温泉付きホテルを3億円で購入…!快適な老後を日本で過ごすと決めたリッチ中国人たちの驚きの言動

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高まる中国人の不動産投資熱

JR御徒町駅から徒歩6分。中国人向けの不動産を扱う「ワースランド」の杉原代表は、ここ最近の客層の変化を実感しているという。

「10年以上中国人相手に不動産紹介業をやってきましたが、コロナ禍以降、異常なペースで日本の不動産が買われています。

コロナ以前は好景気で潤った中国人が、投機目的でせいぜい1億円ちょっとの物件を買う程度でした。ところが最近は、中国で成功を収めた経営者が、日本への移住を前提にして4億円とか5億円の物件を買う。それも1軒だけでなく複数です。

そのうちひとつは家族で住むための住居で、他は賃貸として貸し出す。その収入を元手に、家族と日本でゆっくり暮らすというケースが増えています。なかには毎月400万円のリターンを得ている人もいます。

約3年間の「ゼロコロナ政策」によって、経済活動が停滞した中国。次々と企業が倒産するなか、苦境を生き抜いた経営者たちは「号令ひとつで経済活動が止められる国」に住むことの厳しさを改めて思い知った。この国に居続ければ、自分の会社や家族がどんな目に遭うかわからない……そう考えて、日本への居住を選択する中国人が増えているのだ。

「経営・管理ビザ」を取得して日本に来れば、家族も日本に滞在できるうえ、医療・教育などでも日本国民とほぼ同等のものを享受できることは、彼らの間でよく知られている。巨大IT企業アリババの創業者のジャック・マーら中国のエリート層が日本に居を構えたことも、富裕層の移住の後押しとなった。日本政府は高所得者の移住を増やすため、経営・管理ビザの取得要件を緩和する方向で動いている。

「日本のホテルや焼き肉チェーン店などを買収して、そのまま日本に移り住む人も増えている」と証言するのは、上野にあるインバウンド系の不動産仲介会社「YAK」の越水亮代表だ。

「つい最近も、関東の温泉つきホテルを約3億円で購入された中国の方がいらっしゃいました。日光や箱根・熱海が人気で、売り出している物件はないかという問い合わせが増えています。

購入はしても、彼らが経営をするわけではありません。経営はいままで通り日本人がやる。その『上がり』をもらうオーナーになるわけです。そうした上がりをベースに日本で暮らすという方も少なくありません」

日本の不動産が魅力的である理由

苦労して日本にやってきて、飲食店やコンビニで働きながら日本語を覚えて暮らすというひと昔前の在日中国人像とも、投資目的で日本の物件を買い漁るという成金中国人像とも違う。中国で富を築き、その資産を日本に逃がして家族と日本で暮らすという「ネオ中国人」が日本に急増しているのだ。

深圳で弁護士をしている任陽氏(40代、仮名)も、まさにその一人。今年、中国人に人気の東京・湾岸エリアの不動産を2軒購入したばかりだ。

「日本の不動産を購入した理由は、単なる資産移転ではなく、ここで快適な老後を過ごすと決めたからです。日本の最大の魅力は、手厚い福祉と、老いても暮らせる環境の良さ、そしてリーズナブルな労働力を安定供給する社会システムです。

今回とてもいい物件を買えたので、妻と娘を連れてまもなく日本に移住します。その後は、中国に進出したい日本企業への法務アドバイザー業務を行う予定です。一企業当たり年間2000万円の利益になる見込みなので、生活には困らないでしょう」

一緒に日本に連れてくる20代の娘は外資系金融機関に勤務しており、日本で富裕層向けの金融サロンを開く予定だという。

「娘は日本語ができませんが、麻布台のあたりに住めば、英語と中国語だけで十分仕事ができます。日本語が必要な場合、その都度通訳を雇えばいいのです。

それから、両親が病気になったときは医療滞在ビザを申請して日本で治療を受けさせます。中国の医療より質が良く、米国よりも断然安い。この国はすべてにおいて満足度が高い。そのくせ、異常なまでに対価が安い。私たちにとって日本は『不思議の国』ですよ」

「週刊現代」2024年9月14・21日合併号より

後編記事『「日本への赴任が決まったら、親族を続々呼び寄せる」母国に絶望したネオ中国人たちの驚きの行動』に続く。

「日本への赴任が決まったら、親族を続々呼び寄せる」母国に絶望したネオ中国人たちの驚きの行動