妊娠中、義母のストレスで入院した嫁が、病室で聞いた的確すぎる「嫁姑トラブルの対処法」

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現在2人の娘の母で、白目をむきながら子育てに奮闘するママの姿を描いた人気コミックエッセイ「子育てしたら白目になりました」の著者である漫画家・イラストレーターの白目みさえさん。臨床心理士・公認心理師として精神科に勤務しながら、InstagramやX(旧Twitter)でユーモアあふれる漫画を随時更新しています。

現在、二世帯住宅で義父母と一緒に暮らす白目さん。子育てや仕事の忙しさに加え、義実家とのやりとりにも思わず白目をむいてしまいそうになることも多々あるそう。なかでも「ちょっとやりすぎでは?」と思ってしまうほど世話好きの義母には、たびたび悩まされています。今回は、第一子妊娠中に義母が原因で(?)入院することになったエピソードを綴っていただきました。

低血圧な私が突然、妊娠高血圧症と診断

現在は二世帯住宅にて義母と同居している私ですが、長女の妊娠出産時は義実家から車で15分ほどの距離にある賃貸に住んでいました。

夫は仕事の都合でしばらく単身赴任状態だったため、平日は一人暮らしかと思いきや……。お世話好きの義母による襲撃、いえ、多大なるご配慮からの訪問生活が続いた妊娠後期を過ごしました。

妊娠も33週を迎えたある日の妊婦健診(もちろん義母は付き添い)で、私は突然「妊娠高血圧症」と診断されました。普段は低血圧で上が100を超えることすら稀な私の血圧が、急に150を超えたのです。

そういえば病院に来るまでの間、視界がキラキラ輝いていたような気がしていました。妊娠すると世界の見え方が変わるって聞いていたので、それだと思っていたのですが、どうやら高血圧の症状だったようです。

これまでの経過は順調すぎるほど順調で、出産直前の妊娠医療保険にも問題なく入れそうな勢いだった健康優良妊婦の私の身体に、突然異変が訪れました。

なので、医者からは「何かストレスなど思い当たる節はありますか?」と聞かれました。その瞬間、私の脳裏には頻繁に訪問してくださる義母の様子が浮かんでおり、つい「あります」と答えていました。私の口は正直です。

ただ、義母に悪気はありません。ひとえに私が人と一緒に過ごすとストレスを感じやすいタイプだから、今回もストレスを感じてしまっただけ。これが血圧上昇の直接的な原因かどうかはわかりません。私の体質なのかもしれません。そうです、そういうことにしておきましょう。

何かあってはいけないと入院することに

その後も問診は続き、夫が単身赴任状態であるという状況を考慮した医師によって「入院しましょうか」という提案がなされました。1人で何かあってはいけない、そして初産なので1人は不安だろうと判断されたのでしょう。先生、私は1人になれないことがストレスなような気がします。気のせいかもしれませんけれど。

というわけで、待合室で他の妊婦さんに話しかけていた義母に「『妊娠後期高血圧症』と診断されて入院することになりました」と伝えました。

義母はそれはもう心配してくださり、「家のことは任せて。洗濯もするからね。遠慮なく言ってね」と優しいお言葉をかけてくださいました。本当にありがたいことです。今のご時世こんなにお優しい姑さんがいらっしゃるでしょうか。

本来なら自分の親を召喚するところですが、私の両親は遠方に住んでいて、まだまだ現役で仕事中。どうやっても来られません。この時ほど実母を恋しいと思ったことはありません。お母さんになら私のパンツは遠慮なく洗ってもらえるのに……!

取り急ぎ「洗濯はここでもできるそうですし、大丈夫です!絶対安静なわけでもないので……」と伝えてみましたが、義母の耳には届いていませんでした。私がもらった「入院中のしおり」を読み込んでいたからです。もしかしてですが、お義母さんが入院されるんですか?

