シンガポールで2023年6月、32歳兄を包丁で切りつけた28歳弟にこのほど有罪判決が下された(『TODAYonline 「Jail for man who slashed older brother with chopper, burnt his bedroom door over disconnected Wi-Fi」(iStock)』より)

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些細なことがきっかけできょうだい喧嘩に発展することもあるが、昨年6月にシンガポールで行き過ぎた諍いが発生した。このほど行われた裁判で、32歳の兄を包丁で切りつけた28歳の弟に有罪判決が言い渡された。弟は兄にWi-Fiを切られて激怒し、犯行に及んだ。マレーシアのニュースメディア『The Star』などが報じた。

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シンガポールで2023年6月16日に起きた家庭内暴力事件の裁判が今月19日に行われ、兄(32)を刃渡り16センチの肉切り包丁で切りつけたフォック・ミン・チャイ・ダニエル(Fock Ming Chai Daniel、28)に懲役刑が下された。

シンガポールのニュースメディア『Mothership』によると、フォックと兄は幼少期からあまり良い関係とは言えず、2000年に両親が離婚した後、フォックは母親と賃貸アパートで暮らし、兄と妹は父親と暮らすことになった。その後は別々に過ごしていたものの、2023年3月に母親がアパートを解約したことを機に、フォックは父親のもとで暮らし始めた。

そして事件当日の午前10時頃、フォックは洗面所で自分の歯ブラシの上に兄が使ったデンタルフロスが置かれているのに気づき、憤慨した。フォックはライターとエアゾール缶を使った手製の火炎放射器でトイレにあった石鹸置きを燃やし、怒りをぶつけた。

その1時間後、石鹸置きの燃えかすを発見した兄は動揺した。そして「弟がこの家から出ていくように仕向ける方法を考えなければならない」と思い、午後2時頃にフォックを懲らしめるため自宅のWi-Fi機能をオフにしてインターネットが使えない状態にした。

これに激怒したフォックは、自作の火炎放射器と肉切り包丁を手にして兄の部屋へ向かい、火炎放射器でドアに火をつけようとした。驚いた兄がドアを開けた瞬間、フォックは包丁を振り上げて兄の右手、胸、右足などを切りつけた。兄は怪我をしながらも抵抗し取っ組み合いとなり、騒ぎに気づいた妹が流血した兄を見て救急車を呼んだ。

兄はすぐに病院で手術を受け、その後4日間入院した。裁判で検察側は、兄がフォックに切りつけられた際に腕や指の神経を損傷し、「永久的に麻痺が残るおそれがある」と述べた。一方、フォックの弁護士であるショーン・タン氏(Sean Tan)は「フォックは幼少期から精神的な問題を抱えており、兄から定期的ないじめを受けていた。その結果、鬱病と診断された」と主張し、次のようにフォックを擁護した。

「被害者(兄)は私の依頼人(弟)を虐待した加害者です。被害者は事件当日、依頼人を故意に怒らせ、家から追い出そうとしました。」

しかし、副検事のコリン・ウン氏(Colin Ng)は「これは明らかな家庭内暴力のケースです。被告は同じ屋根の下で暮らしていた兄に対して罪を犯したのです」と述べ、16〜18か月の懲役を求めた。結局フォックは、自作の火炎放射器の使用も含めて懲役14か月の判決を受けた。

画像は『TODAYonline 「Jail for man who slashed older brother with chopper, burnt his bedroom door over disconnected Wi-Fi」(iStock)』『The Star 「Man who slashed brother after he left dental floss on toothbrush and turned off Wi-Fi gets jail」』より
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)