文字通り「死に直結する可能性がある」飲み方もあるという(写真:mits/PIXTA)

ビールにチューハイ、ハイボール。とかく仕事の後の一杯は欠かせないという人は多いと思いますが、過度な飲酒は肝臓に脂肪を蓄積させ、放置すると肝硬変や肝臓がんなどの重篤な疾患に発展する危険性があるといいます。

現在までに2000冊を超える「健康書」を読み漁ったという「本要約チャンネル」運営の2人が、「医学的にも科学的にも、限りなく正解に近い」ポイントを踏まえ、"避けるべきお酒の飲み方"を紹介します。

※本稿は、「本要約チャンネル」の著書『結局、何を食べればいいのか?』から、一部を抜粋・編集してお届けします。

日本人の3人に1人が「脂肪肝」だといわれている

肝臓の健康を維持するには、中性脂肪を溜めないこと、そして溜まった中性脂肪を効果的に落とすことが大切です。しかし、日本人の3人に1人――約4000万人が脂肪肝だといわれています。

脂肪肝とは、肝臓に脂肪が過剰に蓄積した状態で、放置すると、肝硬変や肝臓がんなどの重篤な疾患に発展する危険性があります。脂肪肝の主な原因は、糖質や脂質の過剰摂取です。体内で余ったエネルギーは中性脂肪に変換され、皮下脂肪や内臓脂肪として蓄積されます。

特に注意したいのが、皮下脂肪や内臓脂肪に収まりきらなかった脂肪が、本来蓄積されるべきでない肝臓や筋肉などに溜まる「異所性脂肪」です。

異所性脂肪は見た目では判断できないため、お腹まわりが細く、痩せている人でも蓄積されていることがあります。また、日本人は、欧米人に比べて皮下脂肪がつきにくく、内臓脂肪や異所性脂肪が蓄積されやすい体質とされています。

加えて、加齢とともにその傾向が強くなるため、中高年は特に要注意。どんなに見た目がスマートでも、肝臓が元気とは限りません。

さらに怖いのが慢性炎症です。内臓脂肪や異所性脂肪は、単に余分なエネルギーが蓄積されているだけではありません。これらの脂肪は体内で異物として認識され、免疫システムを活性化させます。その結果、慢性的な炎症状態を引き起こし、肝臓の健康を脅かします。

絶対にやめてほしい5つの「お酒の飲み方」

内臓脂肪を減らすためには、まずアルコールの摂取量を控えることです。アルコールは肝臓で代謝されますが、その過程で脂肪の蓄積を促進し、さらに分解を妨げる働きがあります。

つまり、飲酒は二重に悪影響があるわけです。さらにアルコールの過剰摂取は、脂肪肝だけでなく、アルコール性肝炎や肝硬変などの肝疾患のリスクも高めます。肝機能の数値に異常が見られた場合は、断酒するか、少なくとも飲酒量を大幅に減らすことが賢明です。

とはいえ、どうしてもお酒を飲みたい方もいるでしょう。肝臓は守りたいけど、どうしてもお酒をやめたくない、という方は、せめて上手にお酒と付き合うルールを設定していただければと思います。

大前提として「量を減らす」のが一番大切ですが、それ以外で私たちが絶対にやめてほしいと思うお酒の飲み方を5つ紹介します。

【その1 ノンアルコール飲料をチェイサーにする】

お酒ばかりを続けて飲まずに、水などのチェイサーを挟みながら飲む。これだけなら、非常によいことなのですが、チェイサーをノンアルコールビールのようなノンアルコール飲料にしてはいけません。

なぜなら、それらの商品に含まれる人工甘味料や苦味料、カラメル色素などは、肝臓に対して大きなダメージを与える可能性があるからです。
アルコールという毒素を避けて、その他の毒素を飲むようでは本末転倒です。チェイサーは、水や砂糖不使用のコーヒーやお茶、無添加のノンアルコール飲料にしてください。

【その2 脂質の多いおつまみと一緒に飲む】

「ビールと唐揚げが大好き!」という方は少なくないと思います。ですが、この組み合わせ、健康的には最悪です。先ほど、飲酒自体が二重の意味で内臓脂肪を増やす行為だと書きました。加えて油がたっぷりのものを食べたら、悪影響なのはいうまでもないことです。

ただ、空腹な状態でお酒を飲むのも問題です。糖質やたんぱく質を代謝してくれるビタミンB6が消費されてしまい、糖質などがダイレクトに中性脂肪になってしまい、結局太りやすくなる。そのため、ビタミンB1やたんぱく質が豊富な枝豆や、アルコールの分解を促進するタウリンが豊富なタコやイカなどをおつまみにするのがおすすめです。

