2026年のマンション市場はどうなる?(voyata/Shutterstock.com)

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 愛知万博を上回る2500万人超の一般来場者数を集めた大阪・関西万博の開催、トランプ関税によるショック、日本初の女性総理大臣となる高市政権誕生など様々な出来事があった2025年。日経平均株価は、初めて5万円を超え、都心のマンション価格は大きく上昇した。その一方、米価格の上昇など消費者物価指数は高い伸びを示し、政策金利は日銀金融政策決定会合で年2回引き上げられ0.75%に。これからの不動産市場にも影響を与えそうだ。不動産コンサルタント・岡本郁雄氏に2026年のマンション市場の展望について聞いた。

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2025年度上半期の首都圏新築マンション価格は19.3%上昇

 2025年は、新築・中古ともにマンション価格が大きく上昇した年だった。不動産経済研究所発表の2025年度上半期(4〜9月)の首都圏新築分譲マンション平均価格は、前年同期の7953万円から19.3%アップの9489万円で、年間で1536万円のアップ。

2026年のマンション市場はどうなる?(voyata/Shutterstock.com)

 東京23区の新築分譲マンション価格は、1億3309万円で一般家庭にはとても手が届かない価格になった。また、首都圏3県の新築分譲マンション価格も上昇し、神奈川県が7838万円、埼玉県が6598万円、千葉県が5943万円となった。東京23区と比べると価格は安いが、神奈川県、埼玉県で契約率が60%を下回るなど、地域によっては売れ行きが鈍化しており、一部のエリアでは値下げ物件も出てきている。

 次に、中古マンションを見てみたい。東日本レインズ発表の2025年11月度マーケットウォッチによれば、首都圏の2025年11月度中古マンション成約平均価格は、前年同月比3.6%上昇の5204万円。東京23区は、前年同月比10.1%上昇の7555万円と高い伸びを示している。

 一方で、首都圏3県の成約平均価格は、神奈川県が3893万円、埼玉県が3014万円、千葉県が3015万円と、依然として値ごろ感があり、成約件数が大幅に増加している。

 賃料も上昇傾向が続く。LIFULL HOME'S(ライフルホームズ)発表の2025年11月度マーケットレポートによれば、東京23区のファミリー向け賃貸は、東京23区では前年同月比14.5%上昇し、24万4579円と過去最高を更新している。

 マンション価格の高騰や募集賃料の上昇で住み替えを控える動きもあり更新時に賃料が上がるケースも目立つ。保守・メンテナンス費用の上昇や管理費・修繕積立金の引き上げなど貸主側の事情もあり賃料相場の上昇は、今後も続きそうだ。

最高倍率139倍のタワマンも

 次に、商品企画について見てみたい。2025年4月より、原則すべての新築住宅・非住宅に省エネ基準への適合が義務化された。マンションでは、「ZEH-M Oriented」仕様のものが目立つが断熱性や省エネ性が高まる一方で、建築費の上昇にもつながっている。

 2027年4月には、この基準をさらに上回る「GX ZEH-M」が導入される見込みで、求められる性能基準が高まることで建築費がさらにアップするという。原価ベースでは、新築マンション価格上昇は、これからも避けられないかもしれない。

 商品ラインアップで、注目を集めたのが都心のタワーマンションだ。「リビオタワー品川」は、JR「品川」駅から徒歩13分の地上34階建て・総戸数815戸の超高層大規模タワーマンション。

 スカイラウンジ、フィットネスジム、ゴルフレンジなどスケールメリットを活かした多彩な共用施設が魅力で、2025年春に行なわれた第1期1次221戸の販売では、最高倍率139倍、平均倍率は約12倍で即日完売した。他にもブランズタワー大崎など希少立地のタワーマンションは、好調な売れ行きを示す。

 都心の新築分譲マンションに人気が集まるなかで、価格高騰の一因ともなる短期転売による投機的な動きの懸念も。7月には、千代田区が一般社団法人不動産協会に対し区内の投機目的でのマンション取引等に関する要請を実施した。

 一般社団法人不動産協会は、11月に登録・購入戸数の上限制限、契約・登記等名義の厳格化、引き渡しまでの売却活動禁止を基軸とした対策を順次展開すると回答。既に一部のマンションでは、引き渡し前の売却活動が禁止された。こうした動きが広がり投機的な取引が抑制されることを期待したい。

