パイオニアは10月10日、カロッツェリアブランドの2024年冬の新製品を発表。大画面ディスプレイオーディオをはじめ、サイバーナビのアップデートや高精細4Kドライブレコーダー、7年ぶりとなるカスタムフィットスピーカーなど、注目のラインナップを取り揃えました。

 

そんな中でもっとも注目された製品が、ディスプレイオーディオ「DMH-SF900」です。発表会でこの製品に触れたところ、その斬新さにぞっこん! そこで今回は、あえてDMH-SF900に絞ってご紹介することにしました。

↑デモカーのスズキ・スイフトに取り付けたディスプレイオーディオ「DMH-SF900」と、専用アプリ「PxLink」をインストールしたスマホ。本製品の実勢価格は、13万円前後(税込)を想定しています

 

スマホのコンテンツが車載で楽しめるApple CarPlay/Android Autoに対応

ディスプレイオーディオはその名の通り、ディスプレイを備えたオーディオシステムのことを指します。近年、急速に認知度と需要が高まっているカーAVシステムで、需要が高まる背景には2021年6月より保安基準が改正されたバックカメラの義務化も理由の一つとして挙げられます(能登半島地震の影響を考慮して適用日は24年11月に延期)。

 

バックカメラを取り付ければ、その映像を表示するためのディスプレイは欠かせません。そのためにもディスプレイオーディオは手軽な表示システムとして採用が進みはじめているのです。バックカメラの義務化で先行した欧米ではこの流れが定着しており、海外でレンタカーを借りれば大半がディスプレイオーディオを装備しています。日本でもバックカメラの義務化により、その流れがいよいよ本格化してきたとみていいでしょう。

↑カロッツェリアのディスプレイオーディオのラインナップ。DMH-SF900はそのトップエンドのモデルとなる

 

一方でディスプレイオーディオは大半がディスクドラブを非搭載としており、ディスプレイオーディオ単体ではラジオぐらいしか楽しめません。つまり、ディスプレイオーディオはスマートフォンとの接続を前提としており、「Apple CarPlay」や「Android Auto」上で展開することで初めてその機能が活かせるようになるのです。すでにスマートフォンを使って音楽やYouTubeなどストリーミングビデオをサブスクで楽しむ習慣が、利用者の間で根付いていることも大きいでしょう。

↑DMH-SF900の開発目的。新たな提案によりニーズを満たすことを目的に開発された

 

これは今や車載器では欠かせないカーナビ機能についても同様のことがいえます。これまで車載カーナビは購入費用が相対的に高く、その上で地図データの更新にも費用がかかるという宿命も背負っていました。それがスマホでは無料のコンテンツが誰でも使え、地図データは常に最新版に更新して提供されます。それならば比較的価格が安いディスプレイオーディオで使えば、それで十分と考える人が増えてきているのです。

 

画面サイズは車内で圧倒的な存在感を見せる10.1インチ

そんな中で投入されたDMH-SF900は、ディスプレイオーディオとしての機能をさらに魅力的なものにするため、ディスプレイを10.1インチもの大型サイズとしました。本体はヨコ178mm×タテ50mmの1DINサイズに取り付けが可能で、ここにフローティング構造としたことで、この大画面を実現できたのです。しかも、取り付け可能な車種は392車種(パイオニア発表)にもおよび、大半の車種で好きなコンテンツがこの大画面上で楽しめるのはうれしいポイントです。

↑10.1インチ・ディスプレイのアングルは前後方向に無段階で可変できる

 

しかも、ディスプレイは視野角の広いIPS方式を採用した高解像度なHDパネル。ここに高透過率の静電容量方式タッチパネルや高輝度LEDバックライトを組み合わせ、黒色再現性に優れたNormally Black方式の採用とも相まって、鮮明かつ高コントラストな映像表現を実現しています。

 

もちろん、Apple CarPlayやAndroid Autoへの接続も実現していますが、DMH-SF900では、ワイヤレスでの自動接続にも対応。そのため、乗車してすぐにスマホにインストールしたアプリを本体ディスプレイに映し出し、タッチパネルで操作できるのです。その上でSiriやGoogleアシスタントによる音声制御もサポートし、走行中でも画面を注視せずに目的地の検索や音楽再生、ハンズフリー通話、テキストメッセージ送信などが可能となるのです。スマホと連携することでこんなにも多機能になるんですね。

↑デモモードでApple CarPlayのメニュー画面を表示。スマホはAndroid端末

 

