有権者はもはや”政治”に期待していない…そんな今こそ「政権変容」が必要である!

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黒船なき令和の日本で、革命なき安逸の日々のなかで、激烈な政権交代は起きるのか?

しかし、いま変わらなければ――かならず日本は、沈む!

百戦錬磨の戦略家、橋下徹(55歳)。時代を見定め、歴史を洞察し、日本人の本質を透徹した先に見えた悪魔的リアリズム、それが「政権変容論」だ。橋下氏は言う。

「『政権変容』が劇的に新しいのは、自民党がどうであろうと関係なく、野党が腹を括って決断しさえすれば次の総選挙で実現できるところです」

2024年の選挙から、グレートリセットは始まるのだ。

7月19日発売の最新刊『政権変容論』(講談社刊)から、特別に内容を抜粋してお届けしていこう。

『政権変容論』連載第36回

「野党間予備選挙」から、「政権変容」へ...そのために橋下徹が今維新に期待する「本当の維新スピリット」』より続く

政権交代ではなく政権変容の風が吹いている

橋下:最近の世論調査の流れを見ると、政権交代を求める声が高まってきています。

ただし、野党支持率が特段高まっているわけではないので、この有権者の気持ちは、「今の自民党政治を変えてもらいたいが、野党に政権を担ってもらいたいわけでもない」というもの。

この有権者の気持ちは、今回の補選でも端的に表れています。

今回、自民王国と呼ばれる島根1区で、与野党一騎打ちとなりましたが、自民が完全敗北しました。保守王国島根1区ですら、自民はダメだという風が吹いています。

しかしこのことで、安易に「政権交代の風が吹いている」と認識するのは間違いです。

維新の馬場さんも立憲の泉さんも、早く解散総選挙をしろ!と岸田政権に迫っているようですが、補選の分析が足りません。

なぜ「政権交代の風が吹いている」は間違いなのか

橋下:第一章でも論じましたが、今は自民崩壊状況です。野党が積極的に支持されている下克上型の政権交代の風が吹いているわけではまったくありません。

それは投票率を見れば明らかです。

野党が積極的に支持されて政権交代のうねりが起きているときには、投票率が上がるのです。09年の民主党への政権交代の選挙は、日本国中を熱狂させた小泉元首相の郵政解散総選挙のときよりも投票率が高かった。

大阪において維新が伸長し、一強の自民党を破っていく過程の選挙も、常に投票率が跳ね上がりました。

有権者が、野党を完全に後押ししてくれているのです。

その場合には政権「交代」となる。

今回の補選での有権者の意識とは

橋下:しかし今回の補選の投票率は恐ろしいほど下がっている。補選だからということを考慮しても下がり過ぎです。これだけ政治とカネの問題で自民党が批判され、岸田政権が批判されているにもかかわらずです。

つまり自民党、岸田政権は嫌だけど、野党を積極的に支持するわけでもない、という有権者の意識がはっきりと出た補選でした。

この選挙の状況を受けて、ただちに「政権交代だ!」と叫ぶのは、完全に間違っています。

きちんと分析すれば、今は、自公を完全排除する政権交代ではなく、自公政権に変化を望む「政権変容」の風が吹いていると認識すべきなのです。

この風を読み間違うと、戦略も間違ってしまいます。

維新の会は“東京15区”を諦めろ!…橋下徹が語る、自民党を破り“日本の政治”を変えるための「第一歩」とは』へ続く

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