中古マンション市場の「気になるデータ」

 2026年は、マンション市場にとってどんな年になるのだろうか。いちばん懸念されるのは、政策金利引き上げによる不動産市場への影響だ。

 今までは、住宅ローン控除が活用できれば金利の低い変動金利なら、実質的な金利負担は小さかった。今後さらに政策金利が引き上げられれば、購入予算にも影響が出るだろう。首都圏新築分譲マンションの2025年11月度の初月契約率は、60.2%と好不調の目安となる70%を大きく下回る。

 2025年11月度建築着工統計調査報告によれば、4月以降首都圏のマンション着工戸数の減少が見られ、供給戸数の増加は、期待しにくい状況だ。

 逆に、値ごろ感のある中古マンションには注目が集まりそうだ。2025年11月の首都圏中古マンションの在庫件数は、前年同月比−5.5%の4万3156件と4カ月連続で減少している。

 成約件数も前年比で大幅に伸ばしており、月間の成約件数では新築マンションを大きく上回っている。値ごろ感のある神奈川県、埼玉県、千葉県の成約数の伸びが大きい。インフレによる物価上昇で家計の費用負担は増えており、生活防衛的な側面もあるのだろう。

 中古マンション市場では、気になるデータもある。一部の地域で、新規の中古マンション売出し価格と成約価格の乖離が大きくなっているのだ。東京都が該当し、2025年11月度の成約平均価格が6930万円であるのに対し同月に新規に登録された中古マンションの平均価格は、8346万円で約17%程度もの乖離がある。因みに埼玉県、千葉県、神奈川県は、成約平均価格を新規登録平均価格が下回っている。

 都心3区(千代田区、中央区、港区)に限れば、2025年11月度の新規登録平均価格が前年同月比35.1%の上昇の2億219万円。いっぽう成約平均価格は、1億3333万円で34%も成約価格が低い。マンションごとの個別性が強いことやリノベーション物件が多いことも乖離の理由と考えられるが、都心で中古物件を選ぶ際は、しっかりした相場観を持つことが重要だろう。

2026年の狙い目マンションは?

 12月19日に発表された2026年度税制改正大綱では、中古住宅取得への支援が拡充された。例えば、ZEH水準省エネ住宅で50平方メートル超かつ子育て等世帯であれば、借入限度額4500万円、控除期間は13年となり最大控除額は、409.5万円となる。一定の要件を満たす「買取再販住宅」も支援が拡充されており新築マンションの供給が限られる中で、中古マンションに目が向きそうだ。

 インフレによる金利上昇局面で、留意すべきなのは住宅の賃料も上昇する可能性が高いということ。賃貸派が増えることで、良質な賃貸住宅の需要が高まれば2026年も賃料が上昇する可能性が高い。

 今は、新築マンションも中古マンションも物件数は豊富で、十分選べる環境だ。赤羽駅徒歩4分、総戸数550戸の「ザ・パークハウス 赤羽台タワー&レジデンス」など注目プロジェクトの新規供給も控えている。値頃感ある新築マンションの供給がさらに難しくなることを踏まえると、2026年は買い時と言えるのではなかろうか。

 2026年4月以降、借入限度額の引き上げが発表されたフラット35では、子供の人数に応じて当初5年間の金利を引き下げる「フラット35子育てプラス」がある。例えば、子供2人なら当初5年間0.5%金利が引き下げられる。

 金利上昇局面で住宅ローンの選択は、悩ましいところだが、こうした制度も検討してみてはどうだろう。魅力的なマンションを予算内で見つけるのは容易ではないが、家族にとって価値ある住まいを見つけてほしい。

岡本郁雄(おかもと・いくお)
不動産コンサルタント及びFPとして、講演、執筆など幅広く活躍中。TV・雑誌など様々なメディアに出演、WEBメディア「街とマンションのトレンド情報局」も運営している。30年以上、不動産領域の仕事に関わり首都圏中心に延べ3000件以上のマンション・戸建てを見学するなど不動産市場に詳しい。岡山県倉敷市生まれ、神戸大学工学部卒。

デイリー新潮編集部