. doctors are quietly using this AI tool. Few patients know about it. - NBC News
https://www.nbcnews.com/tech/tech-news/openevidence-ai-doctor-medical-physician-login-app-what-npi-uptodate-rcna341064
アメリカの大手報道機関であるNBC Newsによると、OpenEvidenceはアメリカの医師の約65%に使われており、臨床判断や医学知識の確認・資格試験の準備などに使うツールとして広がっているとのこと。OpenEvidenceの月間利用件数は2024年12月時点で260万件でしたが、2026年4月時点では2700万件まで増加しています。

OpenEvidenceのトップページはこんな感じ。中央に質問入力欄があります。

まずは特に細かな条件を付けず、「夜以外に眠くなったり、昼寝をしたりすると頭痛が出ます。長く寝ているわけではなく、うとうとするだけでも頭が痛くなることがあります。原因としてどのようなものが考えられますか?」と質問文を入力して「>」ボタンをクリックして送信。

すると、OpenEvidenceは日本語で回答を生成しました。回答の冒頭では「昼寝や日中のうとうとで頭痛が誘発される症状には、いくつかの原因が考えられます」とした上で、「最も可能性が高い診断」と「見逃してはいけない診断」に分けて候補を提示。最も可能性が高い診断として挙げられたのは、片頭痛・緊張型頭痛・睡眠時無呼吸症候群関連頭痛・頸性頭痛・睡眠時頭痛などでした。OpenEvidenceは「昼寝」や「うとうと」という日常的な言葉から、睡眠パターンの変化・睡眠の質・姿勢・睡眠中の呼吸状態などを原因の候補として整理しました。

一方で見逃してはいけない診断として、脳腫瘍や頭蓋内占拠性病変・特発性頭蓋内圧亢進症・頭蓋内出血・脳静脈洞血栓症なども挙げられました。

さらに、推奨される次のステップとして詳細な病歴聴取・身体診察・初期検査が提案されました。また、突然発症の激しい頭痛・進行性の頭痛パターンの変化・神経学的異常所見・乳頭浮腫・50歳以上での新規発症などがある場合、緊急の検査や専門医への紹介が必要とのこと。

また、追加の確認事項として「この患者さんについて、頭痛の具体的な性状(片側性か両側性か、痛みの種類)、いびきや日中の眠気の有無、昼寝時の姿勢、頸部症状の有無など、追加情報があれば診断の絞り込みに役立ちます。また、これまでに行われた検査や治療があれば教えていただけますか?」と聞かれました。OpenEvidenceは医療従事者向けに作られているため、何も指示しない場合「患者本人ではなく、医療従事者が患者のことについて質問している」という想定で回答されます。

回答の末尾には参照した医学論文やレビューの一覧が表示されました。

なお、OpenEvidenceには効果的な質問文の作り方をまとめた公式ガイドがあります。公式ガイドでは、質問を具体的にすること・回答形式を指定すること・知りたい結果を明確にすること・回答範囲を設定すること・さまざまな質問を試すことが推奨されています。
最初の回答は医学文献ベースで詳しい一方、一般人が理解するには専門的な用語が含まれていました。そこで、次は「自分が医療従事者ではない患者本人であること」を伝えた上で、頭痛の場所・痛み方・昼寝時の状態・首や肩こり・いびき・日中の眠気などの情報を追加入力してみることにしました。
OpenEvidenceからの回答の最下部には入力欄があるため、そこに追加の質問や情報を入力して右側の「↑」ボタンをクリックして送信すればOK。今回送信した内容は「私は医療従事者ではないので、専門的な用語をなるべく使わずに説明してください。頭痛は両側のこめかみから頭全体にかけて出ることが多く、締め付けられるような痛みの時と、軽くズキズキする時があります。痛みは中等度くらいで、突然激痛になることはありません。昼寝の仕方はいろいろで、ベッドで寝ることもあれば、ソファやイスでうとうとすることもあり、どの寝方でも頭痛が起こります。首や肩こりの自覚症状はありません。いびきは花粉が多くなる春には酷くなりますが、それ以外の時期はかいていません。日中の眠気はあります。これまでに検査や治療は受けていません」というもの。

