記事のポイント ザッツイットは新商品「クランチャブルズ」の大容量パックをサムズクラブとコストコで展開し、新学期需要を狙っている。 ケンコやアンリアルなどほかのスタートアップも、大容量化を通じて価格に敏感な家庭層へのリーチを強化している。 大容量パックの導入は、クラブ型小売への進出に必要不可欠な条件であり、ブランドの成長戦略の中核となっている。


コストコ(Costco)やサムズクラブ(Sam’s Club)のようなクラブ型小売業者では、すべてがスケールアップしている。そして今、CPG系スタートアップもこの潮流に乗ろうとしている。

ザッツイット(That’s It)やアンリアル(Unreal)などのスナック系スタートアップは、年間を通じて重要なセールシーズンである新学年度のスタートやハロウィンを見据えて、より安価な単価を実現する大容量パックの販売を今年の戦略の柱に据えている。つまり、このようなブランドがクラブ型小売に取り扱われるためには、人気フレーバーを24個詰め合わせたバラエティパックのような商品に投資する覚悟が求められるのである。

同時に、大容量パックの展開は、価格に敏感な消費者にとって「買う価値あり」と認識させる手段でもある。デロイト(Deloitte)による新学年度シーズンの年次調査によると、回答者の51%が節約のためにプライベートブランドを選ぶと回答し、75%がより安価なブランドに乗り換える意志を示した。より安価な競合製品があればお気に入りブランドからすぐに乗り換えることを厭わない購入客に対して、CPGスタートアップはバリューパックこそがもっともお得な価格を提供できると証明できる絶好の手段だと考えている。

大容量化とバリエーション展開を加速するザッツイット



フルーツバーのブランドのザッツイットは今年、新商品のクランチャブルズ(Crunchables)を投入した。これは幼児や子供向けのドライフルーツのクリスプで、大容量パックに注力している。スプラウツ(Sprouts)、ターゲット(Target)、クローガー(Kroger)、H-E-Bといった各種スーパーを中心に展開が進んでいる。

さらに、クラブ型小売業者のサムズクラブとコストコ向けに18袋入りの限定バラエティパックを同時発売。4月から一部地域で店頭に並び始めており、サムズクラブでの小売価格は約13ドル(約2050円)。一方、クローガーで販売されている6袋入り単一フレーバーのボックスは5.99ドル(約950円)である。

ザッツイットのチーフコミュニケーションオフィサーのエリザベス・ピッグ氏は、この展開は親世代におけるザッツイットの人気上昇を受けてのものであると説明する。「我々のマルチパックの売れ行きは上昇しており、多くの消費者からさらなるバリエーションが求められている」とピッグ氏は語る。ザッツイットは2021年からコストコでオリジナルのミニフルーツバー24本入りパックを販売しており、これが売上の柱のひとつに成長している。クランチャブルズのバラエティパックについても、新学年度の買い物シーズンに間に合うようにAmazonを含めて全国展開したいと考えていた。

ピッグ氏は、ヘルシーなフルーツバー、エナジーバー、そして新製品のクランチャブルズを手頃な価格で提供して、ブランドのリーチの拡大を狙っていると語った。「当社の製品はすべて24カ月間保存できるため、パントリーに買い置きして節約できる」。また、ピッグ氏は、2012年創業のザッツイットは、特に忙しい学年度の食費が家庭でどのように管理されているか熟知しつつあると付け加えた。「事前に購入したい客もおり、また大容量パックは定期購入に向いているので、Amazonでは大きめのパックサイズも用意した」。

ザッツイットはさまざまな製品ラインの流通拡大をめざしており、この戦略は年内を通して継続される。秋には新ラインのチョコレートトリュフを全国展開する。ダークチョコレートとイチジクのトリュフなど一部のフレーバーは、すでに一部のコストコ店舗で大容量パックとして販売されている。

ケンコやアンリアルも大容量化で攻勢



多くのブランドにとって、大容量パックの展開は、新学年度シーズンに価格に敏感で時間に追われている親世代のニーズに応える重要な手段である。しかし、まずは大型小売店での実績を示さなければならない。フリーズドライのスムージーやスナックを展開するケンコ(Kencko)は4月、ファミリー向けにウォルマート(Walmart)で新製品のフルーツスナップのバラエティボックスの販売を開始した。この新製品はミニパウチが5袋入って7ドル(約1100円)。比較して、標準サイズのパウチは1袋4ドル(約630円)だ。

ケンコは2024年、顧客からのフィードバックに基づきウォルマート向けの製品ラインを刷新し、スムージー1杯で摂取できる果物、野菜、栄養素の量を顧客に明確に示した。また、価格に敏感な消費者をターゲットに5ドル(約790円)のスムージー2袋パックも発売。そして今年、ケンコは、ウォルマート店頭での認知が広がったことを受けて、異なる種類のバラエティパックを試験的に展開している。新フレーバーも新学年度シーズンに合わせて7月末に追加される予定だという。

スタートアップ企業が、コストコやサムズクラブのようなクラブ型小売店の棚に自社商品を置くためには、さらに大容量のパックの展開は重要だ。たとえば、ヘルシー系チョコレートブランドのアンリアルスナックス(Unreal Snacks)は、ハロウィンシーズンに間に合うように、9月下旬から10月にかけてコストコ限定のバラエティパックを米国のコストコ全店で発売する予定である。ピーナッツバターカップやピーナッツジェムなど人気商品が含まれた15.4オンス(約440g)のパックは、約30食分入りで価格は16.99ドル(約2680円)。これは同社にとってこれまでで最大の小売用バラエティパックとなる。アンリアルスナックスの通常のピーナッツバターカップ4.2オンス(約120g)パックの小売価格は約6ドル(約950円)だ。

アンリアルスナックスのチーフコマーシャルオフィサーであるアリソン・ウィリテナー氏は、Modern Retailに対して、コストコと共同で新しい個包装のキャンディーパックを開発した理由について、「チョコレートが好きな大人から、夜食を求める学生、よりよい選択肢を探しているミレニアル世代の母親まで」あらゆる層のニーズに応えるためだと述べる。アンリアルスナックスは、自社にとって重要な小売パートナーであるコストコでまとめ買いをする顧客に選択肢を提供するために、この新しい個包装パックを開発した。

ピッグ氏によると、ザッツイットのようなブランドは、混雑し続ける食品売場での競争力を維持するために、メッセージングと製品構成を常に調整していると述べる。「食品価格の高騰が連日ニュースになっているので、今は多くの親が予算を意識していることを理解している」とピッグ氏は説明した。

[原文:Brands Briefing: CPG brands are all about value packs this year as parents stock up on back-to-school items]

Gabriela Barkho(翻訳・編集:ぬえよしこ)