【ライブレポート】和と洋の融合が神々しいTMG 20年ぶりに感じた松本孝弘の存在感とバンドの結束力
Tak Matsumotoこと、B’z松本孝弘のHR/HMバンド「TMG (Tak Matsumoto Group)」。今年20年ぶりに再始動を果たし、9月18日に2枚目のフルアルバム『TMG II』をリリース後、翌19日から全国ツアー「TMG LIVE 2024 -Still Dodging The Bullet-」をスタート。そのファイナル公演が10月12日、東京ガーデンシアターで開催された。
【ライブ写真】日米トップミュージシャンが結集したTMG 圧巻のパフォーマンス
■日米トップミュージシャンが結集 威風堂々とした華々しいパフォーマンスに感嘆
ステージに立つのは、松本に加え、TMGのオリジナル・メンバーであるエリック・マーティン(Vo/MR.BIG)とジャック・ブレイズ(Ba & Vo/Night Ranger)、そしてレコーディングにも参加しているマット・ソーラム(Dr/Guns N’ Roses、Velvet Revolver)、B’z作品のアレンジやライブ・サポートで知られるYukihide "YT" Takiyama(Gt)という日米トップミュージシャンたちが強靭なタッグを組んだ、錚々たるメンバーたちだ。
ステージ後方のど真ん中には、神社の鳥居を思わせるデザインで「II」と描かれた巨大なTMG提灯が鎮座し(ちなみにステージ上方には、毛筆で「ティーエムジー」「ジャック」「タック」「エリック」「マット」と書かれた5つの提灯も下げられていた)、その左右には、双龍図(建仁寺)を彷彿とさせる龍の絵が描かれるという“和”テイストが散りばめられている。その一方で、開演前の場内BGMには、Guns N’ RosesやVelvet Revolver、AC/DCらの名曲が流され、洋楽アーティストの来日公演のような空気感が会場に充満していた。
すると突然、爆音でGuns N' Roses「Welcome To The jungle」がフルで流され、観客は総立ちに。すでにライブが始まったかのような大歓声の中、間髪をいれずに小和太鼓のような音色でリズムが刻まれ、琴風のサウンドで「THE STORY OF LOVE」のリフが奏でられると、オープニング映像が映し出され、ハードなギターリフからバトンイン。ファイアーボールが松明のように燃え上がり、遂にTMGのライブが幕を開けた。パワフルながらもメロディアスな旋律は、まさに松本節。ライブ冒頭から、あっという間にTMGロックの世界観に観客を誘ってくれる。続いてトリッキーなリズムから始まった「ENDLESS SKY」は、アルバムではドラムだけのフレーズで終わるが、この日はバンドのキメで終わるライブ仕様だ。
「TOKYO! GENKIですか? WE ARE TMG! WE ARE BACK!」
エリックのMCと重なるように松本のギターがうなりを上げると「THE GREAT DIVIDE」へ。ラウドながらも軽快さも持ち合わせたギターサウンドがロックなテンションを心地よくヒートアップさせていき、さらに「DARK ISLAND WOMAN」「JUPITER AND MARS」とたたみかける。続いてドラム台に腰かけたエリックが歌い始めたのは、ミッド・テンポの「FAITHFUL NOW」だ。ここまで上がりっぱなしだったロックの熱量に代わり、この曲では感情を高めていくようなボーカルを披露。その歌声は感動的で、その背景を松本のギターが彩っていく。なかでも、ギターソロの前半は甘く柔らかいサウンドを聴かせ、途中でギターのピックアップを切り替えると、後半は強めの音色で、まるで感情豊かに歌い上げるかのようなギターのニュアンスは圧巻のひと言だった。
その余韻を静かに噛みしめるかのような拍手が会場を包むなか、そこに女性のSEボイスが響き渡ると、ざわめきが起こる。観客の驚きがイントロで確信に変わると、大きな手拍子が自然発生的に起こり、ハードロック色の強い「Everything Passes Away」へ。エリックとジャックのツイン・ボーカル曲で、7拍子という変則的なリズムでありながらも、アウトロで大合唱となるというTMGならではの一曲だ。1stアルバム『TMG I』の収録曲だが、この曲に続いたのが、同じく1stアルバムのオープニングを飾った、盛り上がり必至の「OH JAPAN 〜OUR TIME IS NOW〜」というという意表を突くニクいセットリストに、客席からは歓喜と驚きの声が上がった。
