早大進学のはずが…“規定路線”の進路変えた1年前のHR ソフトバンク4位、早実・宇野真仁朗の転機
プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD
「プロ野球ドラフト会議 supported by リポビタンD」が24日に行われ、早実(東京)の宇野真仁朗内野手がソフトバンクから4位指名を受けた。子どもの頃から夢見たプロの舞台。しかし、入学当初は本人も監督も大学進学をイメージしていた。転機となったのは、2年秋。手応えと悔しさが混じった一発だった。
忘れられない瞬間は家族、佐々木博之部長、和泉実監督とともに控室で見届けた。指名発表から約20分後、宇野はキリっとした表情で校内の会見場に登場。「指名されるまでは緊張の感情が大きかったが、指名された瞬間はホッとしたという気持ちが一番大きかった」。高校通算64本塁打のスラッガーの表情には硬さが見て取れたが、時折安心したかのように白い歯を覗かせた。
今夏は主将として早実9年ぶりの夏の甲子園出場に貢献。木製バットながら、初戦で3安打3打点と強打を発揮し、16強入りの原動力となった。小中高全てで日本代表を経験。遊撃を中心に内野全てをこなし、9月のU-18アジア選手権では一塁手としてベストナインにも選ばれた。プロは小さい頃からの目標だったが、志望届を出す決意を固めたのは代表が終わってから。ずっと大学進学と迷い、時間をかけて決断した。
早実のメンバーの多くはそのまま早大に進学し、野球を継続するのが“規定路線”。和泉監督は「入学した時点では(宇野も)早大に進学して、六大学、早慶戦というイメージで来たと思う」と証言。宇野本人も「大学4年間に繋がっていくことがわかって入学を決めたところもあった。最初は大学に行くという気持ちがあった」と打ち明ける。転機となったのは2年秋。都大会準決勝で関東第一に敗れたが、今年ロッテから4位指名を受けた坂井遼投手から左翼席へ一発を放った。
「評価をいただけるようになって、自分の夢であり目標でもあったプロ野球選手が見えてきた」と手応えを感じた宇野。敗戦の翌日、和泉監督に初めてプロへの想いを打ち明けた。恩師は「選抜に行けなかった悔しさも含めてそういった言葉になったのかな」と教え子の気持ちを推察する。努力を重ね、3年夏には念願の聖地へ。自信をつけ、「最後は自分の目標を達成しよう」と決心した。
入学当初からグラウンド整備や球拾い、後片付けを率先して寡黙に行うタイプだった。1年でレギュラーの座を掴んでも、その姿勢は不変。実力だけでなく人間性でもチームの信頼を獲得した。30年以上同校で指揮を執り、斎藤佑樹や清宮幸太郎らを輩出してきた和泉監督も「これまで見てきた中で指折りのキャプテン」と絶賛。「彼なら弱音を吐かずに夢に向かって突き進める」と太鼓判を押した。
(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro-Muku)