石破茂には「根本的な欠点」がある…!総裁選の発言からわかった、中国にとって「都合がいい候補」と言えるワケ

写真拡大 (全3枚)

「総裁選の選挙対策」のためだけの政策

小泉進次郎氏の党員党友調査における驚異的(!)な支持率失速を受けて今、高市早苗氏と共に総裁選のトップ2になると目されている石破茂氏(日テレNEWS、9月22日「【独自】自民総裁選 石破氏が約31%で1位 党員・党友調査」)。

進次郎氏に比べて「安定感」があると言われることがしばしばであるが、石破氏の言説をつぶさに分析すると、そんな表面的評価と裏腹に、その言動には全く一貫性が見いだせず、選挙対策のために言う事を適当に変える、実に安定感を欠いた人物であることがクッキリと見えてくる。

例えば経済についてはこちらの記事でご紹介さし上げたように、今回の総裁選では「デフレ脱却」を強調しているが、つい最近に至るまでの彼の長い間の言説を見れば、彼が途轍もない「緊縮脳」を持つ人物であることが見えて来る。

つまり、少し調べてみれば、彼の現下の総裁選での「デフレ脱却」論は、「総裁選の選挙対策」のための完全なるリップサービスであることがハッキリと見えてくるのだ。

領空侵犯には発言するが、洋上ブイについてはナシ

そして、自ら防衛大臣もやったという経歴をお持ちの防衛問題においても、何よりも重要なテーマとなっている「対中国」問題だが、これについては石破氏は今、過日の中国の領空侵犯を受けて、「武器使用により相手の抵抗を抑える『危害射撃』が可能となるよう法改正を検討すべきだ」と発言したと報じられている。

先日の日本人小学生の中国人による深センでの殺害事件を受けて今、とりわけ現下の総裁選の有権者たる自民党「保守」層において、中国に対して毅然とした態度を政府に求める声が高まっている(藤井聡、9月23日「日本人学校『10歳児刺殺事件』で試される日本政治〜国民は今まさに中国に毅然と対峙できる国家リーダーを待ち望んでいる」参照)。そんな中でのこうした石破発言は、自民党員等に肯定的に受け取られているように思われる。

しかし、これが本当の姿だろうか。

例えば、今回の総裁選がまだ何も決まっていなかった昨年、尖閣諸島近くの日本の排他的経済水域(EEZ)内に、中国が無断で「海上ブイ」を設置している問題について、「中国 ブイ 石破」というキーワードで検索しても、石破氏が中国のブイ問題について何か発言したと伝えるサイトは全くヒットしない。

それは、総裁選決定のおおよそ一年前の時点で高市早苗氏が「撤去すべき」「放置できない」「日本が撤去しても違法ではないと思う」等と発言しているサイトが多数検索できるのと全く違う様相だ(zakzak、2023年11月4日「高市早苗氏『撤去』『放置できない』中国の海上ブイ設置問題、X投稿で決然とした姿勢『保守政治家の正念場』と識者」など参照)。

要するに石破氏は、日本のEEZ内で中国が無断で洋上ブイを放置していることについて「政治家」として何ら発信してはいないのであり、洋上ブイ問題という「国家の一大事」に関してすら、中国政府に毅然とした態度を一切取っていなかった事を意味している。

「日本人不当拘束」問題についてもメッセージはなし

対中外交問題における重大な問題である中国当局による日本人の不当拘束問題についても、全く同じ構図がある。

例えば、「反スパイ法 日本人拘束 高市」で検索すると下記含めた多数のサイトが出て来る(高市早苗オフィシャルHP「中国の『反スパイ法』について特に懸念する点」)。

だが、同検索を石破氏にかけてもやはり何もない。

日本の国政政治家の最大の重大事とは日本を守ることなりとの使命感があれば、政治家として徹底抗議する政治言論活動を公に展開していたはずなのだが、そうではなかったのだ。

要するにここでも石破氏は、不当拘束をした中国政府に対して毅然とした態度を一切取っていなかったのである。

中国にとって「石破氏は最もやりやすい」

ただし、以上に述べた問題に限らず、石破氏の対中外交姿勢は、例え中国政府が忌避しようが日本国民を「守る」ための外交を行うというものよりはむしろ、例え日本国民の利益が損なわれようとも中国政府が「望む」方向の外交を展開する人物であるということが、これまでにもしばしば指摘されてきている。