すると、OpenEvidenceの回答がかなり一般人向けになりました。OpenEvidenceは緊張型頭痛が最も可能性が高いとしつつ、片頭痛や睡眠時無呼吸症候群も考えられると回答。睡眠時無呼吸症候群については「睡眠中に呼吸が止まったり浅くなったりすることで睡眠の質が悪くなり、日中の眠気や頭痛が起こることがある」と説明してくれました。朝の頭痛が典型的だとしつつも、睡眠の質が悪いことで昼寝後にも頭痛が起こる可能性があるとのこと。また、「見逃してはいけない原因」として可能性は低いものの脳腫瘍などの脳の病気や、頭の中の圧力が高くなる特発性頭蓋内圧亢進症の可能性にも触れました。

医療機関を受診してまず確認すべきこととしては、目の奥の検査や睡眠時無呼吸症候群のスクリーニングを提案されました。また、頭痛日記や睡眠日記をつけておくと役に立つというアドバイスがもらえました。

さらにOpenEvidenceから頭痛の頻度や体重・視力の変化、耳鳴りの有無について質問してきたため「頭痛は日中に眠くなると毎回起こるのでほぼ毎日です。体重の大きな増減や視力の変化はありません。ただ、耳鳴りは2〜3日に1回程度感じます」と追加情報を送信。

すると、OpenEvidenceは睡眠時無呼吸症候群の可能性が高くなったと判断しました。日中の眠気がほぼ毎日あり、眠くなるたびに頭痛が起こること・耳鳴りがあることは睡眠時無呼吸症候群の特徴と一致するそうです。

睡眠時無呼吸症候群を見分ける方法に関する表も表示されました。OpenEvidenceは回答中で文章による説明を行うだけでなく、関連する医学文献の図表を「Relevant images」として表示することがあります。

さらにOpenEvidenceは、耳鳴りが「ドクドク」と脈拍に合わせて聞こえるタイプなのか、「キーン」という高い音が聞こえるタイプなのか、頭痛薬を月に何日くらい使っているのかを確認してきました。

そこで、OpenEvidenceからの質問に回答する形で「耳鳴りは脈拍に合わせてドクドクする感じではなく、キーンという高い音が短時間出ることがあります。頭痛薬は月に2〜3日程度で、毎回は使っていません。まず何科を受診するのがよいですか?また、医師に伝えるために記録しておくとよいことを教えてください」と送信。

OpenEvidenceは、まず内科・一般内科、またはかかりつけ医への受診を勧めてくれました。内科医が頭痛の問診や身体診察・目の奥の検査・睡眠時無呼吸症候群のスクリーニングを行い、必要に応じて神経内科や睡眠専門医へ紹介するという流れのようです。

医師に伝えるために記録しておくとよい内容としてはまず頭痛日記と睡眠日記が挙げられ、頭痛が起こった時間帯・持続時間・痛みの強さ・痛みの場所・薬の使用状況に加え、就寝時刻・起床時刻・昼寝の時間・日中の眠気の程度などを1〜2週間分記録するとよいと説明されました。

さらに睡眠時無呼吸症候群に関する情報として、いびきの頻度や大きさ・睡眠中に呼吸が止まっていると指摘されたことがあるか・夜間に息苦しくて目が覚めることがあるか・朝起きた時の頭痛があるかなども記録しておくと診察に役立つとのこと。

「頭痛日記と睡眠日記をつける場合、スマートフォンのメモに書きやすい形で、毎日記録する項目のテンプレートを作ってください。できるだけ簡単に続けられる形にしてください」と頼んでみたところ、スマートフォンのメモアプリにコピーして使える「頭痛・睡眠日記テンプレート」が作成されました。

さらにテンプレートを出すだけでなく「毎朝の記録」「頭痛が起きた時」「記録を続けるコツ」「医師に見せる時」のポイントも説明してくれました。1〜2週間分の記録があれば医師が診断や治療方針を立てるのに十分役立つそうです。

