記事のポイントスターバックスは高タンパクフードと新ベンダー導入で健康志向需要を取り込んでいる食品に加えファッションやエンタメ連携を広げ、来店目的のある店舗体験を強化している限定コラボレーションとアプリ活用により、ロイヤルティ向上と客単価拡大を狙っている
スターバックス(Starbucks)は1月5日、2026年のウィンターメニューを発表した。そこには、アイス・ドバイ・チョコレート・モカのように、CPG(消費財)分野のさまざまなトレンドから着想を得たドリンクが含まれている。同時にスターバックスは、高タンパクブームを取り込むため、新たに2つのベンダーブランドの商品を取り扱うことも発表した。クロエ・カーダシアンが立ち上げたクラウド(Khloud)のポップコーンと、エレノス(Ellenos)のギリシャヨーグルトだ。これは、スターバックスが業績回復をめざすなかで、他ブランドとの提携を強化している動きの一例にすぎない。

業績回復に向け、フード分野でブランド提携を拡大

フード分野では、商品ラインアップの隙間を埋めるとともに、より健康的な選択肢や、高タンパクな調合飲料といったトレンド商品への需要増加に応えるため、ヘルシー志向のブランドとの取引を増やしている。また、来店客数を増やすためにエンターテイメント分野との提携にも力を入れており、年明け直前には、スターバックスがスポンサーも務める、クリエイターのミスタービースト(MrBeast)によるAmazonのコンペティション番組のシーズン2を祝う新ドリンクを発表した。同時に同社は、ファッションやビューティー分野とのコラボレーションを通じて、ライフスタイルリーダーとしての地位を取り戻すことも狙っている。

ファッション・ビューティー連携でライフスタイルブランド回帰も狙う

たとえば2025年9月には、ニューヨーク・ファッション・ウィークの期間中に、デザイナーのザック・ポーゼン氏と提携した。スターバックスはまた、マーチャンダイズ分野でも前進を続けている。2025年には、アパレルブランドのファーム・リオ(Farm Rio)やローラー・ラビット(Roller Rabbit)との限定コレクションを含む、複数のファッションおよびライフスタイルのコラボレーションを展開した。さらに昨秋には、ハローキティ(Hello Kitty)とのマーチャンダイズコレクションも発表している。

ハローキティとのマーチャンダイズコレクション

こうした継続的に新しさを提供する商品コラボレーションとブランド提携を打ち出す戦略は、CEOのブライアン・ニコル氏のもとで進められている「Back to Starbucks 〜原点回帰〜」計画の一環である。

「Back to Starbucks」戦略の中核にある継続的コラボ展開

一方でカーダシアン氏は、スターバックスとクラウドの新たな提携を、自身の高タンパク志向のシークレットメニュー注文を披露することでPRしている。その内容は、現在スターバックス店舗で購入できるクラウドのスイート&ソルティ・ケトルコーンと、アイス・バニラ・プロテイン・ラテを組み合わせたもので、合計47グラムのタンパク質を含む。「カルチャーとの関連性は、これまで以上に重要になっている」と、スターバックスの広報担当者は声明で述べた。「Back to Starbucksに立ち返り、ブランドの魂に再び火を灯す取り組みを進めるなかで、我々は顧客を本当にワクワクさせるカルチャーの瞬間やパートナーシップに注力している。これらはスポーツや音楽から、ファッション、ビューティーに至るまで、文化の幅広い領域におよび、我々がサービスを提供するコミュニティの多様な情熱を反映している」。

ポップカルチャーを取り込み「居心地のよい店舗体験」を再構築

こうした数多くの提携に共通する軸は、スターバックスが、歴史的に店舗が持ってきた「居心地のよい空間」を再現しようとしている点にある。その一環として、ポップカルチャーの瞬間を取り込んでいる。10月には、テイラー・スウィフトのアルバム『ザ・ライフ・オブ・ア・ショーガール(The Life of a Showgirl)』のリリースを記念し、リスニングパーティーやドリンクのプレゼント企画を通じてファンの祝福を支援した。またスターバックスは、2028年ロサンゼルス五輪・パラリンピックのチームUSA大会およびチームUSAのスポンサーでもある。さらに、こうした提携を拡大するため、同社は最近、エルフ・コスメティクス(E.l.f. Cosmetics)の元幹部であるネイヴ・トレダノ氏を、新たなファッションおよびビューティー担当のシニア・マーケティング・マネージャーとして採用したと、Modern Retailが以前報じている。

統合型コーブランド施策は来店頻度とロイヤルティを高めるか

現在、業界アナリストたちは、こうした統合型のコーブランド体験が、スターバックスにおけるロイヤルティやリピート購入をどのように促進するのかを注視している。直近の会計四半期における北米の既存店売上高は横ばいだった。ガートナー(Gartner)のシニアディレクターアナリストであるカサンドラ・ソチャ氏は、スターバックスについて「顧客を呼び戻すための道筋は、単に通り過ぎる場所ではなく、訪れる目的地として店舗を再活性化させることだと、同社は明確にしている」と述べた。ハローキティやファーム・リオによる限定マーチャンダイズ、クラウドのプロテイン・ポップコーンといった、拡大する店内提携は、この目標と一致している。加えてスターバックスは、人気のリワードプログラムやアプリを活用してパートナーブランドを訴求し、店舗全体での顧客支出を押し上げることもできる。

協業ブランドにとっては「話題性×大量接点」が最大の魅力

スターバックスと協業するブランド側にとっての魅力のひとつは、より幅広いオーディエンスにリーチできる点にある。2025年、プリント柄のパジャマセットで知られるD2Cブランドのローラー・ラビットは、スターバックス向けに、同ブランドでもっとも人気のある柄をあしらったカップやマグを含むホリデーコレクションを発表した。これらの商品はスターバックス店舗限定で販売され、完売前に手に入れようと、ファンが地元店舗を探し回る動きも見られた。「スターバックスはパートナーシップに不慣れなわけではないが、話題性のあるブランドによる限定商品を棚に並べることに注力している点は、来店客数を押し上げる要因になるだろう」とソチャ氏は述べている。「商品やマーケティングを再構築するなかで、スターバックスが顧客の時代精神に耳を傾けていることは明らかだ」。[原文:Starbucks is kicking off 2026 with more brand partnerships]Gabriela Barkho(翻訳、編集:藏西隆介)