例えば中国問題専門家であり、現代ビジネス中国問題のコラムニストである近藤大介氏は石破氏を、「中国が望むやりやすい総理大臣」として「☆4つ」という高評価を与え、その上で石破氏について「元防衛大臣でタカ派のイメージだが中国はそう見ていない」と述べている。

一方で、もう一人の有力総裁候補者である高市早苗氏について、中国にとってのやりさすさ評価は「☆1つ」に過ぎず、中国にとって「最も総理になってほしくない」候補であると、指摘している。

出典:近藤大介氏(中国問題専門家、現代ビジネス・コラムニスト)の「正義のミカタ」(令和6年9月14日放送)解説フリップより

うした石破氏、高市氏に対する評価は、上述の「洋上ブイ問題」や「不当日本人拘束問題」に対する(総裁選前の時点の)両氏の発言と軌を一にするものだ(というより、中国専門家の近藤氏は、石破氏・高市氏の対中問題についての言動を専門家として把握しており、上記の評価を下したと言えるだろう)。

石破氏の「対中発言」は単なる選挙対策

だとすればなぜ、今回の領空侵犯についてだけ、さも毅然とした態度を取っているかの様に「危害射撃」に向けた法改正をと訴えてはいるのだろうか?それはもちろん、「領空侵犯という横暴な振る舞いを行った中国に対して憤りを感じ、毅然とした態度で中国に対峙し無ければ」と考えたからではなく、今が総裁選の期間中だからだ、と考える他に合理的な理由は全く見当たらない。

そもそも中国の領空侵犯が確認された直後に、石破氏がその件について口にした言葉が以下の様なものだった。

「領空侵犯措置の対応は今のままでいいのか。結論を出すことは政府・自民党の使命だ」

これでは「今のままの対応でも一向に構わないかも知れない」だとか「今よりももっと弱腰の方が日本の国益に叶うかもしれない」だの結論が出ても構わないと思っているかのような、政治家として実に気の抜けた発言だ。そして何よりそれは、「領空侵犯という横暴な振る舞いを行った中国に対して憤りを感じ、毅然とした態度で中国に対峙し無ければ」と感じていると解釈することは到底不可能な言葉だ。

一方で、高市早苗氏は、現役閣僚で発言に様々な制限が加わるにもかかわらず、それでもなお「わが国の主権の重大な侵害であるということだけでなく、安全を脅かすもので、全く受け入れられない」という怒気と批難を含んだメッセージを、昨年時点で発信している。

つまり、冒頭で紹介した、現下の総裁選で石破氏が主張する「デフレ脱却」論も選挙対策のためだけの「ニセモノ」論理であった様に、中国の領空侵犯問題について「危害射撃を可能とする法整備を」発言についても、選挙対策のためだけの「紛い物」発言だと言い得るものなのである。

選挙用の空疎な発言

石破氏は小泉進次郎氏と違って、ワンスレーズ以外の日本語を発することは出来るし、質問された時もその質問の意味を理解する最低限の能力はあるようにはみえるものの、政治家として何よりも大切な「国民国家を守る」という精神が不在であり、選挙用の美辞麗句を取り除けば、中身は進次郎氏と同様に、エンプティ(空疎)なものであると解釈せざるを得ない政治家なのだ。

そんな「ニセモノ」の政治家が日本の総理大臣になれば、我が国は瞬く間に強力な実体的パワーを持つ中国や米国から、国民や国土や主権や誇りを傷付けられ、収奪される事態に陥ることは火を見るよりも明らかだ。

それは、子供達を愛する精神が全く不在の親ならば、自らの子供達を必死に守ろうとは一切せず、結局、子供達は周囲の悪い大人達から激しく傷付けられてしまう他ない、という話と全く同じだ。

進次郎氏は総理としての「能力」に根本的な問題を抱えた候補者であったが、国民に対して選挙用のリップサービスはするものの、選挙が終わればそのリップサービスと乖離するような言動を繰り返す、いわば「ニセモノ政治家」と言わざるを得ない石破氏は、「精神」や「志」の次元における根本的問題を抱えていた候補者だと解釈することができよう。

我が国に、政治家としての矜持を持つべしとの精神の下、日本を救わねばならぬとの「志」を持った総理大臣が誕生することを、心から祈念いたしたい。

【さらに読む】『小泉進次郎はもうおしまいだ…総裁選で大失速!TVや討論会で多くの国民を失望させた「迷言」「無能ぶり」』

小泉進次郎はもうおしまいだ…総裁選で大失速!TVや討論会で多くの国民を失望させた「迷言」「無能ぶり」