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 15年ぶりに自民・公明の与党が過半数割れした衆議院選挙。“総理の指名選挙”に向け、いま各党の『多数派工作』が活発化しています。そうした中、躍進を果たした国民民主党とともに政局のカギを握るのが日本維新の会。ただ、今回の選挙で議席を減らした維新の内部では執行部の責任を問う声も上がっていて、一枚岩ではないようです。選挙結果への受け止めや総理指名選挙をめぐる思惑について、渦中の維新・馬場伸幸代表に直撃インタビューを行いました。

揺れ動く各党の関係…国民・維新はどう動く!?

 今回の衆議院選挙では自公の両党を合わせても過半数の233には届かず、野党単独でも過半数に至った党はありませんでした。選挙後、自民は派閥裏金事件に関係する世耕弘成氏(離党)・西村康稔氏(非公認)・萩生田光一氏(非公認)・平沢勝栄氏(非公認)と、無所属の三反園訓氏・広瀬建氏の6人に会派入りを要請。6人とも了承しました。自民党に戻ってきたわけではありませんが、政策において同じ方向を向く一つのチームに仲間入りしたということです。

 そうした中、カギを握るのが国民民主党(28議席)と日本維新の会(38議席)と言われています。10月31日午前には、自民と国民民主の幹事長らによる会談が行われ、経済対策など個別の政策ごとに協議・対応することで合意したということです。11月1日には、立憲と国民民主の幹事長らによる会談が行われました。

 MBS大八木友之解説委員は、国民民主は維新よりも議席は少ないものの、国会内における存在感がどんどん上がってきているという見方をしています。今の状況について、国民民主は自民・立憲から“恋人になってください”と手を引っ張られている状態、一方で維新と自民・立憲の関係は“友達以上恋人未満”と表現しています。自民や立憲が、維新が納得できる政策・法案を提示すれば手を組む可能性もありますが、維新にとっては“自民に裏切られた”過去もあるため、今後どうなるのか注目されます。

 そして近く行われる総理指名選挙。立憲は維新・共産に協力要請をしています。維新は現時点では誰に投票するかはっきりと明言していません。

 総理指名選挙の流れは、国会議員が記名投票し、過半数獲得となれば総理大臣選出。過半数に届かなかった場合は上位2人の決選投票となります。大八木解説委員の見立てでは、おそらく石破総理で落ち着くのではないかということです。

「選挙は全国的には完敗」維新・馬場代表らに辞任求める声も

 政局のカギを握る維新に着目してみます。選挙結果で見ると、維新は大阪の19小選挙区で全勝しましたが、比例票は前回より約300万票減りました。獲得議席数は43から5議席減った38に。全国政党化の課題を解消できませんでした。大阪での存在感はあるものの、関西以外の地域に何をやっている政党なのかが伝わっていない結果だとも言われています。

 維新の馬場代表はこの選挙結果を受けて「全国的には負けた」としつつも、「自公過半数割れの目標は達成された」と話していました。しかし、来年には参議院選挙を控える中で、維新の内部からは馬場代表や選挙の責任者である藤田文武幹事長の辞任を求める声が上がっていて、党内は“ゴタゴタ”している状況です。

 吉村洋文共同代表は「全国的には完敗で野党1人負け状態。1日も早く代表選を実施すべきだ」と話していて、維新の生みの親である橋下徹氏も選挙の翌日、MBSのテレビ番組「よんチャンTV」に出演した際に「馬場さんは古いタイプの政治家。永田町文化の引きずったやり方をやめて脱皮しないと」と言及していました。

馬場代表を直撃取材 自民に対しては「同じ手は食いません」

 では、渦中の馬場代表の本音はどうなのか?今回、単独インタビューすることができました。

 まず、今回の選挙結果の受け止めについて聞くと…

 「議席数が減ったということは“負け”と言えると思います。これはわれわれ執行部の努力不足だと思いますね」

 Q馬場代表の辞任を求める声については?
 「責任は十分感じていますから、しかるべきときにしかるべき判断をします。何でもいいから辞めたらいいというものでは私はないと思います」

 Q橋下徹氏からも厳しい言葉を投げられていますね?
 「橋下さんが生んだ政党が維新の会ですから、自分が生んだ子どもに厳しくするのは当たり前だと思いますから、おっしゃっていることは全て受け止めて自分の中で咀嚼はしています」

 議席を減らしたとはいえ、国民民主党とともに政権の今後を左右しうる存在の日本維新の会。

 Q立憲民主党との「総理指名」をめぐる会談については?
 「ただ単なる数合わせというのはこれまでも否定してきているわけですから、きちっとそこに至るまでのことを協議しないと無理ですよと(伝えた)」

 Q現時点で総理指名選挙で「立憲・野田代表」と書くことは?
 「可能性は薄いですね」

 一方、自民党をめぐっては今年、旧文通費をめぐり党首会談で合意文書を交わすも反故にされ、実現に至らなかった苦い経験があります。

 「(自民党からは)全くわれわれの方に連絡もありません。国民民主党さんと協議をするということですから、それはご自由にしていただいたらいいと思いますが。ただ自民党はやっぱり狡猾ですから、そんなに簡単に野党側の声を聞く政党ではありませんから、聞いているふりはしますけど、それをどうやって押し倒していけるかというのが、これからうちの党を含めた野党側が考えていくことになると思います。同じ手は食いませんよと」

維新は代表選を実施へ 次期代表は誰に…

 10月31日に行われた維新の常任役員会では、12月に代表選を実施することを目指して手続きを進めることが決まりました。もし代表選をすることになれば「自分に対する不信任案だと受け止めて、そこに挑戦する可能性は低い」ということも話していた馬場代表。今後どんな決断をするのでしょうか。

 維新の次の代表は誰になるのか?大八木解説委員は「なかなか顔が浮かばないが、攻勢をかけるなら吉村洋文共同代表ではないか」と話しています。しかし、吉村共同代表は大阪府知事という立場で、大阪・関西万博の成功させることにも集中しているため、「代表」という役職には積極的ではないのでは…という見解を示していました。

 維新は今後どんな未来を歩んでいくのか、そして政権運営や国会の力関係はどうなっていくのか、注目されます。

(2024年10月31日放送 MBSテレビ「よんチャンTV」より)