様々なアートに出会う旅 「森の芸術祭 晴れの国・岡山」をめぐる【3】 津山市(後編)
岡山県北部では11月24日(日)まで、国際芸術祭「森の芸術祭 晴れの国・岡山」が開催されています。このたび、アート作品の鑑賞を軸に、奈義町と津山市を訪れ、観光やグルメを満喫した旅のレポートをお届けします。今回は最終回、津山市(後編)です。
今回の旅で、もう一つの楽しみが、地域や、この芸術祭にまつわるグルメです! 津山では早速、「森の芸術祭 晴れの国・岡山」特製パフェ「パルフェ レザン〜ぶどうのうるおい〜」を食す機会がありました。
この「パルフェ レザン」のレシピを開発したパティシエの鈴鹿成年さんは、昨年フランスで開催された洋菓子国際大会で優勝した日本チームのリーダーとしても活躍した方。
特製パフェは「森の芸術祭 晴れの国・岡山」のアートディレクター、金沢21世紀美術館の館長・長谷川祐子さんと一緒に、美しさも追及して完成したとのことです。
津山駅から北へ車で15分のところにある「グリーンヒルズ津山」内の結婚式場、「THE HILLS HOUSE TSUYAMA」のレストランで味わえる、この特製パフェ。シャインマスカットやピオーネといったぶどうがたっぷり入っています。みずみずしさとクリーミーさが抜群で、どこを食べてもバランスのいい、ぜいたくな味わいを堪能できるのもうれしいですね。ちなみに、運ばれてきたときの演出も素敵で、これは見逃し厳禁です! (※同レストランでの販売は10月28日まで)
さて、芸術祭に関するアートでは、緑に囲まれた公園「グリーンヒルズ津山」にも、大きな作品が展示されています。ブラジル人アーティスト、エルネスト・ネトさんの作品は、竹の支柱にネットが覆いかぶせて作られています。この作品は、土日祝の午前9時〜午前11時、そして午後1時〜午後5時には、作品の中に入ったり触れたりできるそうです。今回訪れたのは平日だったので、残念ながら柵の外からの鑑賞となりました。これは生き物なのでしょうか……?
津山のシンボル、津山城の周辺は古い町並みが残っています。JR津山駅から北西へ徒歩約15分のところにある「作州民芸館」は、1909(明治42)年に銀行として建築された建物で、現在は民芸品や郷土玩具などを展示。ここにも芸術祭のアートがあります。
サウジアラビア・リヤド生まれのアーティスト、ムハンナド・ショノさんによる、4つの脚のあるロボットが砂に文様を描く作品です。無機質な感じもしますが、ずっと見ていられるような魅力があります。
他にも、絵画が多数展示されている同館。その中でインパクトがあったのは、現在の岡山県真庭市勝山地区生まれのアーティスト・難波香久三さんの「でいらぼっちの遁走」という作品でした。
次に向かったのは、作州民芸館から徒歩5分のところにある、「城西浪漫館」です。こちらは大正6年に病院として建てられたもの(中島病院旧本館)で、カフェやギャラリーがあります。
そこにあるのは、ヨハネスブルグ(南アフリカ)生まれでパリ在住のアーティスト、ビアンカ・ボンディさんの「森林浴」という作品。苔やハーブを使い、部屋の中が森のようになっています。どこか懐かしい香りが漂っていました。(※10月23日から展示を一時見合わせ中、再開時期は公式サイトで要確認)
今度は、城西浪漫館から東へ、津山城を経て、宮川の東岸に位置する城東地区の「城東むかし町屋」(旧梶村邸)に移動します。重要伝統的建造物群保存地区の一角にある建物の土間には、大阪生まれの華道家・片桐功敦さんの稲穂や麦、生け花を使った作品などが展示されていました。
津山に来て、鉄道好きはもちろん、そうでなくても立ち寄りたい「津山まなびの鉄道館」にも、芸術祭の作品があります。
ここには扇形機関車庫や、めずらしい車両が展示されているのですが、森の芸術祭の作品は、扇形機関車庫の窓ガラスにありました。
現在はソウル、ニューヨーク、パリを拠点として活動する韓国人アーティスト、キムスージャさんの作品です。窓ガラスにプリズムシートが貼ってあり、太陽の光で車庫内などに美しい光が差し込むという作品「息づかい」。訪れた当日は、あいにくの雨で見ることはできませんでしたが、晴れた日には幻想的な世界が広がります。
今回の旅は、「森の芸術祭 晴れの国・岡山」の作品の鑑賞をメインにプランして行きましたが、その道中、面白いスポットや、おいしいグルメにも出会えました。そして、何よりも、様々なスタイルのアートに出会えたこと、そしてアートに対する意識が変わった気がします。
「森の芸術祭 晴れの国・岡山」は、岡山県北部の12市町村。津山市、高梁市、新見市、真庭市、美作市、新庄村、鏡野町、勝央町、奈義町、西粟倉村、久米南町、美咲町と、広い範囲で開催中です。そのうち、津山市の津山城周辺エリアとグリーンヒルズ津山エリア、新見市の満奇洞・井倉洞エリア、真庭市の蒜山エリア、鏡野町の奥津エリア、そして奈義町の奈義町現代美術館周辺エリアの5つの市町で、アート作品が展示されています。