トランプ氏の大統領選勝利で米国の“Kフード人気”終焉?韓国食品業界が戦々恐々「リスク大きい」
ドナルド・トランプ氏の米大統領選勝利が、“Kフード”こと韓国食品業界に不確実性を呼び起こしている。
【写真】「トランプ氏を守ろう!」と宣言した米国美女ゴルファー
「自国第一主義(アメリカ・ファースト)」を掲げてきたトランプ氏が強力な保護貿易政策を展開すると予想されるなか、韓国食品産業が既存の成長の勢いを継続できるかに関心が集まっている。
トランプ氏は前回の任期中、強硬な保護貿易政策と自国第一主義によってさまざまな国家と“貿易戦争”を起こした経緯がある。特に、中国との貿易戦争とともに輸入品に対する規制を強化することで、外国企業の参入障壁を高めてきた。
韓国貿易協会の国際貿易通商研究院は「2024米国選挙と通商環境展望」報告書を通じて、「一部の先端戦略産業に限定して“ディリスキング”でスピードを調節したバイデン政府と異なり、トランプ2期では米中間の“ディカップリング”がより一層深化するものと見られる」と見通した。
対外的な貿易環境の変化の予想に緊張感が漂っている。韓国の一大輸出品目である“Kフード”が緊急課題に直面した。
「帰ってきたトランプ」でKフードの行方はどうなる?まず、トランプ氏は輸入関税引き上げを示唆したことがあるため、高率関税政策を展開する可能性がある。高い関税は韓国食品の価格競争力を弱体化させ、直ちに米国消費者へと負担が転嫁されるため、製品の売上減少にも繋がりかねない。
特に即席食品、飲料、冷凍食品など、価格に敏感な品目は大ダメージを受ける可能性がある。このため、市場での競争力が低下する危険が大きくなるものと観測されている。
非関税障壁が強化される場合、米国市場に進出する過程で衛生、検疫、ラベリングなど追加的な規制に直面することになる。これは製品の流通速度を低下させるだけでなく、品質認証の過程で費用を増加させ、収益性にネガティブな影響を及ぼしかねない。生鮮食品や即席食品といった賞味期限の短い製品の場合、その負担が経済的、時間的にも大きくなる。
何より、トランプ前大統領は前回の任期中、さまざまな国家と自由貿易協定(FTA)を再交渉しようとする動きを見せた。韓米のFTAも、同氏の任期中に一度再交渉されたことがあり、再選後もこれと類似した再交渉要求が発生する可能性がある。
今後、トランプ氏が同協定に関する動きを本格的に進める場合、米国と米韓自由貿易協定で繋がった韓国や欧州連合(EU)との摩擦も少なからず起きるものとみられる。
マンドゥ、ラーメンなど人気製品の輸出にブレーキかCJ第一製糖、辛ラーメンなどの一部企業は、米国現地で直接生産することで消費者へのアクセスを高めている。このような「現地化戦略」は関税の負担を避けられるだけでなく、価格競争力の維持、素早い供給網を通じて市場需要に直ちに対応するうえで有利だ。
CJ第一製糖は2019年に米国の冷凍食品企業シュワンズカンパニーを買収し、現地生産と流通網を強化。昨年にはカンザス州サリナにあるシュワンズカンパニーのピザ工場を約4万平方メートル増設し、計9万平方メートル規模の世界最大の冷凍ピザ生産施設を確保した。
また、サウスダコタ州スーフォールズでも、約6万5000平方メートル規模のBibigoマンドゥ工場の建設が秒読み段階に入っている。
農心(ノンシム)は2005年、カリフォルニア州ランチョクカモンガに第1工場を設立した以後、2022年には同地域に第2工場を竣工し、年間約3億5000万個のラーメンを生産している。
ただ、一部では現地生産関税の負担は避けられても、為替レートや政策関連の影響を受けるリスクがあるため、これらの問題について敏感にならざるを得ない。
最も大きな“変数”に直面したのは、三養(サミャン)食品のように韓国国内の工場で生産し、海外に輸出する食品企業だ。
三養食品のプルダックポックンミョンは、米国内で代表的な韓国食品として定着しており、現地消費者の味覚を虜にした。しかし、トランプ氏の再選によって保護貿易政策が強化される可能性が浮上したため、韓国国内では緊張感が増幅している。
特に、プルダックポックンミョンのように辛く刺激的な味を持つ製品は、米国食品医薬品局(FDA)の追加検討対象となる可能性があるため、プルダックポックンミョンの継続的な輸出にブレーキがかかる可能性がある。
韓国国内の食品業界関係者は、「三養食品だけでなく、Kフード業界が関税問題を解決しなければ、米国市場での“高速成長”が制限されるリスクが大きい」とし、「国内の食品業界も鋭意注視し、この変数をどのように突破するか見守っている」と話した。