連続テレビ小説『おむすび』に出演する新納慎也

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 連続テレビ小説『おむすび』(NHK総合/毎週月〜土曜8時ほか)より、神戸市役所の職員・若林建夫役を演じる神戸市出身の俳優・新納慎也のコメントが到着。劇中で描かれる阪神・淡路大震災について、当時の緊迫した様子や復興の「誇り」、作品への想いなどについて語った。

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 『おむすび』は、平成元年生まれのヒロイン・米田結(橋本環奈)が“ギャル文化”と出会い、どんなときでも自分らしさを大切にする“ギャル魂”を胸に、やがて栄養士となって人の心と未来を結んでいく“平成青春グラフィティ”。

 新納が演じる若林建夫は、神戸市役所の職員で、米田家が営む理髪店の常連。さくら通り商店街にアーケードを設置する計画の担当者で、結の父・聖人(北村有起哉)に商店街側の責任者になるよう依頼する。

 新納は、本作への出演が決まった当時を振り返り「朝ドラ『ブギウギ』で松永大星を演じていた撮影中か放送中に、『おむすび』出演のお話をいただいて、『また大阪に行く日々がやってくるんやな』と思った記憶があります。こんなに続けての出演は珍しいことらしいので、ありがたいし嬉しかったですね。『ブギウギ』と同じスタッフさんも多く、『ただいま〜』という感じです。松永さんがよくやっていた“グッドラック”のポーズをして迎えてくださるスタッフさんもいました」と述懐。

 演じる役については「若林さんは松永さんと真逆の役なんです。松永さんだけじゃなく、NHKだと大河ドラマ『真田丸』で豊臣秀次役、『鎌倉殿の13人』で阿野全成役とクセが強い役をやらせていただきましたが、この流れから想像もつかない地味な役ですね。僕が出ると視聴者の方は『なんかやるぞ』と思うかもしれませんが、神戸市役所の真面目な職員で、突飛なことはしません。…多分(笑)」と説明。

 そして「僕は神戸市出身なのですが、(1995年1月17日の)阪神・淡路大震災が起きた時はあれほどの大地震を経験するのがみんな初めてで、何もわからなかったんです。市の職員の方も本当に困っただろうと思います。震災当時、神戸市役所にも大勢の方が避難していたのを実際に見ました。市役所内に公衆電話がいっぱい並べられていて、みんながそこに電話をしに集まっていました。職員の方は対応に奔走していたことでしょう」と当時の様子を語り、「ドラマに描かれていない部分でも、若林は市の職員として頑張ったのだろうと思います」と役柄を重ね合わせた。

 さらに「(本作で)阪神・淡路大震災を描くと聞いたときにちょっとヒリヒリする独特の感覚がありました。震災時は大学生で大阪に住んでいたのですが、神戸で暮らす家族と連絡が取れなくなったのが心配で、水をかついで実家まで9時間近くかけて戻った経験も。途中、電車が止まっていて、徒歩も交えて神戸に辿り着きました。幸い家族は無事でしたが、避難所へ知人を探しに行ったのを覚えています。だから劇中の避難所シーンの撮影では『こんなんやったね…』と、当時を思い出しましたね。エキストラさんがすし詰め状態で、プライバシーも何もない感じがリアルでした。当時の避難所は現在の避難所の様子とはかなり違っていて、もっともっとギュウギュウでした。阪神・淡路大震災以後、少しずつ改善されたんでしょうね」と、自身の経験を詳細にコメント。

 続けて「ただ、『震災』は僕にとって傷であるだけでなく、誇りでもあるんです。震災当時は本当にどうなることかと思いましたし、約30年経つ今だから言えることですが、復旧復興して前向きに進んでいった神戸が『誇り』です」と言葉に力を込め、「一方で、各地で大きな地震が起きるたびに大きく傷つく自分もいます。今年起きた能登半島地震の被災地のことがずっと気がかりですし、復旧復興が遅れている現状にとても心を痛めています。このタイミングで『おむすび』が放送されることで、能登をはじめとする各被災地の方々に『大丈夫だよ、必ずこうやって乗り越えられるから!この国の人たちにはそのパワーがあるよ!』と伝わったらいいなと思っています」と、被災地への想いを熱く語った。

 最後は「作品に出てきたら何かしでかすと思われがちな僕ですが、今回は何もしません…多分(笑)。神戸の復旧復興を願う、真面目な市役所職員役を楽しんでいただけたら幸いです。震災を描く作品なので、神戸や東北、能登など、各被災地の方々が悲しいことを思い出してしまうシーンもあるかもしれませんが、『いや、待てよ。これを乗り越えてきたやんか!』とパワーに変換していただけたら。日本は地震大国で何度も何度も地震に見舞われていますが、その記憶も前に進むパワーなんだと捉えてドラマを見ていただければ嬉しいです」と、視聴者にメッセージを送って締めくくった。