アメリカ企業SpaceX(スペースX)は日本時間2025年8月16日、同社が開発中の新型ロケット「Starship(スターシップ)」による無人での第10回飛行試験に向けて準備を進めていると発表しました。


直近のStarship打ち上げ目標日時は、日本時間2025年8月27日8時30分(アメリカ中部夏時間2025年8月26日18時30分)です。当初は日本時間2025年8月25日に予定されていましたが、地上システムのトラブルや天候条件が理由で2日続けて延期されています。


Starshipとは?

【▲ 2025年5月の第9回飛行試験で打ち上げられたSpaceXの新型ロケット「Starship(スターシップ)」(Credit: SpaceX)】

Starshipは1段目の大型ロケット「Super Heavy(スーパーヘビー)」と2段目の大型宇宙船「Starship」からなる全長123mの再使用型ロケットで、打ち上げシステムとしてもStarshipの名称で呼ばれています。


推進剤に液体メタンと液体酸素を使用する「Raptor(ラプター)」エンジンをStarship宇宙船は6基(大気圏内用3基・真空用3基)、Super Heavyブースターは33基搭載しています。


SpaceXによると、両段を再使用する構成では100〜150トンのペイロード(搭載物)を打ち上げ可能。2段目のStarship宇宙船は単体でも準軌道飛行(サブオービタル飛行)が可能で、地球上の2地点間を1時間以内に結べるとされています。


SpaceXはアメリカ・テキサス州の同社施設「Starbase(スターベース)」を拠点にStarshipの開発を進めています。Super Heavyブースターも含めたStarship打ち上げシステム全体の飛行試験は、2023年4月からこれまでに合計9回実施されました。


【▲ 2025年5月の第9回飛行試験でStarship(スターシップ)宇宙船からSuper Heavy(スーパーヘビー)ブースターが分離した瞬間の様子。姿勢の反転方向を初めて制御することに成功した(Credit: SpaceX)】

2025年5月に実施された直近の第9回飛行試験では、2025年1月の第7回飛行試験で帰還に成功したSuper Heavyブースターが初めて再使用されました。


Starship宇宙船分離時の姿勢反転を特定の方向へ制御して行うことに成功した後、ブースターは予定通りメキシコ湾(米国での表記はGulf of America)への着水を試みましたが、高度約1kmで信号が途絶え、着水成功には至りませんでした。飛行後の分析の結果、高い負荷によって燃料の配管が破損したと考えられています。


また、第7回飛行試験から採用されている新世代のStarship宇宙船は、姿勢制御を喪失し、予定よりも早めに大気圏へ再突入して飛行を終えました。こちらも飛行後の分析の結果、主燃料タンクを加圧するディフューザーの故障を発端として、圧力の異常や機体前方への液体メタンの移動が生じた可能性が最も高いと結論付けられています。


Starship宇宙船は宇宙空間でのペイロード放出テストなどを予定

【▲ 2025年5月の第9回飛行試験で飛行するStarship(スターシップ)宇宙船(Credit: SpaceX)】

SpaceXによると、第10回飛行試験では直近の3回に続いて新世代の改良版Starship宇宙船が飛行し、宇宙空間でのペイロード放出テストなどが試みられます。


Starship宇宙船は機体の前後に合計4つのフラップが備わっていますが、改良版は前方2つのサイズが縮小されていて、取り付け位置も前世代の機体と比べて機体先端側・耐熱タイルの反対側(背面側)に少し移動されています。前方のフラップは過去の飛行試験において大気圏再突入時の高熱で損傷していましたが、この変更によって熱の影響を受けにくくなると期待されています。


再突入時の熱から機体を保護する耐熱タイルは、機体のストレステストの一環として一部が取り外される他に、代替材料のテストとして複数の金属製タイル(能動的な冷却機能を備えたものを含む)も取り付けられています。加えて、Super Heavyブースターと同様にStarship宇宙船を発射台に帰還させる上で必要となる機体側面の構造物も取り付けられ、耐熱性能がテストされます。


また、今回の飛行試験でも第6回に続いてRaptorエンジン1基の宇宙空間での再点火テストが予定されている他に、前述の通り初のペイロードの放出テストが試みられます。搭載されるのはSpaceXの衛星インターネットサービス「Starlink(スターリンク)」用の次世代通信衛星と同じサイズ・同じ重量を模倣した「Starlink simulator」8基です。このペイロードはStarship宇宙船と同じ軌道をたどるため、最終的には大気圏に再突入して消滅する見込みです。


なお、SpaceXの発表では名言されていませんが、今回もこれまでの飛行試験と同様にStarship宇宙船はインド洋に着水するものとみられます。


Super Heavyブースターは発射台に帰還せず複数の試験を実施

【▲ 2025年5月の第9回飛行試験発射時のSuper Heavy(スーパーヘビー)ブースターのエンジン群。通常、帰還時には中央の3基のエンジンを使用するが、その周囲を囲む10基のエンジンのうち1基をバックアップとして用いる試験が行われる(Credit: SpaceX)】

一方、Super Heavyブースターは今回も発射台には帰還せず、メキシコ湾への着水までに複数の試験が実施されます。


そのうちの1つは帰還時のバックアップエンジンの検証です。Super Heavyブースターの33基のエンジンは3重のリング状に配置されていて、帰還の最終段階では中央の3基だけが使用されます。今回の飛行試験ではこのうちの1基を意図的に停止し、バックアップとして中間リングの1基のエンジンを使用する場合のデータが収集されます。


改良版Starship宇宙船のペイロード放出テストや安定した大気圏再突入と着水、それにSuper Heavyブースターの各種試験と着水に成功するかどうか。10回目を迎えるStarshipの飛行試験に注目です。


【▲ 第10回飛行試験に向けて発射台でエンジン全6基の燃焼試験を行うStarship(スターシップ)宇宙船(Credit: SpaceX)】

 


【更新:2025年8月26日15時25分】SpaceXから新たな打ち上げ予定日時が発表されたため、記事のタイトルと本文を更新しました。


文・編集/sorae編集部


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