ロシア・イラン・中国が民主主義の弱体化を狙ってアメリカの大統領選挙を猛攻撃中だとMicrosoftが緊急レポート
アメリカ大統領選挙の投開票を2024年11月5日に控えた2024年10月23日に、Microsoft脅威分析センター(MTAC)が「アメリカの民主的プロセスの弱体化を目的としたロシア・イラン・中国による工作活動が活発化している」との調査結果を報告しました。
As the U.S. election nears, Russia, Iran and China step up influence efforts - Microsoft On the Issues
Iranian hacker group aims at US election websites and media before vote, Microsoft says | Reuters
https://www.reuters.com/technology/cybersecurity/iranian-hacker-group-focuses-us-election-websites-media-ahead-vote-microsoft-2024-10-23/
Russia behind viral disinformation targeting Tim Walz, says US official | US elections 2024 | The Guardian
https://www.theguardian.com/us-news/2024/oct/23/tim-walz-russia-disinformation
Russia and China targeting U.S. elections with AI-generated videos
https://thehill.com/policy/technology/4949612-russia-china-ai-influence-elections/
これまで数度にわたりMTACはロシア・イラン・中国による大統領選挙を標的としたサイバー攻撃の実施を報告しており、2024年4月には「中国がAI生成コンテンツを悪用したアメリカ・韓国・インドの選挙を妨害しようと計画している」とのレポートを発表し警戒を促しています。
中国がアメリカ・韓国・インドの選挙をAI生成コンテンツで妨害するだろうとMicrosoftが警告、すでに台湾の総統選挙で使用か - GIGAZINE
5回目となる今回のレポートでは、ロシアの工作員によるカマラ・ハリス副大統領の信用を失墜させるようなAIによるフェイク動画の拡散が続いており「一部の脅威アクターはコンテンツの公開プラットフォームをTelegramからXにシフトしてアメリカのユーザーの政治的不和をあおっています」と指摘しています。
ロシアがハリス副大統領の信用を失墜させるフェイク動画を拡散しているとMicrosoftが警告 - GIGAZINE
また、アメリカ合衆国国家情報長官も副大統領候補であるティム・ウォルツ氏を標的とした偽情報がロシアの工作員から発信されていることを特定しており「ロシアはドナルド・トランプ前大統領が当選することを望んでおり、ハリス氏、ウォルツ氏を積極的に弱体化させようとするでしょう」「投開票後に暴力的な抗議活動が奨励される可能性もあります」と述べ、警戒を示しています。
続いてイランについてMTACは、イラン革命防衛隊との関連が疑われるハッカー集団「コットン・サンドストーム」が選挙関連サイトの偵察と調査を行っていることを指摘しました。コットン・サンドストームについてMTACは「選挙が近づくにつれて活動を活発化させ、より直接的な影響工作が行われる可能性があります」と注意を促しました。
一方でイラン国連代表部の報道官は「こうした主張には根拠がなく、全く受け入れられません。イランにはアメリカの選挙に干渉する動機も意図もありません」と述べサイバー攻撃への関与を否定しています。
さらに、MTACは中国について、中国公安省との関連が疑われる工作員グループ「Taizi Flood」が偽アカウントを通じてマルコ・ルビオ上院議員やマーシャ・ブラックバーン上院議員、バリー・ムーア下院議員に対する中傷活動を展開していると指摘。これらの議員は過去に中国政府の政策を非難しており、この結果標的にされている可能性があるとMTACは推測しています。
ブラックバーン氏は「中国共産党は私に対する悪意ある攻撃を続けようとするでしょうが、中国を打倒するという私の使命は揺るぎません」と宣言。またルビオ氏は「選挙が近づくにつれて中国はますます攻撃的になっています。中国政府の目標は彼らが反中国とみなす候補者を標的として攻撃し、重要な問題に関するアメリカ国民の世論を意図的に形成することです。このことは真剣に受け止める必要があります」と述べました。
なお、在米中国大使館の報道官は「こうした主張は悪意のある臆測に満ちており、中国にはアメリカの選挙に干渉する意図も意志もありません」「アメリカ側が選挙結果について中国の関与を取り上げないことを願っています。このような主張は確固たる証拠に基づいて展開されるべきです」と語りました。
MTACは「選挙直前のような感情や対立、競争が強まる時期には、フェイク画像や音声、動画が有権者の間で速く広まることがよくあります。外国の脅威アクターはこのようなタイミングで偽のコンテンツを拡散させるでしょう。ロシア・イラン・中国は今後もAIの使用を含むキャンペーンを継続すると予想しており、選挙結果の完全性に疑問を投げかける戦術を採用する可能性があります。MTACは国民への周知に務め、あらゆる形態の外国の干渉から機関を保護するために、この監視活動を継続し、最新情報を公に提供していきます」と注意を促しています。