【アニメ大先生】『ガンダムW』色褪せないメッセージが熱い!30年目の“エンドレスワルツ”
本コラム『アニメ大先生』は、「人生で大切なことはすべてアニメが教えてくれる」をテーマに、アニメを通じて得られる学びや気づきを綴る連載である。
第8回となる今回は、”アニメ愛”全開のアナウンサー・八木美佐子が5度目の登場。今回取り上げるのは、今年30周年を迎えた『新機動戦記ガンダムW』。彼女の熱すぎる語りに、今回もご注目。
『ガンダムW』の色褪せないメッセージが熱い!30年目の”エンドレスワルツ”
アナウンサーという職業柄、社交的でありたいと思ってはいるのですが、現実はそう甘くありません。プライベートで初対面の人と気軽に会話をするのは、正直あまり得意ではないのです。世間話といえば天気が定番ですが、そこから話を広げるのは至難の業。そんな場面で登場するのが、この切り札です。
――「ガンダム作品は、何を最初に観ましたか?」
成功率はおよそ三割五分……低いでしょうか。プロとして、いつかは会話のホームラン王になりたいものです。
この問いかけは諸刃の剣ではありますが、相手の世代や思い出を自然に引き出してくれる力があります。初代、Z、W、SEED、00、鉄血など……その答えからは、世代だけでなく、青春の温度まで伝わってくるのです。そこから会話が思い出話に広がれば大成功! まさに万能の一言ですが、大きく空振りすることもあるので、見極めが必要です。
私自身の入り口は、中学生の頃に出会った「裸踊りをするシャア」でした。叔父の本棚で偶然見つけたパロディコミックス『機動戦士ガンダムさん』がきっかけです。その後、リアルタイムで『ガンダム00』を観ながら宇宙世紀シリーズを追いかけ、本家シャアのカリスマ性に衝撃を受けたことは言うまでもありません。
さて、裸踊りのシャアを持ち出したのは、”ダンス”の話につなげたかったからです。
エンドレスワルツ――
先日、放送30周年を記念して上映された『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz 特別篇』Dolby Cinemaを観に行ってきました。私はリアルタイム世代ではありませんが、節目の年にこの作品をスクリーンで観ることができて、とても嬉しく思いました。とりわけ印象深いOVAのエピソード、そして個人的に好きなモビルスーツ〈ウイングゼロ〉を大画面で観られたことは、格別の体験でした。
「エンドレスワルツ」とは、三拍子の舞踏曲が続くように、歴史もまた「戦争・平和・革命」という三つの拍で巡り続ける――と本編で語られます。戦いが終わっても、やがて平和の後に革命が芽吹き、再び戦火が落ちてしまう。その連鎖に向き合う人の姿を描いた物語です。
『新機動戦記ガンダムW』は、ガンダムシリーズが一貫して描く「戦争」というテーマをさらに掘り下げ、5人の少年パイロットそれぞれの信念が物語に厚みを与えています。
重厚な題材でありながら、予想を超えるキャラクターの言動もまた魅力です。真面目なストーリーの中、不意に放たれる台詞が胸にグッと迫るのです。
とりわけ第1話のクライマックスで、主人公ヒイロがヒロインに向かって囁く”殺し文句”――「お前を殺す」は、強烈なインパクトを残しました。いきなりの出来事にヒロインは思わず「何なのこの人……」と唖然としますが、視聴者の私も同じ気持ちでした。これが若さか……と別のシリーズのキャラの台詞をお借りします。
では、この言葉はどういう意味を持つのでしょうか。夏目漱石が「I love you」を「月が綺麗ですね」と訳した逸話のように、言葉には直訳を超えた解釈が与えられることがあります。さらに、大ヒット曲ではブレーキランプの五回点滅が”アイシテル”のサインとして歌われ、日本語には意訳文化があるのです。美しい日本語として「お前を殺す」を捉えると、単なる脅迫にとどまらず別の感情を帯びているのかもしれません。もちろん、純度の高い暴言の可能性も大いにあります。(自信は切り札の成功率より低め)ただ、オタク的解釈や考察を展開してみたくなる一言に違いありません。言葉とは奥深いですね。
加えて「エンドレスワルツ」というタイトルの意味づけをはじめ、作品全体に漂う言葉選びの妙も、この作品の大きな魅力です。10月以降には再上映も予定されているので、ぜひ第1話から体感してみてください。
今もなおそのワルツの旋律の中で、年月を経ても色褪せない言葉たちが深い余韻へと誘います。
『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz』は、繰り返される歴史の中で、人は何を選ぶべきなのかを問いかける作品です。
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