新球場の打席に立つ糸井SA(撮影・坂部計介)

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 阪神の糸井嘉男スペシャルアンバサダー(SA)(43)が30日、来年3月開業へ向けて建設が進む兵庫県尼崎市の新ファーム施設「ゼロカーボンベースボールパーク」の工事現場を訪問した。完成が近づく球場や室内練習場、選手寮などを視察。練習環境の向上が見込まれるだけに、「もう朝から晩まで、やるしかないでしょ!!」と若虎の練習漬けに期待を寄せて、育成選手からのスター誕生も待ち望んだ。

 “シン・虎の穴”の充実ぶりに、すっかり心を奪われた。背番号の代わりに「SA」と入ったユニホーム姿で、新施設を訪れた糸井SA。甲子園球場と同じ広さに設計された球場グラウンドのホームベース付近で、「もしかしたら僕が初打席になるんじゃない?」とご機嫌にバットを振った。

 選手寮に直結の室内練習場は、甲子園のものより1・5倍の大きさを誇る。打撃練習レーンはボール自動回収機能まで備わり、「うらやましい!!打ち込める環境がすぐそばにあるし、素晴らしい。僕はいっぱい打ち込んだ人間やったんで」と太鼓判。「この施設を最大限に利用して、練習をたくさんやってほしい。成長をする上で自分にムチを打って」と若虎へゲキを飛ばした。

 ドラフトでは支配下5人に加えて、球団史上最多となる育成4人を指名したが、「育成に自信があるんだと思います。そのくらいの環境は整ったので。12球団No.1の」とチーム事情を解説。「千賀選手も育成から入って、ああやってメジャーまでって選手もいる。本当にそういうチャンスは、みんなにある」とメッツ・千賀に続く逸材を心待ちにした。

 “超人節”もさえ渡った。阪神電車の高架のすぐそばに設置されたトレーニング用の坂路を実際に駆け上がって、「(バラエティー番組の)『逃走中』でハンターから逃げなあかんから、ここで練習していい?」とニヤリ。坂路を登り切った地点は、目の前を電車が通る高さで、「駅、つくったら、そこに!!」と仰天構想まで持ちかけた。

 新施設は公園と一体化しておりファンとの距離感が近く、阪神電車の車窓からバッチリ見えるのも特徴の一つ。「2軍の若い時から近くにお客さんがいるところで、見られながらやるというのもプロとして大事」。“スターの卵”が描く成長曲線を、糸井SAが虎党と一緒になって見守っていく。

 【ゼロカーボンベースボールパーク・アラカルト】

 ◆日鉄鋼板SGLスタジアム尼崎 2025年シーズンから使用される「ゼロカーボンベースボールパーク」内の阪神2軍専用球場。両翼95メートル、中堅118メートル。収容人員は約3600人。特別な場合には外野に臨時で800席設けられる。内野は甲子園と同じ黒土を使用。外野スタンドには約200メートルのランニング走路。

 ◆ZEB認証(建物の年間エネルギー消費量をゼロに近づけることを目的とした認証) 省エネと創エネのZEB認証を受けた日本初の球場施設。

 ◆タイガース色 球場外壁に金属のルーバー(板)を配置。一部分を黄色と黒にすることでタイガース感を強調。手すりの組み方はTHの文字の形に。

 ◆輝ネット 外野ネットの高さは40メートル。佐藤輝が2021年4月9日、横浜でのDeNA戦で場外本塁打を記録などの例もあり対策バッチリ。

 ◆室内練習場 甲子園室内練習場の約3600平方メートルをしのぐ6168平方メートルの敷地内に内野グラウンド、打撃練習6レーン、ブルペンを6レーンを設置。

 ◆選手寮 地上3階建てで38室。トレーニングルーム、リハビリ室なども完備。気軽にウエートトレーニングにも励める。

 ◆分析システム 「トラックマン」に加え、スタジアム内に8台の専用カメラを設置し「ホークアイ」による分析を導入。試合や練習の様子をあらゆる角度から撮影する専用カメラ約20台も設置。