このように、前半だけでもTMGの凄みを十分すぎるほどに堪能させてくれたライブであったが、とにもかくにも、日米ロック・スターの共演だけあって、まさしく威風堂々といった華々しいパフォーマンスに感嘆する想いだった。マットの重量感あるロック・ビート、ステージを所狭しと動き回りながらも全身でロックを体現するジャックのベース。この2人が強靭なグルーヴを生み出すと、そこにエリック渾身のボーカルが重なるのだから、文句なしの最高最強バンド・サウンドだ。そのなかで、バンドを牽引しながら、時に彼らのパフォーマンスを引き立てもする松本のギターサウンドは見事というほかない。特に彼のトーン(音色)の多彩さには、終始、魅了されっぱなしであった。
■20年ぶりのライブで感じた松本孝弘の音楽的ボキャブラリーの広さ
そんな松本の真骨頂と言えるプレイが、立ち位置をステージのセンターに変えて披露されたソロ曲「Waltz in Blue」だった。この曲は2020年にリリースされたソロ・アルバム『Bluesman』に収録された3拍子のインストゥルメンタル曲だが、1曲を通して、細かくギターのピックアップを切り替え、ボリュームのコントロール、あるいは右手、左手の繊細なタッチによって音色を自在にあやつり、まるでボーカリストがその瞬間の感情を声色で表現するかのように、実に多彩なニュアンスをギターで表現していた。ロック・ギタリストと言うと、どうしてもハードな側面ばかりが注目されがちだが、こうした心の機微をギターという楽器で表現しうる力量こそが、松本が世界で評価されるひとつの大きな要因なのだろう。そんな松本のプレイを阿吽の呼吸で支えるYukihide "YT" Takiyamaのテクニックと音楽力も見逃せない。
もうひとつ興味深かったのは、こうした松本独特のトーン、そしてコンポーザーとしての音楽性が、ソロやB’zの場面ではとても洋楽ロック的に聴こえるが、名だたる洋楽レジェンドたちが脇を固めたTMGのステージでは、それらが不思議と“和”のテイストとして自然に感じられたことだ。もちろんTMGの楽曲には、意図して“和”をイメージさせるフレーズや音色も取り入れられているが、そうした部分ではなく、松本が綴るメロディや音色の端々に、洋楽ロックにはない、日本的な響きが織り込まれていることに、今回、改めて気づかされた。
よくよく考えれば、「洋楽」に対して「邦楽」と呼ばれていた国内音楽シーンが、90年代に入って日本独自の「J-POP/J-ROCK」と成長していった際、その地盤を固めたキーパーソンの一人が、松本にほかならない。彼の音楽的嗜好と探究心がオリジナリティを生み出していった中で、そこに自然と日本的な情緒が加わってくることは、ある意味で当然だろう。そうした楽曲のボトムを、マットとジャックのリズム隊が支え、そのメロディをエリックが歌うという日米アイデンティティの融合によって、かえって松本の根底にある“和”のテイストがより色濃く浮き出てきたということは、今回のステージを観ていての新鮮な発見であった(そうした印象が影響してか、松本の背後にそびえ立つファンにはお馴染みの12台のオリジナル・ギターアンプが、一瞬、和室の障子のように感じる瞬間さえあった)。
そんなことが頭に浮かぶなかで、ステージではアコースティック調にアレンジされた MR.BIGの名曲「To Be With You」がカバーされたかと思うと、松本のソロ・インストゥルメンタル曲「Arby Garden」を再構築して新たに歌詞を乗せたメロディアスな「COLOR IN THE WORLD」、カウベルの軽快な4分音符のリズムと重量感のあるベース、そこに加わるギターリフが絶妙のマッチングを醸し出す「MY LIFE」、ハードロックの王道を行く「CRASH DOWN LOVE」と立て続けに新曲を聴かせ、それらとシームレスに、20年前に作られた「KINGS FOR A DAY」と「NEVER GOOD-BYE」が続く。
ここでスペシャル・ゲストとしてBABYMETALが登場し、松本が彼女たちとコラボレーションした「DA DA DANCE」を披露。この曲は、90年代のユーロビートをメタルサウンドで破壊しながらも調和させるというダンス・チューンだが、こうした曲でも自身のスタイルを崩すことなく、かつ、現代的なサウンドに彩りを加えていくところに、ロックに凝り固まらない松本の音楽的ボキャブラリーの広さを感じた。もちろん、百戦錬磨のバンドを従えて歌い、踊るBABYMETALのキュートさも、これまた圧倒的だった。