↑デモモードでAndroid Autoのメニュー画面を表示。スマホはAndroid端末

 

実用性とエンタメ性を兼ね備えた新発想のイルミ「ルミナスバー」

そして、DMH-SF900には他のディスプレイオーディオにはないユニークな機能も装備されました。それがナビとサウンドを視覚的に補助する「ルミナスバー」です。

 

これは、ディスプレイ部の上側に設置された横長のイルミネーションで、音楽のレベルに応じてフラッシングしたり、ナビアプリのルート案内に連動して点灯するというものになります。再生中の楽曲に合わせて光で演出するのが「ミュージックライド」で、発光色や発光パターンは複数用意し、どこか昭和のカーオーディオの雰囲気を醸し出します。また、「ルートガイダンスサポート」は、連携したナビアプリの右左折案内に合わせて、その方向を発光するもので、直感的に曲がる方向がわかることができるメリットがあります。

↑ディスプレイ上部に設置された「ルミナスバー」。音楽のレベルに合わせてフラッシングし、ナビアプリの右左折案内に応じて光を点灯させる

 

↑ルミナスバーでは音楽のレベルに合わせてイルミネーションがフラッシングしている

 

また、Apple CarPlay使用時は、同一画面上に本機や対応アプリを操作するショートカットキー「スプリットスクリーン」を搭載。切り換えボタンをタップするだけで簡単にスプリットスクリーンモードとフルスクリーンモードに変更できるので、画面をいちいち切り替えることなく、スムーズに目的の操作を行えます。この機能は画面右上のタッチボタンでワンタッチに切り替えられるのもいいですね。

↑画面左に表示した「ショートカットキー」は必要に応じて3つの操作パネルに切り替えられる

 

加えて、新たにDMH-SF900の操作と連携する専用アプリ「PxLink」も提供されています。このアプリを使うことで、楽曲の再生/停止やイコライザー設定、FMラジオへの切り替えなど、よく使うものをスマホ上から操作できるのです。

↑専用アプリ「PxLink」を使うとスマホ上で40種もの操作が可能となる。DMH-SF900本体にはスムーズな操作に貢献するハードキーも備えられる

 

操作対象は40種類。この結果、Apple CarPlay、Android Autoの地図画面を表示したまま、スマホから本体を操作できるようになるのです。さらにこのアプリでは、ショートカットキーのカスタマイズや壁紙の設定のほか、最新ファームウェアへのアップデートにも対応しているのも見逃せません。

 

ハイレゾから圧縮音源まで満足度の高いサウンドを提供

ディスプレイオーディオであれば、“音”についても気になるでしょう。DMH-SF900は音質にこだわる人でも十分満足できる、かなり凝った作りをしています。

↑ナビアプリ使用中でも音楽を再生するイメージ。画面を分割して楽曲名が表示できるのが便利

 

パーツには高音質をもたらすために「フルカスタム高性能48 bitデュアルコアDSP」を採用して、独自の音質チューニングを実施。そのうえで車室内で最適な音場を創り出す「タイムアライメント」や「13バンドグラフィックイコライザー」「ネットワークモード」などを使うことで、車内に最適なサウンド環境をもたらします。また、ストリーミングやUSBデバイスに保存した圧縮音源をCDに迫る高音質で再生する「アドバンスド・サウンドレトリバー」も搭載する一方、フルHD動画やハイレゾ音源の再生など、幅広い機器やメディア/フォーマットの再生も可能としています。

 

発表会当日は、試聴用デモカーとして、同時発表されたカスタムフィットスピーカーの最新モデル「TS-C1740S」とパワーアンプ「GM-D2400」のほか、サブウーファー「TS-WX140DA」までを装着した現行型スイフトが用意されていました。車内で実際に試聴してみると、サウンドのステージ感がダッシュボードの上に再現され、サウンドそのものの中高域がとてもクリア。そこに低域がほどよく乗ってくるものだから、聴いていてつい気持ちがワクワクしてしまいました。まさにディスプレイオーディオDMH-SF900は、普段使っているスマホのコンテンツをより身近に、高品質で楽しみたい……そんな人に最適な一台となるでしょう。

↑デモカーのスイフトにはフロントに新製品として発表されたカスタムフィットスピーカー「TS-C1740S」がインストールされていた

 

↑デモカーには、カスタムフィットスピーカーTS-C1740Sのツィータをスイフト専用トゥイーターキット「UD-K309」にインストール

 

 

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