続いて「受診までの間に、日中の眠気や昼寝後の頭痛を減らすために日常生活でできる工夫はありますか?」と聞いてみたところ、睡眠習慣の改善・昼寝の工夫・カフェインの管理などが提案されました。昼寝については20分以内の短時間にすること・午後3時より前に済ませること・睡眠の問題がある場合は昼寝を避けることなどが挙げられています。

さらに、アルコールの制限・食事のタイミング・睡眠環境の整備・運動習慣・ストレス管理なども提案されました。「日常生活でできる工夫」という指定に沿う形で、提案の内容は「薬を増やす」などではなく日常生活でできる範囲に絞られています。

一方で「これらの工夫は補助的なものであり、医療機関での診察と検査の代わりにはなりません」と明記されており、毎日頭痛があり日中の眠気が強い場合は、睡眠時無呼吸症候群などの治療が必要な病気の可能性があるため、必ず医療機関を受診するよう勧めてきました。

今回提案された日常生活でできる工夫はほとんどがすでに実施済みの内容だったので、「生活習慣についてはすでにできているものが多い」と伝え、昼寝は20分以内・カフェインやアルコールは取っていない・食事は規則正しい・夜中に目が覚めることはない・タバコは吸っていないといった情報を追加送信。

するとOpenEvidenceは、最優先で確認すべき原因として睡眠時無呼吸症候群を挙げました。日中の眠気が強いこと・眠気に伴って頭痛が起こること・春にいびきが悪化することから、花粉症による鼻づまりが睡眠中の呼吸に影響している可能性があるとのこと。また、夜中にトイレで起きないことは睡眠時無呼吸症候群を否定する材料にはならないと説明しました。

一方で耳鳴りがあることから、頭の中の圧力が高くなる特発性頭蓋内圧亢進症も確認すべき候補として挙げられました。ただし、耳鳴りが脈拍に合わせたものではないこと・体重や視力に大きな変化がないことから可能性は低めとのこと。さらに、日中の眠気が非常に強い場合はナルコレプシーや特発性過眠症といった中枢性過眠症も考慮すべきだとして、睡眠ポリグラフ検査や反復睡眠潜時検査が必要になる可能性にも触れました。

症状からして最も疑わしいのは睡眠時無呼吸症候群とのことで、「睡眠中の様子について、一緒に寝ている方から情報を得ることはできますか?」とOpenEvidenceから質問がありました。

そこで、家族から「春に鼻づまりがある時期はいびきが目立つ」と聞いたことや、呼吸が止まっていると指摘されたことはないこと・寝ている間にむせたり息苦しくて起きたりすることがないこと・朝起きた直後の頭痛は全くなくいつもすっきり目覚めることを回答し、「受診時にどう伝えればよいか?」「睡眠時無呼吸症候群の検査を希望すると伝えてよいのか?」と質問しました。

OpenEvidenceはまず受診時の説明の仕方として「最も困っている症状から伝える」ことを提案してくれました。具体的には「日中の眠気が非常に強く仕事の効率が落ちて困っています。眠くなったりうとうとしたりするとほぼ毎日頭痛が起こります」と最初に伝え、その後に頭痛の特徴・睡眠に関する情報・耳鳴りや生活習慣などその他の情報を順番に説明すると、医師が診断しやすくなるとのこと。

続いて、「睡眠時無呼吸症候群の検査を希望してよいのか?」という質問については「はい、検査を希望すると伝えて全く問題ありません」と回答。睡眠時無呼吸症候群は診断されにくい病気で、無呼吸を指摘されたことや朝の頭痛がなくても可能性は残るとして、「睡眠時無呼吸症候群の可能性があるのではないかと心配しています。睡眠検査を受けることは可能でしょうか?」と医師に伝える例文まで示してくれました。

