イスラエルの攻撃で破壊された建物(20日、ベイルート南部郊外で)=AP

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 【エルサレム=田尾茂樹】イスラエル軍は20日、イスラム教シーア派組織ヒズボラが拠点とするレバノンの首都ベイルートを標的にした空爆を行い、イブラヒム・アキル司令官を殺害したと発表した。

 通信機器の一斉爆発を受け、ヒズボラが報復を宣言したのに対し、イスラエルも戦闘の重心をパレスチナ自治区ガザから移し始めており、紛争拡大への懸念が高まっている。

 ロイター通信によると、ベイルート南郊が空爆され、アキル氏を含め少なくとも14人が死亡、66人が負傷した。同通信はイスラエル軍の発表として、アキル氏以外に指揮官約10人が死亡したと報じた。

 軍の発表によると、空爆したのはヒズボラが拠点とする集合住宅で、アキル氏は地下にいたという。軍報道官は「アキル司令官らはイスラエルへの越境攻撃を計画中だった」と説明している。アキル氏はヒズボラの有力幹部の一人で、63人が犠牲となった1983年の在ベイルート米大使館爆破事件などに関わったとされる。

 イスラエル軍はヒズボラの攻撃で避難したイスラエル北部住民の帰還を新たな戦闘目標に掲げ、ヒズボラを弱体化させる作戦を続ける方針だ。