偽情報を研究して注意喚起を行う団体の研究対象となる偽情報が、保守派の意見とも一致しているとの観点から、一部の共和党議員やイーロン・マスク氏が当該団体を提訴して抑圧しようとしているとBloombergの記者が指摘しました。

Musk and Friends Are Smothering the Internet’s Truth Seekers - Bloomberg

https://www.bloomberg.com/opinion/articles/2024-10-28/musk-and-friends-are-smothering-the-internet-s-truth-seekers



Bloombergのテクノロジー担当コラムニスト、パーミー・オルソン氏は、偽情報の流れを研究している団体が、「もう一つの事実」の拡散から利益を得ていると思われる人から訴えられていると述べています。

オルソン氏は、こうした団体が訴えられている理由の1つに、当該団体が追跡している偽情報の一部が保守的な立場と一致しているからだと指摘。

例えば新型コロナウイルスの流行があり、オルソン氏いわく「ドナルド・トランプ自身を含む多くの共和党指導者やインフルエンサーが、社会的混乱緩和策やマスク義務化の多くに疑問を呈し、ワクチン懐疑論を生み出したが、偽情報研究団体が誤報を含む投稿を削除するようSNSに呼びかけたとき共和党はそれを党派的攻撃と見なした」とのこと。

偽情報研究団体の活動が共和党の活動を阻害するため、共和党関係者が偽情報研究団体を訴えて抑圧しようとしているというのが、オルソン氏の主張です。



訴訟の例としては、2023年にトランプ大統領のアドバイザーであるスティーブン・ミラーが起こした、スタンフォード大学インターネット観測所に対する件があります。ミラー氏は「同団体や他の研究グループが、連邦政府と共謀して何百万人ものアメリカ人の政治的言論を標的にした大規模な監視と検閲を行った」と主張しており、インターネット観測所は翌年「圧力を受けて閉鎖された」と報じられるに至っています。

このほか、Graphikaや戦略対話研究所といった著名な団体にも、訴訟や議会への召喚が行われているとのことです。

マスク氏は、「X(旧Twitter)のデジタル広告ビジネスに損害を与えることを意図した、一連の問題かつ根拠のない主張を行った」としてデジタルヘイト対策センターを訴えています。このほか、複数の研究者がマスク氏の訴訟を懸念して研究を断念あるいは変更していたことが伝えられています。

イーロン・マスクの起訴を恐れて100人以上の研究者がX(旧Twitter)の研究を断念 - GIGAZINE



by Wired Photostream

オルソン氏は「偽情報の研究を『検閲』と呼ぶことは、偽情報の抑制が不十分なSNSの均衡をさらに崩すことになります。研究団体がなくなり、偽情報がどこで共有されているのかがわからなくなれば、どうやってオンラインプラットフォームの責任を問うことができるのでしょうか?」と指摘しました。