そしてBABYMETALのSU-METALがそのままステージに残り、ラストに「ETERNAL FLAMES(feat. BABYMETAL)」が歌われて本編が終了。アンコールでは、ステージ後方に巨大な日本国旗と星条旗が掲げられて、Night Rangerの「(You Can Still)Rock in America」が歌われると、このバンド、そして今回のTMG再始動を象徴する曲と言っても過言ではない「GUITAR HERO」を最後に演奏し、ファイナル公演は大団円を迎えた。
演奏後、松本を中央に迎えて観客に手を振り、記念撮影を行うメンバーたちの様子を見ながら、改めて松本孝弘というミュージシャンの存在感の大きさに気づかされた。自身がフロントセンターに立ったり、積極的にMCを行うことはせず、ある意味でエリック、ジャック、マットをパフォーマンスの主役としてライブを行いながらも、同時に、このバンドには絶対的にTak Matsumotoのメロディとギター無しには成り立たないということも証明していた。まさに司令塔的な存在。それがTMGのリーダー、Tak Matsumotoなのだ。
20年ぶりに再始動したこの伝説的なバンドを、次にいつ観ることができるのか、それは誰もわからない。だが、その儚さもまた、TMGがTMGたるひとつの所以なのかもしれない。
文・布施雄一郎
■TMG『TMG LIVE 2024 -Still Dodging The Bullet-』セットリスト
2024年10月12日(土)東京ガーデンシアター
01. THE STORY OF LOVE
02. ENDLESS SKY
03. THE GREAT DIVIDE
04. DARK ISLAND WOMAN
05. JUPITER AND MARS
06. FAITHFUL NOW
07. Everything Passes Away
08. OH JAPAN 〜OUR TIME IS NOW〜
09. Waltz in Blue(Tak Solo)
10. To be With You
11. COLOR IN THE WORLD
12. MY LIFE
13. CRASH DOWN LOVE
14. KINGS FOR A DAY
15. NEVER GOOD-BYE
16. DA DA DANCE
17. ETERNAL FLAMES
Encore
18. (You Can Still) Rock in America
19. GUITAR HERO
写真クレジット
(C)VERMILLION
(C)Dynamic Planning・TOEI ANIMATION
■日米トップミュージシャンが結集 威風堂々とした華々しいパフォーマンスに感嘆
ステージに立つのは、松本に加え、TMGのオリジナル・メンバーであるエリック・マーティン(Vo/MR.BIG)とジャック・ブレイズ(Ba & Vo/Night Ranger)、そしてレコーディングにも参加しているマット・ソーラム(Dr/Guns N’ Roses、Velvet Revolver)、B’z作品のアレンジやライブ・サポートで知られるYukihide "YT" Takiyama(Gt)という日米トップミュージシャンたちが強靭なタッグを組んだ、錚々たるメンバーたちだ。
ステージ後方のど真ん中には、神社の鳥居を思わせるデザインで「II」と描かれた巨大なTMG提灯が鎮座し(ちなみにステージ上方には、毛筆で「ティーエムジー」「ジャック」「タック」「エリック」「マット」と書かれた5つの提灯も下げられていた)、その左右には、双龍図(建仁寺)を彷彿とさせる龍の絵が描かれるという“和”テイストが散りばめられている。その一方で、開演前の場内BGMには、Guns N’ RosesやVelvet Revolver、AC/DCらの名曲が流され、洋楽アーティストの来日公演のような空気感が会場に充満していた。
すると突然、爆音でGuns N' Roses「Welcome To The jungle」がフルで流され、観客は総立ちに。すでにライブが始まったかのような大歓声の中、間髪をいれずに小和太鼓のような音色でリズムが刻まれ、琴風のサウンドで「THE STORY OF LOVE」のリフが奏でられると、オープニング映像が映し出され、ハードなギターリフからバトンイン。ファイアーボールが松明のように燃え上がり、遂にTMGのライブが幕を開けた。パワフルながらもメロディアスな旋律は、まさに松本節。ライブ冒頭から、あっという間にTMGロックの世界観に観客を誘ってくれる。続いてトリッキーなリズムから始まった「ENDLESS SKY」は、アルバムではドラムだけのフレーズで終わるが、この日はバンドのキメで終わるライブ仕様だ。
