笠井信輔アナ

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 双子のタレント「おすぎとピーコ」の兄で、ファッション評論家として活躍したピーコ(本名・杉浦克昭=すぎうら・かつあき)さんが9月3日、敗血症による多臓器不全のため、神奈川県内の病院で死去していたことが20日、分かった。79歳だった。

 ピーコさんと30年以上にわたって共演してきた元フジテレビでフリーの笠井信輔アナウンサーが、フジテレビ系情報番組「Mr.サンデー(日曜・午後10時)に電話出演し、思い出を語った。

 笠井アナは入社2年目で担当した「タイム3」に始まり「とくダネ!」など、番組が変わってもピーコさんと共演し続けてきた。誤解を招きかねない表現にはなることを前置きした上で「デーブ(スペクター)さんもそうだが、一般の日本人男性と違う感覚。本質的なことを言ってくださる。そうだよね、って共感を得られるコメントをしてくださる。それはピーコさんの大いなる魅力だった」と振り返った。

 弟・おすぎとともに“オネエキャラ”で歯に衣着せぬ言動で人気を博した。笠井アナは「30年以上前から、LGBTQという言葉もない頃から、女性でも男性でもない立場、ご本人たちはオネエと言っていたが、はっきり言って活動していたのは美輪明宏さんやピーター(池畑慎之介)さんだけ。コメンテーターをしながら、自分の立場に対する人権的、政治的な発言をバックステージでもしなかった」と、その芯の強さを改めて感じた。

 立場ゆえのつらい思いをしたことなどを口にすることはなかった。笠井アナはがんを患ってから「こういう社会にした方がいい」と発言する機会が増えたからこそ、ピーコさんたちが一切、政治的発言をしなかった思いを考えるようになったという。「つらい思いをしてきたからゆえに生きる術だったのかもしれない。自分たちの覚悟、芸能人としての生き方をしっかり決めてらしたんだなと思う」と振り返った。

 スタジオを離れても“ファッションチェック”はあり、「笠井はなんでそんな変な格好ばっかりするのよ」と言われていたという。呼び捨てにされていたのはピーコさんからだけ。それも優しさだった。「優しさは、自分たちが受けてきたものがあるから、深さがあると思う。配慮するだけじゃなく心と心が触れ合う付き合い方をしないといけない、というのを学ばせてもらった」と感謝した。さらに「テレビに出るということはどういうことかを教えてくださった。本音でうまく語るにはどうすればいいか、背中で見せてくださった。晩年は色々なニュースを目にするたびに、携帯にお電話したんですけど、私のスマホに入っている番号ではつながらなくて。最後にもう1度お話したかった」と悼んだ。