来年8月での退団発表会見に出席し、「星組パッション!」のリクエストに「格闘家みたい」と笑顔の宝塚歌劇星組トップスター・礼真琴(カメラ・筒井 政也)

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 来年8月10日付で宝塚歌劇団を卒業することが決まった星組トップスター・礼真琴(れい・まこと)が24日、大阪市内のホテルで、退団発表会見に出席した。

 2009年4月に初舞台。星組一筋で育ち、19年10月に花組から組替えされたばかりの16年首席・舞空瞳と星組トップコンビに就任した。その舞空は12月1日での退団が決まっており、相手役不在での卒業となる。

 今月3日の宙組トップ・芹香斗亜(せりか・とあ)に続き、1か月で2人目のトップ退団会見。白いスーツ、タートルネックシャツで金屏風(びょうぶ)の前に立った“トップ・オブ・トップ”礼に、村上浩爾理事長は「高いポテンシャルで期待され、プレッシャー、試練を努力を重ねて乗り越えてきた。コロナ禍という壁も待ち構えていたが、公演に全身全霊をかけて勇気、希望を与えてくれた。まさに三拍子そろった希代のトップスター」と最大の賛辞でねぎらった。

 退団を決めた理由について礼は「音楽学校入学から18年。星組で16年熱く過ごしてまいりました」と、あいさつ。退団理由などについては「決断した瞬間が実は実感がなく、主演という立場に就任させていただいてから常に自分の中の片隅にあった。お披露目の途中でコロナ禍で公演が止まり、今やっとこうしてお客様と触れ合える公演を無事に完走できることに。110周年の記念の年をまっとうしたいと自然に思い、卒業を決意しました」と説明した。

 2日前の22日には「記憶にございません!」「Tiara Azul ―Destino―(ティアラ・アスール ディスティーノ)」の兵庫・宝塚大劇場公演千秋楽で、約5年連れ添った相手役・舞空と本拠地最後のデュエットを披露したばかり。舞空には同公演の稽古序盤に卒業を告げ「今、お互い、何ができるか、星組に残していけるか、たくさん話し合いました」。星組の仲間には21日に報告したが「武道館コンサートもあったりして、薄々分かってくれていたような空気感があって(笑い)。それぞれ覚悟していたようで、自然に静かに、かみしめるように聞いていた」と明かした。

 タカラジェンヌとしてのラストデー時点で歌劇団在籍歴が16年4か月。トップ在任期間は約5年10か月で、元花組トップ・明日海(あすみ)りおの約5年半を抜き、平成以降では元宙組・和央(わお)ようか、元星組・柚希礼音(ゆずき・れおん)に次ぐ3番目の長期となる。ターニングポイントになった作品は「ロミオとジュリエット」(13年)のベンヴォーリオ役を挙げた。

 宝塚歌劇については「世界中どこを探してもない唯一無二の場所。大好きな星組に配属され、がむしゃらに走ってきた。まさに青春そのものかな。最後の最後まで、みんなが背中を追い続けたいと思ってくれるような存在でいられるよう努力をし続けたい」。応援してくれたファンに向けては「長い間、ありがとうございました。どんな状況で見捨てず、付いて来ていただき、感謝してもしきれません。皆様を本当においしいものを食べに連れて行ってあげたいくらいです」と常に涙は見せず、ジョークと笑顔を交えて謝意を伝えた。

 サヨナラ公演は、劇団☆新感線の名作とのコラボ作「阿修羅城の瞳」とショー「エスペラント!」(兵庫・宝塚大劇場=2025年4月19日〜6月1日、東京宝塚劇場=同6月28日〜8月10日)。