「TOKYO! GENKIですか? WE ARE TMG! WE ARE BACK!」
エリックのMCと重なるように松本のギターがうなりを上げると「THE GREAT DIVIDE」へ。ラウドながらも軽快さも持ち合わせたギターサウンドがロックなテンションを心地よくヒートアップさせていき、さらに「DARK ISLAND WOMAN」「JUPITER AND MARS」とたたみかける。続いてドラム台に腰かけたエリックが歌い始めたのは、ミッド・テンポの「FAITHFUL NOW」だ。ここまで上がりっぱなしだったロックの熱量に代わり、この曲では感情を高めていくようなボーカルを披露。その歌声は感動的で、その背景を松本のギターが彩っていく。なかでも、ギターソロの前半は甘く柔らかいサウンドを聴かせ、途中でギターのピックアップを切り替えると、後半は強めの音色で、まるで感情豊かに歌い上げるかのようなギターのニュアンスは圧巻のひと言だった。
その余韻を静かに噛みしめるかのような拍手が会場を包むなか、そこに女性のSEボイスが響き渡ると、ざわめきが起こる。観客の驚きがイントロで確信に変わると、大きな手拍子が自然発生的に起こり、ハードロック色の強い「Everything Passes Away」へ。エリックとジャックのツイン・ボーカル曲で、7拍子という変則的なリズムでありながらも、アウトロで大合唱となるというTMGならではの一曲だ。1stアルバム『TMG I』の収録曲だが、この曲に続いたのが、同じく1stアルバムのオープニングを飾った、盛り上がり必至の「OH JAPAN 〜OUR TIME IS NOW〜」というという意表を突くニクいセットリストに、客席からは歓喜と驚きの声が上がった。
このように、前半だけでもTMGの凄みを十分すぎるほどに堪能させてくれたライブであったが、とにもかくにも、日米ロック・スターの共演だけあって、まさしく威風堂々といった華々しいパフォーマンスに感嘆する想いだった。マットの重量感あるロック・ビート、ステージを所狭しと動き回りながらも全身でロックを体現するジャックのベース。この2人が強靭なグルーヴを生み出すと、そこにエリック渾身のボーカルが重なるのだから、文句なしの最高最強バンド・サウンドだ。そのなかで、バンドを牽引しながら、時に彼らのパフォーマンスを引き立てもする松本のギターサウンドは見事というほかない。特に彼のトーン(音色)の多彩さには、終始、魅了されっぱなしであった。
■20年ぶりのライブで感じた松本孝弘の音楽的ボキャブラリーの広さ
そんな松本の真骨頂と言えるプレイが、立ち位置をステージのセンターに変えて披露されたソロ曲「Waltz in Blue」だった。この曲は2020年にリリースされたソロ・アルバム『Bluesman』に収録された3拍子のインストゥルメンタル曲だが、1曲を通して、細かくギターのピックアップを切り替え、ボリュームのコントロール、あるいは右手、左手の繊細なタッチによって音色を自在にあやつり、まるでボーカリストがその瞬間の感情を声色で表現するかのように、実に多彩なニュアンスをギターで表現していた。ロック・ギタリストと言うと、どうしてもハードな側面ばかりが注目されがちだが、こうした心の機微をギターという楽器で表現しうる力量こそが、松本が世界で評価されるひとつの大きな要因なのだろう。そんな松本のプレイを阿吽の呼吸で支えるYukihide "YT" Takiyamaのテクニックと音楽力も見逃せない。
もうひとつ興味深かったのは、こうした松本独特のトーン、そしてコンポーザーとしての音楽性が、ソロやB’zの場面ではとても洋楽ロック的に聴こえるが、名だたる洋楽レジェンドたちが脇を固めたTMGのステージでは、それらが不思議と“和”のテイストとして自然に感じられたことだ。もちろんTMGの楽曲には、意図して“和”をイメージさせるフレーズや音色も取り入れられているが、そうした部分ではなく、松本が綴るメロディや音色の端々に、洋楽ロックにはない、日本的な響きが織り込まれていることに、今回、改めて気づかされた。