また、OpenEvidenceは「朝の頭痛がない」「日中の眠気に関連した頭痛」など睡眠時無呼吸症候群の典型例とは違う点も挙げ、片頭痛や緊張型頭痛と睡眠障害の組み合わせ、中枢性過眠症などの可能性を補足。さらに、医師が行う評価としては睡眠習慣や日中の眠気・頭痛の特徴についての詳しい問診・睡眠時無呼吸症候群のリスクを評価する質問票・体重や首回り・口の中の状態・血圧などの確認が挙げられました。受診時には頭痛日記と睡眠日記・症状をまとめたメモ・家族から聞いた睡眠中の様子を持参するとよいとのこと。

そして、ここでOpenEvidenceは「最後に」という見出しを付けて一連のやり取りをまとめに入りました。「睡眠時無呼吸症候群は目撃された無呼吸や朝の頭痛がなくても診断される可能性があり、強い日中の眠気・季節性のいびき・日中の頭痛がある場合は睡眠障害の評価を受ける理由になる」と説明し、その上で「医師に遠慮せず睡眠検査を受けたいと伝えてください。医師はあなたの症状を総合的に評価し、適切な検査や治療を提案してくれます。睡眠障害が見つかり、適切に治療されれば、日中の眠気と頭痛の両方が改善する可能性が高いです。受診するまでは頭痛日記と睡眠日記を続けてください」とまとめています。

「受診の準備について、他に質問はありますか?」と聞かれたので、最後にこれまでの内容を病院の受付や医師に見せられる短いメモとしてまとめるよう頼んでみました。

すると、OpenEvidenceは「最も困っている症状」「頭痛の特徴」「日中の眠気」「睡眠に関する情報」「その他の症状」「生活習慣」「相談したいこと」「記録について」を整理した受診用メモを作成しました。メモの冒頭には「日中の眠気が非常に強く仕事の効率が落ちて困っています。眠くなったりうとうとしたりするとほぼ毎日頭痛が起こります」という最も困っている症状が記載されています。

続いて、頭痛の場所や痛み方・朝の頭痛の有無・頭痛薬の使用頻度・日中の眠気・昼寝の状況・いびきや呼吸停止の指摘の有無などが整理されました。

さらに、耳鳴り・体重や視力の変化・すでに実践している生活習慣・睡眠検査を受けられるか相談したいこと・頭痛日記と睡眠日記を持参することなども受診時に見せやすい形でまとめられています。

OpenEvidenceはこのメモの使い方として、受付にコピーを渡す・診察室で見ながら説明する・スマートフォンに保存して医師に見せるという方法を提案してくれました。

インターネットで自分の症状を検索したりチャットAIに医療に関するアドバイスを求めたりすると、信頼性の低い情報も出てくるため、「本当に自分はこの病気なのか?」「本当にこの症状でこの科を受診していいのか?」と信じ切れず、結局医療機関の受診に踏み切れないということがありますが、OpenEvidenceはどの医学論文やレビューを情報源にしたかを回答の中に表示してくれるので、「病院に行くかどうか」「どの病院に行くか」の決定にとても役立つと感じました。
さらに最初の質問に対して病名候補を返して終わりではなく、追加質問を重ねることでどんどん具体的な提案や情報を得ることができ、希望すれば記録しておくべき内容のテンプレート作成や医療機関を受診するための準備までできてしまうというのはとても便利。基本的に医療従事者向けに作られたAIですが、「医療従事者ではないので専門的な用語をなるべく使わずに」と伝えると回答の詳しさを一般人向けに調整してくれるのはうれしいポイントです。
なお、OpenEvidenceはApp StoreとGoogle Playでもアプリが配布されていますが、実際にiOS版アプリをインストールして開いてみると、すぐにサインアップもしくはログインを求められました。そして、サインアップ手続きには医療従事者である資格確認が必要で、例えば医師や歯科医師であれば「医籍登録番号」、薬剤師であれば「薬剤師名簿登録番号」、看護師などであれば各国家資格の登録番号が確認できる証明書の画像をアップロードしないとOpenEvidenceのアカウントを作成することはできません。
今回ブラウザ版で試した範囲ではアカウント登録や医療従事者確認を行わなくても質問できましたが、未ログイン状態で利用できるのが正式な仕様なのか、試験的に開放されているものなのかは不明です。
