JRT四国放送

写真拡大 (全20枚)

和菓子を使って花鳥風月を表現する芸術、「工芸菓子」というジャンルがあります。

このジャンルの全国品評会で最高評価を受けた、鳴門市の和菓子職人を取材しました。

鳴門市の和菓子店「鳳月坊」

(和庵 鳳月坊 谷粼勉さん)
「これがね」

(記者)
「すごい」

■驚きのクオリティー

(和庵 鳳月坊 谷粼勉さん)
「これがね、北海道旭川まで行って、帰ってきたんですけどね」

砂糖やあんこを用いて作られた作品。

『阿波の国から』

(和庵 鳳月坊 谷粼勉さん)
「白鷹、これは7割5分から8割砂糖ですね」
「この葉っぱの部分は、あんこなんですよ」

(記者)
「この筋肉の感じとかも、もう今飛び立つぞみたいな」

(和庵 鳳月坊 谷粼勉さん)
「生かしたかったですね」
「この鷹の持つ、気迫・迫力っていうんですかね」

■全国菓子大博覧会「工芸菓子部門」で名誉総裁賞

この作品を作ったのは、鳳月坊の店主、谷粼勉さんです。

鷹や松、アジサイ。

手前には県のシンボルである、スダチやヤマモモをあしらいました。

この作品は2025年5月、北海道で開かれたお菓子の祭典・全国菓子大博覧会で、工芸菓子部門の最高評価・名誉総裁賞を受賞しました。

(訪れた客)
「これなんか飛びそう。羽の感じとか、表情とかも」

■ほかの和菓子でも最高評価

谷粼さんのお店には、阿波和三盆糖の干菓子や看板商品の「鳴門っ娘」が並びます。

こちらは、阿波和三盆糖に粉末にしたレンコンを練りこんだ「阿波の恵み 蓮三盆」、こちらも全国大菓子博覧会の一般部門で最高評価にあたる名誉総裁賞を受賞しました。

お店の奥にはピンクに白、黄色に赤色とりどりのお花。

菊にハス、それにアジサイ。

実はこれらのお花も、すべて谷粼さんが作った工芸菓子なんです。

見て楽しむだけでなく、お菓子ですからもちろん食べられます。

■弱点は「壊れやすい」こと

そんな工芸菓子の弱点は壊れやすいこと。

博覧会に展示した作品も谷粼さんが知人らとともに、2日半かけて自動車とフェリーで運びました。

(記者)
「この鷹は、なにをしようとしている感じで作ったんですか」

(和庵 鳳月坊 谷粼勉さん)
「獲物を見つけて、あ!ちょうど来た視界に入ったと思って」
「今から、さあ捕るぞ、行くぞ、という感じで」

(記者)
「コケの部分が、すごいリアルで」

(和庵 鳳月坊 谷粼勉さん)
「木の年輪を感じさせたいので、これは青のりを使ったり、なおかつそれに焼き目入れたり」
「古さ、重みっていうのを出したくって」

(記者)
「木の時間が経っている、質感とかですか」

■次の作品は?

(和庵 鳳月坊 谷粼勉さん)
「私は今、松に力入れてますんでね」
「地味でありながら一番面白いというか、力強さも出ますしね」

博覧会を終えて、さっそく次の作品に取り組んでいるという谷粼さん。

なかでもこだわりの松は、葉っぱの数実に2万本にも及びます。

(和庵 鳳月坊 谷粼勉さん)
「軸にもう一つ工夫を加えて、動きのある大胆な松にしたいとは思いますね」
「生きてるように見せるには、自分が魂吹き込まないと生きてくれないです。それを一番思っています」
「この菓子博っていう全国大会の場に行ったら、この歳になってもまだ燃えさせてくれますね」
「それは本当にありがたいですよ。ちょっとやれる間は、1・2回出来たらと思います」

■工芸菓子の道は甘くない

現在、76歳。

まだまだ、ものづくりへの情熱は衰えることを知りません。

もっともっと美しく、そして美味しい作品を。

工芸菓子の道は、甘くない。