「汗をかいた後の1杯」も我慢したいところ

【その3 筋トレの前後に飲む】

アルコールによる脱水と筋トレによる発汗の組み合わせで、体中の水分が減り、ストレスホルモン「コルチゾール」が分泌されて、筋肉の分解を促してしまいます。その他にも、男性ホルモン「テストステロン」が減って、これまた筋肉の合成が阻害されてしまいます。

筋トレは健康にとって素晴らしい習慣ですし、運動の後の一杯はとても美味しいと思うのですが、無添加のノンアルコール飲料で我慢したいところです。また、飲酒後の運動は、脱水や一時的な血圧アップなどにより、多種多様な死亡リスクを上げてしまいます。

【その4 チューハイやカクテルを飲む】

人工甘味料などの添加物や、砂糖のリスクはすでに述べた通りです。ただでさえ体に悪いお酒に、それらが含まれていたら、肝臓へのダメージは二重三重に増すことは容易に想像できるでしょう。どうしてもチューハイが飲みたい、という方は、ストレートの焼酎を炭酸水で割るプレーンチューハイにしてください。

ちなみに、ノンシュガーやゼロカロリーの商品であっても、人工甘味料はむしろ肥満を招いてしまいます。たとえば、人工甘味料は腸内の悪玉菌のエサになり、腸内環境が悪化することで肥満が促進される可能性が指摘されています。また、発がん性が指摘されている物質もあるので要注意です。

【その5 締めのラーメンを食べる】

お酒を飲んだ後、締めにラーメンやご飯ものを食べる方、たくさんいると思うのですが、これも非常によくありません。

アルコールによって満腹中枢が麻痺してしまったり、塩分がほしくなったりするので、脳は空腹感を覚えてスルスルと美味しく食べてしまいますが、実際に体が求めているわけではありません。

要するに、締めの炭水化物は、脂も糖も塩分も、全部とりすぎの状態。言うまでもなく、肝臓へのダメージは甚大です。

とはいえ、実はこれらは、非常によくはないものの、まだかわいいほうです。これらが我慢できないという方も、以下の4つだけは絶対にやめてください。飲酒後の筋トレなども死亡リスクがありますが、これらは文字通り死に直結する可能性がある飲み方です。

・薬と一緒に飲む
・一気飲みをする(特に高齢者)
・迎え酒をする
・寝酒をする(入眠は促進されるが、睡眠の質を著しく下げるので逆効果)

じつはサプリメントも肝臓に負担をかけている

正直なところ、細かい理屈は抜きにしても、糖質や加工食品が、肝臓にもよくないことはなんとなく想像できるのではないでしょうか。しかし、もう1つ、意外なものが「肝臓を傷めつける」ことがわかっています。それが、サプリメントです。


肝臓の重要な働きに「代謝」があります。体に悪いものを解毒するときも、体によいものを摂取したときも、同じように肝臓は仕事をすることになります。つまりサプリメントに含まれる栄養素を代謝することで、肝臓に負担がかかってしまうのです。薬を飲むときも同様です。

生きる上で必要な栄養素は、食事から摂取するのが理想です。本来、バランスの取れた食事をとれていれば、サプリメントは必要ありません。ちなみに私たちはサプリメントをほぼ使いません。それも「サプリメントを使わない」という健康法なんですね。

また、代謝の負担だけでなく、サプリメントに含まれる添加物が、肝臓にダメージを与えることもあります。

サプリメントの使用が原因で起こる肝障害は、「薬物性肝障害」と呼ばれ、重篤な肝炎を引き起こすこともあるので気をつけてください。もちろん、医師から処方された薬については、別です。常備薬を飲んでいる方は、服用を続けてください。それでも、どうしても肝臓の健康状態が気になる――という方は、医師に相談するのが賢明です。

脂肪肝は努力すれば必ず改善できます。肝臓は沈黙してはいるものの、再生力は高い臓器です。

『専門医が教える 肝臓から脂肪を落とす食事術 予約の取れな
いスマート外来のメソッド』(KADOKAWA)の著者である尾形哲先生の患者さんは、3カ月程度あれば脂肪肝が治るそうです。ぽっこりお腹に悩んでいる方は、ぜひ本稿や尾形先生の著作を参考にして、脂肪肝を解消できる食生活を取り入れてください。

アルコールや糖質を減らし、加工食品やサプリメントを控える。言うは易く行うは難し、かもしれませんが、重篤な症状でなければ、それさえできれば脂肪肝は必ず治ります。

(本要約チャンネル : YouTuber)