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黒船なき令和の日本で、革命なき安逸の日々のなかで、激烈な政権交代は起きるのか?

しかし、いま変わらなければ――かならず日本は、沈む!

百戦錬磨の戦略家、橋下徹(55歳)。時代を見定め、歴史を洞察し、日本人の本質を透徹した先に見えた悪魔的リアリズム、それが「政権変容論」だ。橋下氏は言う。

「『政権変容』が劇的に新しいのは、自民党がどうであろうと関係なく、野党が腹を括って決断しさえすれば次の総選挙で実現できるところです」

2024年の選挙から、グレートリセットは始まるのだ。

7月19日発売の最新刊『政権変容論』(講談社刊)から、特別に内容を抜粋してお届けしていこう。

『政権変容論』連載第37回

『有権者はもはや“政治”に期待していない…そんな今こそ「政権変容」が必要である!』より続く

政権変容の風のときには与野党一騎打ちの構図がマスト

橋下:有権者の期待が野党にぐんぐん集まる政権交代の風のときには、野党候補者が乱立して無党派層の票が分散したとしても、強烈な野党票が与党票を上回る可能性が高いでしょう。

その際は、本選挙前の予備選は不要かもしれません。野党は好きなだけ候補者を擁立すればいい。

しかし政権「変容」のときは違います。

野党票の核となる無党派層の票が分散すると、最終的に与党が勝利する可能性が高くなる。積極的な野党票が存在しないのですから。

島根1区が典型例です。

与野党一騎打ちの構図になったからこそ、野党票、無党派層の票が分散せずに、立憲が勝てたのです。

今回の補選で立憲が勝ったから、じゃあ次の本選挙でも野党が勝てる!なんていう短絡的な思考では、最後は野党が負けてしまいます。

政権変容の風をしっかりとつかまえるためには、小選挙区において与野党一騎打ちの構図、すなわち野党の候補者を一人だけにする戦略が必要不可欠なのです。

日本維新の会に求められる事とは

橋下:まず維新は、自党の勢力拡大をぐっとこらえ、日本の政治を変える第一歩を踏み出すために、有権者の政権変容の求めに応えるために、東京15区での候補者擁立を断念すべきです。

それが補選での有権者の判断と選挙結果を重視する、維新スピリッツの政治です。

大阪維新を立ち上げ、国政維新を結成したのも、大阪改革、そして大阪都構想を実現するためでした。特に大阪都構想については前例も法律も何もない中、いちから政治グループをつくり上げて、一つ一つの階段を上っていきました。

国政維新は離合集散を繰り返しましたが、当時はカネも組織も経験もありません。あのような離合集散を繰り返しながら、グループの核をつくり、そして東京のメディアに乗せる方法しかありませんでした。

僕が引退するときには、小さな大阪の国会議員集団になっていましたが、しかしあのような離合集散があったからこそ、今の維新国会議員幹部たちが国政でも活躍できるだけの力を蓄えることができたのだと自負しています。

今の国政維新の幹部たちは、大阪の地方議員出身者でありますが、初めからこのメンバーだけで国政政党をつくっていたら今のような勢力にはなっていなかったでしょう。

離合集散の中で力を蓄えていったのだと思います。

「維新の会」と「立憲民主党」は本当に日本のことを考えているのか?その試金石となるのは「野党間予備選挙」だった』へ続く

「維新の会」と「立憲民主党」は本当に日本のことを考えているのか?その試金石となるのは「野党間予備選挙」だった