一通り読み終えた義母は早速「入院のために必要なものを家から持ってくる!」と小走りで駐車場に向かいました。「あっ…お義母さん!私も行きます…」お願いですからパンツは私に選ばせてください。

そんなこんなで始まった入院生活は意外にも快適でした。同室の方は絶対安静の方が多く、全く干渉をしてこられません。言葉を交わすのは連絡事項や来客時の挨拶くらいで、私は本当に静かで穏やかな入院生活のスタートを実感し、満喫していました。

入院開始から3日ほど経った週末。夫が見舞いがてら荷物を持ってやってきました。そういえば、週末もなんやかんやで義母が来ていて、2人きりで過ごす時間は少なかったように思います。

久しぶりの夫との会話を楽しみ、面会時間終了前に持ってきて欲しいものを伝えました。「全然来週で構わないから」と言い添えて。

夫に頼んだはずのものをなぜか義母が…

次の日。夫に頼んだはずのものを持って義母が襲来、いえ、来院。お義母様ありがとうございます。来週で全然構わないのですが……。来週夫に持ってきてもらいたかったのですが……。

会話もそこそこに義母は、同室の方々に挨拶をしてお菓子を配り始めました。「うちの娘がご迷惑をかけます」と。言葉のあやだとはわかっていますが、私はお義母さんの娘なんですね。パンツを洗ってもらったら娘なんでしょうか。

そして、私は他人様にご迷惑をかけていますか?割と静かにお利口に過ごしているつもりなんですけれど……と、軽く心の中で荒むくらいには妊婦のメンタルは不穏です。

挨拶を一通り終えた後は、「みさえちゃんは高血圧だからお菓子はダメよね。本を持ってきたわ」と私にホラーミステリー小説を持ってきてくれました。好きだけどお義母さん。病院での殺人事件の小説は、ちょっと胎教に悪い気がします。私もお菓子が食べたかったです。

そして義母は「病院だからあんまり長居しちゃダメよね!」と、私のパンツを含む洗濯物もやや強引に持って帰りました。「病院にも洗濯機はあるから」と言いましたが「お金がもったいない」「遠慮しないで」と聞き入れてもらえず……。

「また明日も来るからね」と言い残して義母は帰っていきました。そうか、明日も来るのか……。

「お姑さん、大変そうね」は救いの言葉

救いだったのは義母が帰った後の同室の方からのお言葉。

「お姑さん、大変そうね(笑)」と声をかけてくれて、他の人も優しい目で「わかるわかる」「最初は言えないよね」と、うんうんと頷いて皆さん理解してくださって、心がほぐれ、血圧が20は下がった気がしました。

その後、同室の方々とすぐに仲良しに。私以外の皆さんは経産婦。そして義実家と同居や近距離別居の経験がある方も多く、いろいろなトラブルの体験談や距離感の保ち方などを教えてもらいました。

先輩方のお話は本当に参考になりましたし、退院後も言われた通りのことが次々と起こりました。聞いておいてよかった! ありがとうございました。

そして義母の来院についても、安静を理由に夫から「毎日行かなくていい」と言ってもらうのがベストでは?との助言をいただき、その通りにしました。さすがに病院という場所だったので、義母も遠慮してくださった様子。

また、「簡単な内容でいいから毎日LINEだけでもしておくといいよ!」とアドバイスもいただいたのでその通りにしてみました。「今日はハンバーグでした」などの写真を添えて義母に送信。私の様子がわかって安心されたようで連絡も突然の来院もなくなりました。

きっとこれだけで良かったんですね。私が遠慮して何も言えないと思っていたから、少々強引に突っ込んできてくださったんだと思います。早くやっていれば入院しなくて済んだかも? いや原因はわかりませんが。

このときに学んだ『こちらから現状報告をして、今の様子を知っておいてもらう』というスタンスは今も継続しています。これはうちのような義母との距離を程よく保つために有効な方法かもしれません。

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