よくよく考えれば、「洋楽」に対して「邦楽」と呼ばれていた国内音楽シーンが、90年代に入って日本独自の「J-POP/J-ROCK」と成長していった際、その地盤を固めたキーパーソンの一人が、松本にほかならない。彼の音楽的嗜好と探究心がオリジナリティを生み出していった中で、そこに自然と日本的な情緒が加わってくることは、ある意味で当然だろう。そうした楽曲のボトムを、マットとジャックのリズム隊が支え、そのメロディをエリックが歌うという日米アイデンティティの融合によって、かえって松本の根底にある“和”のテイストがより色濃く浮き出てきたということは、今回のステージを観ていての新鮮な発見であった(そうした印象が影響してか、松本の背後にそびえ立つファンにはお馴染みの12台のオリジナル・ギターアンプが、一瞬、和室の障子のように感じる瞬間さえあった)。
そんなことが頭に浮かぶなかで、ステージではアコースティック調にアレンジされた MR.BIGの名曲「To Be With You」がカバーされたかと思うと、松本のソロ・インストゥルメンタル曲「Arby Garden」を再構築して新たに歌詞を乗せたメロディアスな「COLOR IN THE WORLD」、カウベルの軽快な4分音符のリズムと重量感のあるベース、そこに加わるギターリフが絶妙のマッチングを醸し出す「MY LIFE」、ハードロックの王道を行く「CRASH DOWN LOVE」と立て続けに新曲を聴かせ、それらとシームレスに、20年前に作られた「KINGS FOR A DAY」と「NEVER GOOD-BYE」が続く。
ここでスペシャル・ゲストとしてBABYMETALが登場し、松本が彼女たちとコラボレーションした「DA DA DANCE」を披露。この曲は、90年代のユーロビートをメタルサウンドで破壊しながらも調和させるというダンス・チューンだが、こうした曲でも自身のスタイルを崩すことなく、かつ、現代的なサウンドに彩りを加えていくところに、ロックに凝り固まらない松本の音楽的ボキャブラリーの広さを感じた。もちろん、百戦錬磨のバンドを従えて歌い、踊るBABYMETALのキュートさも、これまた圧倒的だった。
そしてBABYMETALのSU-METALがそのままステージに残り、ラストに「ETERNAL FLAMES(feat. BABYMETAL)」が歌われて本編が終了。アンコールでは、ステージ後方に巨大な日本国旗と星条旗が掲げられて、Night Rangerの「(You Can Still)Rock in America」が歌われると、このバンド、そして今回のTMG再始動を象徴する曲と言っても過言ではない「GUITAR HERO」を最後に演奏し、ファイナル公演は大団円を迎えた。
演奏後、松本を中央に迎えて観客に手を振り、記念撮影を行うメンバーたちの様子を見ながら、改めて松本孝弘というミュージシャンの存在感の大きさに気づかされた。自身がフロントセンターに立ったり、積極的にMCを行うことはせず、ある意味でエリック、ジャック、マットをパフォーマンスの主役としてライブを行いながらも、同時に、このバンドには絶対的にTak Matsumotoのメロディとギター無しには成り立たないということも証明していた。まさに司令塔的な存在。それがTMGのリーダー、Tak Matsumotoなのだ。
20年ぶりに再始動したこの伝説的なバンドを、次にいつ観ることができるのか、それは誰もわからない。だが、その儚さもまた、TMGがTMGたるひとつの所以なのかもしれない。
文・布施雄一郎
■TMG『TMG LIVE 2024 -Still Dodging The Bullet-』セットリスト
2024年10月12日(土)東京ガーデンシアター
01. THE STORY OF LOVE
02. ENDLESS SKY
03. THE GREAT DIVIDE
04. DARK ISLAND WOMAN
05. JUPITER AND MARS
06. FAITHFUL NOW
07. Everything Passes Away
08. OH JAPAN 〜OUR TIME IS NOW〜
09. Waltz in Blue(Tak Solo)
10. To be With You
11. COLOR IN THE WORLD
12. MY LIFE
13. CRASH DOWN LOVE
14. KINGS FOR A DAY
15. NEVER GOOD-BYE
16. DA DA DANCE
17. ETERNAL FLAMES
Encore
18. (You Can Still) Rock in America
19. GUITAR HERO
写真クレジット
(C)VERMILLION
(C)Dynamic Planning・TOEI ANIMATION