グッドデザイン賞を受賞したアリーナ施設「横浜BUNTAI」=横浜市中区

 日本デザイン振興会が主催する「2024年度グッドデザイン賞」が発表された。応募5773件の中から1579件が受賞。神奈川県内では昨年から6件増加し、56件の企業が受賞した。中でも、まちづくりや新たなコミュニティーづくりに貢献した3件を紹介する。

 1件目は相鉄ホールディングス(HD、横浜市西区)と相鉄ビルマネジメント(同区)が手がけた地域コミュニティー「みなまきTRY STAND/弥生台TRY BOX」。19年、同市旭区にある「相鉄ライフ南まきが原」の一角にあった宝くじ売り場跡地に、地域住民が気軽に出店できるスペースを開設。好評だったことから、21年には同市泉区の「相鉄ライフやよい台」内の元宝くじ売り場でも展開し始めた。両社によると、同場所は地域と関わりを持ちたい人や、いつか自身の店を出店したい人向けに、1日単位で利用できるスペースになっているという。

 審査評では、地域住民の小商いやチャレンジの場となっていることに触れ、「地域に新しい体験をもたらし、活性化を図るためのベストな空間となった」としている。

 2件目は藤沢市辻堂元町にある一戸建て賃貸住宅「ちっちゃい辻堂」だ。同場所で賃貸住宅などを運営する会社「五兵衛」が建設したもので、“ゆるやかに集まってつくる土とつながった暮らし”をテーマに4棟で構成。全て木造住宅で周囲には木々が生えており、まるで小さな村が誕生したかのような風景を見せている。

 審査委員は地域産材や有機素材、廃材といった循環型資源を生かした低負荷型の住宅づくりを評価。その上で「地域や環境課題を同時に解決するような住まいをデザインした」と評する。五兵衛の石井光社長は「一般的なマンション建設とは違う、大地とつながったコミュニティーのある暮らしが評価されたことがうれしい」と話す。

 3件目は今年4月、横浜市中区に開館したアリーナ施設「横浜BUNTAI」と隣接する「ホテルコメント横浜関内」。周辺街区や横浜武道館と一体となり、まちに新たな回遊性とにぎわいを生む整備事業と位置付けられている。施設は市民利用のほか、バスケットボール男子のBリーグ1部(B1)の試合やコンサートといった興行にも活用。隣接してホテルを整備したことで、イベント後も仲間同士で楽しい時間を過ごせるなど、相乗効果を発揮しているとされる。審査委員は「隣り合うホテルとの一体性も良く、これからのアリーナ像として評価した」とコメントしている。