オイシックス・上村知輝【写真:町田利衣】

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オイシックスの上村は48登板で20セーブを挙げた

 今年こそ、会見場に出ていくことができるのだろうか。イースタン・リーグに新規参入したオイシックス新潟で守護神を務め、2軍トップの20セーブを挙げたのが上村知輝投手だ。フレッシュ球宴でもアピールした24歳右腕は「最後のチャンス」という思いで吉報を待つ。

 創価大を卒業後に新潟入りして3年目。1年目の秋は調査書が届いていたこともあり、ほかの3人のドラフト候補者とともに控室で会議を見守った。球団は会見場をつくり、報道陣やファンも集まっていた。しかし誰も指名を受けることがなく「結局、出ていくことはなかったですね。とにかく悔しかったです」。昨年は調査書すら届かず、「もう一回、ドラフトに懸けたい」と背水の思いで今年に挑んだ。

 チームはイースタン・リーグに参入。経験豊富な打者と対戦することも増えた。「ドラフトにかかった人たちに対して、自分はそういう立場じゃないので、まずは気持ちで負けたくない」と気迫を全面に出した投球で、48試合に登板して5勝5敗20セーブ、防御率2.93という成績を残した。

「イースタン・リーグで全くダメだったらもう無理だなと思っていたので、手応えみたいなものはあります。2軍ですが、やれているなというのは。1軍のレベルがどんなか知りたいという気持ちにはなりました」と向上心を口にした。

 成長を支えるのが、フォークだ。直球と決め球のスライダーに加えて縦変化が加わったことで投球の幅が広がった。「うまく効いているなと実感しています」とうなずくと、今季指揮を執った橋上秀樹監督も「フォークを覚えたことで左打者に対しても空振りが取れるようになった。それが今年の安定した成績につながったのかなと思います。2軍相手にこれだけ放れたというのは、スカウトの方にとっては評価しやすいんじゃないかな」と話した。

「大卒3年目の年なので、年齢を考えてもラストチャンスだなという風には思っています」と語気を強めた上村。2年前の“悪夢”払拭となるか。(町田利衣 / Rie Machida)