Amazonが2024年第3四半期(7〜9月)の業績を発表しました。また、Amazonは音声アシスタントであるAlexaを全面改修していることが報じられていましたが、この新しいAlexaのリリースが2025年まで延期されるとも報じられています。

Amazon.com, Inc. - Amazon.com Announces Third Quarter Results

https://ir.aboutamazon.com/news-release/news-release-details/2024/Amazon.com-Announces-Third-Quarter-Results/



Amazon.com Announces Third Quarter Results | Business Wire

https://www.businesswire.com/news/home/20241030305950/en/

Amazon's cloud unit records highest profit margin in at least a decade

https://www.cnbc.com/2024/10/31/amazons-cloud-unit-records-highest-profit-margin-in-at-least-a-decade.html

Amazon Q3 Earnings Beat Estimates, Ad Sales Rise 19%

https://variety.com/2024/tv/news/amazon-earnings-ad-sales-rise-prime-video-1236196493/

Amazonは現地時間の2024年10月31日に2024年第3四半期(7〜9月)の業績を発表しました。これによると2024年第3四半期の総売上高は前年同期比で11%増の1589億ドル(約24兆1600億円)、営業利益は前年同期比で55%増の174億ドル(約2兆6500億円)、純利益は前年同期比で55%増の153億ドル(約2兆3300億円)でした。

特に好調だったのがAmazonのクラウドサービスであるAWSで、AWSの売上高は274億5000万ドル(約4兆1700億円)を記録。AWSのAI部門の売上高は前年同期比で2倍以上に増加しており、Amazonのアンディ・ジャシーCEOは「現在、私たちがさらに高い生産能力を持っていたとしても、満たすことができないほどの需要があります」「我々だけでなく、ほとんどすべての企業が需要を満たすだけの生産能力を持っていないと思います。企業が供給をもっと増やすことができるのは、主にチップの分野です」と、AI需要の高まりについて語りました。なお、AWSは104億5000万ドル(約1兆5900億円)の営業利益を記録しており、Amazon全体の営業利益の実に60%をAWSが占めています。

一方、Amazonの広告分野の売上は前年同期比で19%増の143億ドル(約2兆1800億円)となりました。Amazonによると、広告売上はスポンサー広告、ディスプレイ広告、動画広告などのプログラムを通じて販売業者、ベンダー、出版社、著者に対して販売する広告サービスの売上が含まれるそうです。Amazonは2024年1月からAmazonプライム・ビデオに広告を表示するようになったばかりでした。なお、Amazonプライム・ビデオのサブスクリプション売上高は前年同期比で11%増の113億ドル(約1兆7200億円)です。

Amazonプライム・ビデオで広告が配信開始、広告の長さやAmazonの収益見込みはどんな感じ? - GIGAZINE



好調な業績を発表したAmazonですが、同社がChatGPTに対抗するべく開発を進める新しいAlexa「Remarkable Alexa」のリリース時期が、2024年10月から2025年まで延期されたとBloombergは報じています。

New Amazon Alexa AI Is Stuck in the Lab Till It Can Outsmart ChatGPT - Bloomberg

https://www.bloomberg.com/news/features/2024-10-30/new-amazon-alexa-ai-is-stuck-in-the-lab-till-it-can-outsmart-chatgpt



Amazon’s supercharged Alexa won’t arrive this year - The Verge

https://www.theverge.com/2024/10/31/24284772/amazon-new-alexa-llm-voice-assistant-delayed-2025

Bloombergが事情に詳しい人物から入手した情報によると、Alexa AIチームは新しいAlexaのリリース時期を2025年まで延期したそうです。新しいAlexaはChatGPTのような自然な会話型のやり取りが可能であると予想されています。しかし、2024年6月にFortuneが「新しいAlexaは年内に完成しない可能性がある」と報じており、これがより確実になったという形です。

Amazonは新しいAlexaのベータ版へのアクセスをスマートホームデバイスのEcho向けに提供していましたが、記事作成時点でAmazonはこれへのアクセスを遮断しています。これまでは「Alexa、チャットしましょう」と言うだけで新しいAlexaのベータ版にアクセス可能だったのですが、記事作成時点では「チャットは利用できなくなりました。今のところ、私に質問したり、タイマーを設定したり、音楽を再生したり、接続されたライトをオンにしたりすることはできます」と応答するそうです。

新しいAlexaのベータ版にアクセスしたユーザーは、「応答は遅く、ぎこちなく、役に立たなかった」と語っています。さらに、新しいAlexaのベータ版はスマートホーム統合を台無しにし、ハルシネーション(幻覚)を起こすこともあったそうです。あるテスターは「進行中のハルシネーションは必ずしも間違っているわけではなく、単に不必要で、まるでAlexaが新たに発見した能力を誇示しようとしているかのようでした。例えば、Alexaに『ジャスティン・ティンバーレイクとジャネット・ジャクソンが出演したハーフタイムショーは何?』と尋ねると、2004年のスーパーボウルと答えることがありました。今では、悪名高い衣装トラブルに関する長々とした補足説明をする可能性も同じくらいあります」と語っています。

Alexa AIチームは、大規模言語モデル(LLM)を音声アシスタントのコマンドコントロール方式と統合することに苦戦している模様。Bloombergによると、事前トレーニング済みのAIモデルを使用することでAlexaはより複雑な質問に応えられるようになるものの、キッチンタイマーの設定やスマートライトの制御に失敗する可能性が高くなるそうです。

Amazonのアンディ・ジャシーCEOは公に「我々はAlexaの頭脳を再構築し続けている」と語っていますが、より自然な会話ができるようになるという以外に、LLM搭載Alexaがユーザーにどのような体験をもたらすのかという情報はほとんどありません。さらに重要なのは、ユーザーが毎日使用している既存のAlexaとしての機能を損なうことなく、新しいAlexaを実現できるのかは不明です。

なお、AmazonはAlexaの開発を主導するデバイスおよびサービス部門の新しい責任者として、MicrosoftのSurface部門の元責任者であるパノス・パナイ氏を任命しています。