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 大相撲九州場所(11月10日初日・福岡国際センター)の新番付が28日発表され、東前頭16枚目で新入幕した獅司(27=雷部屋)が福岡市西区の部屋で師匠の雷親方(元小結・垣添)と会見した。

 9月の秋場所は西十両2枚目で9勝。現在の師匠が昨年2月、定年になった入間川親方(元関脇・栃司)から部屋を継承して以来、初の新入幕力士となった。

 母国ウクライナからは初の幕内力士。「ウレシシ(獅司)です。幕内に上がれて良かった。新十両から1年、早かった」。昨年名古屋場所での新十両昇進からの月日へ思いを巡らせ、「幕内に上がってお金を一杯もらって、ウクライナへ送ります」と意欲を語った。おかみさんの栄美さんによれば、昨年名古屋場所での新十両昇進前から収入の約半分、毎月50万円ほどを送金しているそうで、1日2〜3時間電話も欠かさない家族思いの一面を明かした。

 飛躍のきっかけは、取り口の変化。これまではパワーを生かしたカチ上げや張り手など荒々しい相撲が多かったが、名古屋場所で右ヒジを負傷して右で差せなくなった。

 そこで左差しの習得を決意。獅司が「ママ」と呼ぶおかみの栄美さんは日大相撲部出身、女子相撲の重量級で日本一に3度優勝した。左四つを得意とし、「自分のやってきたことだから教えられて良かった」。まさにけがの功名だろう。「ママに教わった。女房が教えてくれて、それがいい方向へ行った」。審判部所属の雷親方は朝稽古を監督できない日もあるため、栄美さんから受けた指導を生かして果たした新入幕だった。

 「元々スターになれると思っていた。三役のチャンスもある」。まずは今場所の勝ち越しを期待する雷親方は、自身の番付を超える飛躍を望んだ。