「『週刊文春』の記事は事実と違う」ユニクロ柳井正会長&石丸伸二《極秘会談》発起人が初めて明かした「真相」…ドトールコーヒー鳥羽会長が語る「経営者と政治との距離感」

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財界人が集まる「救国サロン」にて

「努力に応じ、国民等しく幸せに住める社会の実現。そのためには、優れた指導者の出現が望まれます。私の願いは『卓越した国家経営者』の出現です。日活の前身の映画会社を作った梅屋庄吉は中国の革命家・孫文に経済支援をした。私も日本の国を根本から変え、真に信頼できる指導者に物心両面で支援していきたいと考えています」

銀座・並木通り沿いにある10階建ての商業ビル。その最上階にある豪奢なサロン。なぜ政治家を支援するのか――。この問いに対し、主であるドトールコーヒー創業者の鳥羽博道氏(87歳)は冒頭のように話した。

中編記事『《石丸現象の仕掛け人》ドトールコーヒー鳥羽会長が初めて明かした…「石丸伸二という男」が残した功績と課題、そして今後』でも紹介したように、先の都知事選では石丸伸二氏の後援会長を務め、今回の総裁選では高市早苗氏を支援している鳥羽氏が続ける。

「ドトールの経営から退いたとき、10階建てのビルを建設しましたが、ワンフロアーに『救国サロン』を設け、日本の将来を考える財界人らが交流する場としました。日本はいかにして復活するか。こうした議論を日々行っています。

様々な方がお見えになっていますが、先ほどまでは石丸ファンの若手経営者が来られておりました。都知事選後も石丸さんに会いたいとして、サロンを訪れる方は少なくない。

ユニクロを運営するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長(75歳)さんもその一人です。柳井さんから『石丸氏に会いたい』との電話があり、石丸さんに連絡したところ、彼も『ぜひ』ということであり、このサロンで会うことになりました」

実際に会って、人間性を確かめたかった

柳井氏といえば、8月下旬、日本テレビの番組で「(少数精鋭で仕事をするということを覚えないと)日本人は滅びるんじゃないか」と発言。さらに日本の生産性の低さに危機感を示し、労働力が減る中で生産性を上げていくには研究開発などを担えるような移民の受け入れが必要との持論を展開した。

この発言は賛否を呼んだが、日本の将来に危機感を抱いているのは間違いないだろう。

「柳井さんは既存の政治に関わりたくないということです。一方で、都知事選での石丸さんの躍進を受け、新しい政治が生まれるかもしれないという期待を持ったのでしょう。そこで実際に会ってみて、その人間性を確かめたかったということです。それに値する人物であれば応援しようと思ったのではないでしょうか。

結局、石丸さんの応援団に途中から加わったKDDIの前身、第二電電共同創業者の千本(倖生)さんからも『私もぜひ同席したい』との要望があり、7月22日の午後、このサロンで会うことになりました」

鳥羽氏のサロンに集まったのは柳井氏、石丸氏、千本氏、さらに7月の都知事選で石丸氏を次点に押し上げた選挙プランナーの藤川晋之助氏も加わった。サロンに現れた柳井氏は石丸氏と挨拶を交わすと、「いまの日本の経済をどうしたいのか」「これから日本をどうしたいのか」などと質問を重ねたという。

文春の記事が出た直後、電話が

「内々の面会のはずが、この件が『週刊文春』に報じられてしまい、参りました。柳井さんにはご迷惑をおかけしてしまった」

文春によれば、柳井氏の質問に対する石丸氏の反応が期待していたものではなく、柳井氏は記念撮影も断ったというが、事実とは異なるという。

「文春の記事には『石丸氏の反応は、柳井氏の期待とは少し異なっていたようだ』とありました。柳井さんが石丸さんに対して否定的な見方をした。こう書かれていましたが、事実ではありません。

記事が出た後、柳井さんから電話があり、『自分はそんな風に言ってもいなければ思ってもいない。誤解されたくないから石丸さんに伝えてほしい』とのことでした。その言葉を受け、石丸さんに伝えました。

振り返れば、柳井さんから最初に電話があったとき、『鳥羽さん、勇気ある行動をしましたね』と言われました。私自身、そうした自覚はありませんでしたが、石丸さんを応援したことは、見る人から見れば勇気ある行動になるのでしょう。

たしかに日本の経営者を見ると、政治とは距離を置く方が少なくないのが実情です。煩わしい世界に入りたくないということでしょう。また、政治家を応援する場合、好き嫌いに加え、損得が出てきますが、どうしても自分の利害が先に来てしまうという面もあると思います。

しかし、私は発言する力を持っている人は政治についても自身の考えやアイデアを発するべきだと考えています。もちろんサラリーマン経営者が保身を考えるのは無理もないことです。しかし、揺るぎない資産を持っているオーナー経営者は、自分の国をよくするという観点でものを考えるべきではないか」

国民全体を幸せにできるのは政治しかない

都知事選では石丸氏を、今回の自民党総裁選では高市氏を支援しているが、鳥羽氏が支援しているのは石丸氏と高市氏だけではない。

「私は日本に貢献してくれる人を応援したい。明石市長だった泉(房穂)さんも応援しています。彼は市長としてのひとつのモデルを作ったと思います。日本全国の市長は泉さんに習ってやれば必ず良くなるのではないか。その意味では日本国のために貢献したと考えます。だから私は応援したい。近々サロンに来ることになっています。

このところ少しおかしくなってしまいましたが、維新の会は大きく成長する可能性を秘めていました。自民党を脅かす政党がないことが自民党そのものをおかしくしています。その意味では維新の会が大きくなって自民党を脅かす政党になってほしい。その軸になる人物として期待しているのが日本維新の会幹事長の藤田文武さんです。私は彼の後援会長を務めています」

1時間半にわたって政治家を応援する理由について情熱的に語り続けた鳥羽氏は最後にこう話した。

「私は税金を払うのが嫌だと思ったことは一度もありません。ありがたいことに、私は健康で生まれてきた。福祉に役立つのであればそれはありがたいことです。税金逃れで海外に行くケースなんてもってのほかです。

相続はすでに終えました。残されたお金は国のために使いたい。経営者の中には子ども食堂やシングルマザーなどを支援する方もいます。これも立派ですが、救えるのは一握りの人間です。政治がよくなれば全国民を幸せにすることができます。

私は国民全体を幸せにできるのは政治しかないと考えています。そのためには政治を変える必要があります。政治が変われば世の中は変わる。そう信じています。残りの人生をかけて日本に貢献する人を応援したいという思いです」

《石丸現象の仕掛け人》ドトールコーヒー鳥羽会長が初めて明かした…「石丸伸二という男」が残した功績と課題、そして今後