トランプ勝利でドル買いが強まる ドル円は154円台半ばに上昇=NY為替概況
トランプ勝利でドル買いが強まる ドル円は154円台半ばに上昇=NY為替概況
きょうの為替市場はドル買いが強まり、ドル円は154円台半ばに上昇した。米大統領選でトランプ氏が勝利したことでドル買いが強まり、米国債利回りの上昇と伴にドル円も買われた。上院も共和党が多数派を奪還。事前予想では劣勢と見られていた下院でも共和党の善戦が伝えられ、市場の焦点は下院の動向に集まっている。現時点で大勢はまだ判明していないが、共和党がホワイトハウス、上下両院も席巻する、いわゆる共和党のスウィープが実現すれば、トランプ氏の政策が議会を通し易くなる。
トランプ氏は減税と規制緩和、そして関税強化を主張している。減税はトランプ政権の一期目の時に導入し2025年末に期限が来るトランプ減税の延長が期待される。また、規制緩和にも前向きな姿勢を示し、米企業にとっては有利な状況になると見られている。財政拡大も視野に入る中、為替市場ではインフレが再燃し、FRBの利下げペースが想定以上に遅くなるのではとの見方がドルを後押しすると見ているようだ。ただし、大統領選前までのトランプトレードで、ドルロングがかなり積み上がっていることも事実で、短期的な利益確定の動きも留意される。
明日はFOMCの結果が発表される。通常は水曜日に結果を発表するが、今回は大統領選があり木曜日に1日ずれている。市場では0.25%ポイントの利下げを確実視しており、FRBも利下げを実施すると思われる。問題は12月のヒントを何か示唆するかに市場は注目している。短期金融市場ではいまのところ、70%程度の確率で0.25%ポイントの利下げを実施すると見ているようだ。
ただ、エコノミストからは、FRBは声明でインフレに関する表現を変える可能性があるとの指摘も出ている。前回の声明では「インフレが持続的に2%に向かっているという確信を深めた」と言及していた。しかし、消費者物価指数(CPI)のコア指数とPCEデフレータの12カ月加重平均が夏以降あまり下がっておらず、それを考慮すれば、「さらに確信が深まった」との文言を繰り返すのは難しいのではと述べている。パウエル議長は今回の会見で、今年最後の12月FOMCで利下げ休止の道を開く可能性もあるという。
ユーロドルは急落。前日は1.09ドル台半ばまで買い戻されていたが、本日は一時1.06ドル台まで急落しており、10月下旬から続いていたリバウンド相場が完全に崩壊している。トランプ氏は関税強化を提言しており、欧州はまさにターゲットと見られている。ドイツ経済を始め、景気が低迷しているユーロ圏にとっては更なる痛手となる。ECBの利下げも活発化が予想される一方、米国のインフレ再燃への懸念も台頭する中、FRBとECBの格差がさらに拡大するとの見方がユーロドルを圧迫しているようだ。
なお、ドイツのショルツ首相が連立パートナーである自由民主党のリントナー財務相を解任した。首相はその後の会見で1月の信任投票と3月末の解散総選挙の実施を要請。すでに急落していたこともあり、ユーロの反応は限定的。
ポンドドルは一時1.2835ドル付近まで急落したが、一時1.29ドル台まで下げ渋る展開。本日1.2815ドル付近に来ていた200日線は維持されている状況。
明日は英中銀の金融政策委員会(MPC)の結果が公表される。市場では0.25%ポイントの利下げが確実視されている状況。むしろ、12月のヒントを市場は知りたがっているようだ。一部からは、先週のリーブス英財務相の秋季予算案に対する英中銀の評価がポンドをやや下支えする可能性があるとの指摘も出ている。予算案で計画されている公的部門への歳出増により、利下げのペースが遅くなることが示唆される可能性があるという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美
きょうの為替市場はドル買いが強まり、ドル円は154円台半ばに上昇した。米大統領選でトランプ氏が勝利したことでドル買いが強まり、米国債利回りの上昇と伴にドル円も買われた。上院も共和党が多数派を奪還。事前予想では劣勢と見られていた下院でも共和党の善戦が伝えられ、市場の焦点は下院の動向に集まっている。現時点で大勢はまだ判明していないが、共和党がホワイトハウス、上下両院も席巻する、いわゆる共和党のスウィープが実現すれば、トランプ氏の政策が議会を通し易くなる。
トランプ氏は減税と規制緩和、そして関税強化を主張している。減税はトランプ政権の一期目の時に導入し2025年末に期限が来るトランプ減税の延長が期待される。また、規制緩和にも前向きな姿勢を示し、米企業にとっては有利な状況になると見られている。財政拡大も視野に入る中、為替市場ではインフレが再燃し、FRBの利下げペースが想定以上に遅くなるのではとの見方がドルを後押しすると見ているようだ。ただし、大統領選前までのトランプトレードで、ドルロングがかなり積み上がっていることも事実で、短期的な利益確定の動きも留意される。
明日はFOMCの結果が発表される。通常は水曜日に結果を発表するが、今回は大統領選があり木曜日に1日ずれている。市場では0.25%ポイントの利下げを確実視しており、FRBも利下げを実施すると思われる。問題は12月のヒントを何か示唆するかに市場は注目している。短期金融市場ではいまのところ、70%程度の確率で0.25%ポイントの利下げを実施すると見ているようだ。
ただ、エコノミストからは、FRBは声明でインフレに関する表現を変える可能性があるとの指摘も出ている。前回の声明では「インフレが持続的に2%に向かっているという確信を深めた」と言及していた。しかし、消費者物価指数(CPI)のコア指数とPCEデフレータの12カ月加重平均が夏以降あまり下がっておらず、それを考慮すれば、「さらに確信が深まった」との文言を繰り返すのは難しいのではと述べている。パウエル議長は今回の会見で、今年最後の12月FOMCで利下げ休止の道を開く可能性もあるという。
ユーロドルは急落。前日は1.09ドル台半ばまで買い戻されていたが、本日は一時1.06ドル台まで急落しており、10月下旬から続いていたリバウンド相場が完全に崩壊している。トランプ氏は関税強化を提言しており、欧州はまさにターゲットと見られている。ドイツ経済を始め、景気が低迷しているユーロ圏にとっては更なる痛手となる。ECBの利下げも活発化が予想される一方、米国のインフレ再燃への懸念も台頭する中、FRBとECBの格差がさらに拡大するとの見方がユーロドルを圧迫しているようだ。
なお、ドイツのショルツ首相が連立パートナーである自由民主党のリントナー財務相を解任した。首相はその後の会見で1月の信任投票と3月末の解散総選挙の実施を要請。すでに急落していたこともあり、ユーロの反応は限定的。
ポンドドルは一時1.2835ドル付近まで急落したが、一時1.29ドル台まで下げ渋る展開。本日1.2815ドル付近に来ていた200日線は維持されている状況。
明日は英中銀の金融政策委員会(MPC)の結果が公表される。市場では0.25%ポイントの利下げが確実視されている状況。むしろ、12月のヒントを市場は知りたがっているようだ。一部からは、先週のリーブス英財務相の秋季予算案に対する英中銀の評価がポンドをやや下支えする可能性があるとの指摘も出ている。予算案で計画されている公的部門への歳出増により、利下げのペースが遅くなることが示唆される可能性があるという。
MINKABU PRESS編集部 野沢卓美