「息苦しい」過呼吸は、むしろ息の吸いすぎ!? パニック症の発作でも知られる過呼吸の真実

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パニック症は、パニック発作をくり返す病気です。パニック発作は、身体的な原因はないにもかかわらず、さまざまな不快な症状が突然生じるもの。パニック症の本質は、「このまま死ぬかもしれない」という強い恐怖感・不安感にあります。恐怖や不安は、危険を避けて生き延びていくために必要なものですが、行きすぎれば生活に支障をきたします。発作を避けようとしてどんどん「できないこと」が増えていけば、自己否定感が強まり、うつ状態に陥ることもあります。そんな「パニック症」の最新情報や、正しい理解のための本『名医が答える! パニック症 治療大全』より一部抜粋してお届けします。

前編<パニック症の発作「パニック発作」って何? 「このまま死ぬかもしれない」発作を徹底解説!

パニック発作を起こす病気が、パニック症ですか?

パニック症は、100人のうち1〜3人程度にみられる病気です。パニック発作そのものはさほどめずらしいものではなく、10人に1人は、一生のうち一度はパニック発作を経験するともいわれています。なかには一度きりで終わらず、パニック発作をくり返す人もいます。パニック症かどうかは、くり返し起こる発作の原因や現れ方、発作に対する不安の強さなどによって判断されます。

パニック発作を起こした人のすべてが、パニック症(パニック障害)というわけではありません。隠れた体の病気などがパニック発作のような症状をくり返す原因になっていることもあります。また、身体的な異常はなくても、パニック症以外の心の病気で、パニック発作がくり返されていることもあります。異なる病気であれば治療の進め方が変わってきます。パニック発作のもとにあるものがなにか、きちんと診断を受けておく必要があります。

過呼吸は、パニック発作の症状ですか?

何回も激しく息を吸ったり吐いたりするうちに、かえって息苦しさが強まっていく状態を過呼吸といいます。パニック発作を起こしたときは、過呼吸の状態になることがよくあります。しかし、過呼吸がないからパニック発作ではないとか、過呼吸はすべてパニック発作の症状であるというわけではありません。過呼吸は単独でも起こりうる症状です。

緊張したときに呼吸数が増えるのは、体にそなわっているしくみのひとつです。十分に酸素を取り込むことで体の活動性を高めるためのしくみですが、呼吸数が増えすぎて過呼吸の状態になると、血液中の二酸化炭素と酸素のバランスが悪くなり、かえって体はうまく動かせなくなります。

息苦しさが強まり、「もっと吸わなければ」と焦りが募りますが、実際には窒息とは正反対の状態が起こっているのです。

過呼吸により、さまざまな異変が生じる状態を「過換気症候群」といいます。吸っても吸っても息苦しく、ひどくなると筋肉が硬直した状態になることもあります。

パニック発作と重なることもありますが、呼吸数が増えすぎればだれにでも起こる症状の総称が過換気症候群です。

パニック発作、あるいはパニック症の症状としてみられる過呼吸、過換気症候群なのか、パニック発作・パニック症とは異なる状態なのか、区別しておく必要があります。

パニック症の発作「パニック発作」って何? 「このまま死ぬかもしれない」発作を徹底解説!