鉄道車両の輪軸不正、国交省がJR貨物に改善命令へ…東京メトロなどに改善指示
鉄道車両の車輪・車軸(輪軸)取り付け作業を巡って圧力値の改ざんなどが相次いで判明した問題で、国土交通省は30日、JR貨物に対し、鉄道事業法に基づく事業改善命令(行政処分)を出す方針を明らかにした。
来月6日まで弁明の機会を設けた上で、速やかに処分を行う。
一連の問題は、7月にJR貨物の電気機関車が脱線事故を起こしたのを機に発覚。国交省の指示で全国の鉄道各社が緊急調査した結果、156の事業者のうち50社の輪軸で記録改ざんの不正が判明し、41社でも不適切な作業実態が明らかになった。
これを受け、国交省は9月以降、改ざんがあった5グループ8社に特別保安監査を実施。JR貨物では、輪軸の取り付け作業について体系的な従業員教育が行われず、基準から逸脱した輪軸をそのまま使用する運用が長期間、口頭で漫然と踏襲されていたことが判明した。
このため、国交省は同社に対し、〈1〉社内規定の整備〈2〉教育体制の改善〈3〉安全管理体制の点検と見直し――などを講じ、輸送の安全を確保するよう命じる。
JR貨物以外では、委託先の子会社などで改ざんがあった東京メトロ、京王電鉄、東急電鉄の大手3社と、委託先3社に再発防止へ向けた改善指示・指導(行政指導)を出した。7年前に社内で改ざんが判明した際に報告・公表しなかったJR東日本には、速やかな報告の仕組み構築などの指示(同)をした。いずれも30日付。
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一方、国交省は30日、外部有識者や鉄道会社、メーカーなどによる「鉄道車両の輪軸の安全性に関する検証会議」(座長・須田義大東京大教授)の初会合を開いた。輪軸取り付け作業を巡る安全性の確認方法や、基準逸脱時の取り扱いの明確化を図る。年内に取りまとめを公表する。