スポニチ

写真拡大

 ◇関西学生アメリカンフットボール1部リーグ 関学大31ー15関大(2024年10月26日 花園ラグビー場)

 関学大が31―15で関大を圧倒し、開幕6連勝で61度目の優勝を決めた。2018年からリーグ6連覇(20年はコロナ禍によるトーナメント方式で優勝回数に含まず)。オフェンスが4TDと奮起し、昨年最終節で敗れ、3校同率優勝に持ち込まれた1年前の借りを返した。関学大は全日本大学選手権(決勝が甲子園ボウル)への出場も決定。最終節の立命大戦で全勝での単独優勝を目指す。

 王者は、ピンチをピンチで終わらせない。開始7プレー目。関学大はQB星野秀太(3年)が負傷退場するアクシデントに見舞われた。昨年の関関戦に続くエースの離脱。そのとき、オフェンスに覚悟を決めた男が2人いた。

 「心の準備はできていた。インターセプトとかファンブルとか、流れが変わるミスだけを気をつけた」

 司令塔を託された星野の弟・太吾(1年)が冷静なプレーでドライブを進めていく。開幕から5試合スターターを任された経験はダテではない。17ー6とリードした第3Q5分43秒にWR五十嵐太郎(3年)へ会心のTDパス。背番号19の躍動は、兄の不在を忘れさせた。

 「あれは練習から太郎さんと合わせたプレー。決まって良かった」。振り返る太吾が左腕につけた3本のシリコンバンドは、退場した兄から託された「思い」だった。

 危機感は、RB伊丹翔栄(4年)のパフォーマンスにも推進力を与えた。「太吾が出るんで、1年生のQBに背負わせたくなかった」。力強い走りで何度もロングゲイン。162ヤードを稼いだランはMVP級の働きといっていい。

 昨年は最終節で関大に敗れ、3校優勝に。伊丹は試合前日、昨年の4年生からLINEでメッセージを受けた。「昨年悔しい思いをして…。先輩らの借りも返せて良かった」。ランプレーを思うように出せず、帰宅した後に流した悔し涙は、喜びと安堵(あんど)のおえつに姿を変えた。

 一部部員による「大麻疑惑」の会見で幕を開けたシーズン。厳しい視線を向けられながら、まずリーグ6連覇の結果は残した。今年こそ単独Vへ。立命大との最終戦に向け、まだモチベーションは高い。