『ザ・トラベルナース』©テレビ朝日

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 『ザ・トラベルナース』(テレビ朝日系)第1話では、岡田将生と森田望智の朝ドラ『虎に翼』(NHK総合)キャストの共演に筆者含め、一部視聴者が湧き立っていたが、第2話は避けては通れない、むしろ確信的と言える共演がある。それが岡田と第2話ゲストの井上祐貴との“親子”共演だ。

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 井上が演じるのは、切除可能ながんを患ったエリート商社マン・二宮正男。だがその実態は、社内ニートと呼ばれる会社に席を置きながら事業活動に活用されていない人材で、手術を拒否しながら入院期間を伸ばそうとする、仕舞いには病室で飲酒までしてしまう迷惑な患者だ。歩(岡田将生)はナースとして、二宮を看ることになる。

 一方の『虎に翼』では、航一(岡田将生)とその息子・朋一(井上祐貴)として親子の関係性にあった。初登場時の険悪なムードの印象が強いものの、後半は寅子(伊藤沙莉)らを交えた家族のようなものとして、徐々に溝がなくなっていった。

 放送前には公式SNSに岡田と井上のツーショットがアップされ、そこには「翼」の絵文字も打たれている。写真で2人が座っているベンチは、劇中でも印象的に描かれるシーンだ。歩は医師ではなく看護師を選んだのかを二宮に力説し始める。「患者さんとの距離が医師よりも近いし、何より病気じゃない部分を治せることもあるから」と静(中井貴一)からの受け売りの言葉を用いながら、ナースの楽しさを伝える歩だったが、二宮はうたた寝。寝てた、寝てないの小競り合いは、まるで航一と朋一の親子喧嘩(『虎に翼』ではほとんどなかったが)を見ているかのようだ。 第2話のもう一人のゲストは、西東京総合病院の外科部長・神保輝之を演じる要潤。寝る間も惜しんで働き続ける神保は、優秀な医師だと歩が称賛するが、トップダウン気質でチームワークはゼロ。睡眠不足と疲労から集中力は欠如しており、患者の体内にガーゼを置き忘れるという失態を犯していた。自分の体の限界も知らず、患者の命を危険にさらすのは馬鹿ドクターだと、神保を叱責する静。

 演じる要潤は、朝ドラ『らんまん』(NHK総合)での田邊教授を筆頭に、『花咲舞が黙ってない』(日本テレビ系)の紀本など、近年は傲慢な、いわゆるヴィラン役が多い印象であり、今回の神保もその一つに数えられるだろう。

 そんな神保も、意に反する者はすぐに切り捨てる新院長・薬師丸(山崎育三郎)の犠牲となってしまった。医師不足が深刻だという駿河病院への異動は、実質の左遷と言っていいだろう。第1話では、外科医の神山(風間俊介)が、勝手なオペを行ったことから辞職を迫られていた。

 これで2週連続ドクターが抜けていく西東京総合病院にとっては非常事態であるが、薬師丸が言う働き方改革、日本全体の医療を考えた決断なのだろうか。いよいよ薬師丸の黒幕、歩と静とぶつかり合う展開が濃厚となってきた。

(文=渡辺彰浩)