パナソニック 空質空調社は、「おひさまエコキュート」(後述)の最新機種として「Yシリーズ」の4製品を発表しました。エコキュートは、エアコンなどにも使われているヒートポンプの技術を活用して、お湯を沸かす給湯器。ガス式や電気式の給湯器に比べて少ないエネルギーでお湯を沸かすことができます。この記事では、そんなエコキュートの魅力と、新機種の特徴についてご紹介します。

 

太陽光発電と同時に導入したい「おひさまエコキュート」

エアコンや冷蔵庫、衣類乾燥機などに用いられているヒートポンプ技術。化石燃料を消費せずに熱エネルギーを作り出すことができるうえ、ガスや電気ヒーターよりも省エネ性に優れています。その省エネ効果は高く、最新のエアコンは、電気ヒーターの約1/7程度の電力で同量の熱を得られるほど。エコキュートは、そのヒートポンプでお湯を沸かす装置。地球環境にやさしく、省エネによる光熱費の節約が期待できます。

↑パナソニックの新型おひさまエコキュート。左がヒートポンプユニットで、右が貯湯ユニット

 

エコキュートは、水に熱を伝えるヒートポンプユニットと、沸かしたお湯を貯めておく貯湯ユニットがセットになった装置です。貯湯ユニットからキッチンやお風呂などに給湯するときは、水道の水圧を使ってお湯を送るので、断水しない限り停電していても給湯が可能。貯湯ユニットから直接お湯・お水を取り出せる水栓もついているので、断水時した場合にも助けになってくれます。その点、エコキュートは、光熱費の節約だけでなく、災害への備えとしても有効なのです。

↑パナソニックのエコキュートは、災害への耐性を高めるため、貯湯ユニットの脚の本数を従来の3本(左)から4本(右)に増強。この脚部は、震度7相当の揺れにも耐えることができます

 

そんなエコキュートのなかでも、太陽光発電を導入している家庭に向いた製品が、「おひさまエコキュート」です。太陽光による発電量が多い日中に沸き上げを行うことで、再生可能エネルギーの自家消費率を大きく上げられます。

 

自家発電した電気は、蓄電池がなければ発電と同時に消費する必要があります。そのため、太陽光パネルで発電し、家庭内で消費しきれずに余った電力は、電力会社へ売ることになります。しかし、近年ではその価格が大きく下落しており、太陽光発電を単体で導入した際の経済性が低下しています。太陽光発電導入による光熱費節約効果を高めるには、電力の自家消費率を向上させなくてはなりません。

 

その点、おひさまエコキュートは、太陽光発電で生み出した電気エネルギーを熱エネルギーに変換し、お湯として貯めておいてくれるのがミソ。昼間の余剰電力を温水に変えることで、余さず使えるというわけです。つまり、給湯器でありながら、蓄電池と似たような特徴を持っているといえますね。なお一部の電力会社は、おひさまエコキュートを導入した家庭向けの電力プランを提供しており、お住まいの地域によってはさらにメリットが増大します。

↑通常のエコキュートと、おひさまエコキュートの沸き上げ時間のイメージ。おひさまエコキュートは太陽光発電を行う昼間をメインとして沸き上げます

 

「日射量シフト」で、おひさまエコキュートの強みを最大化

パナソニックが新発売するおひさまエコキュート「Yシリーズ」の特徴は、太陽光発電が生み出した電力の自家消費率をさらに上げる機能を搭載していること。それが、業界初の「日射量シフト」です。

 

これまでのおひさまエコキュートは、沸き上げの時間帯を日中にするだけでした。つまり、天気に関わりなく、設定した時間になったら沸き上げを行うことになります。しかし、太陽光発電が生み出す電力は日射量に左右されるため、同じ日中でも天気のよいタイミングを狙って沸き上げをしたほうが、エネルギーの自家消費効率は高くなります。

 

そこで「Yシリーズ」の4機種は、専用アプリを通して日本気象株式会社が提供する日射量予測の情報を毎日取得。太陽光発電が効率的に稼働する時間帯に合わせて炊き上げする「日射量シフト」の機能を業界で初めて搭載しました。これにより、余剰電力を自家消費することで、給湯にかかる年間の買電量を約7%削減できるそうです。

 

本機による省エネ効果は国にも認められ、「給湯省エネ2024事業」による購入時の補助金は、最高額の13万円になりました。

↑日射量シフトのイメージ

 

↑専用アプリに表示される日射量予測。同じ晴れの予報でも、時間帯によって日射量には差があります

 

↑新型おひさまエコキュートによるCO2排出量の削減、光熱費の節約効果。通常のエコキュートと本機を比べると、光熱費の削減効果は約41%にもおよびます

 

「Yシリーズ」のもうひとつの特徴が、シャワーの水圧が高い「ウルトラ高圧」のモデルをラインナップしていることです。2階や3階にお風呂がある家庭では、給湯時の水圧が下がってしまい、シャワーの快適性が損なわれてしまうという問題がありました。その点、従来の「高圧」モデルに比べて約1.4倍の水圧を実現した「ウルトラ高圧」モデルであれば、そんな心配はありません。発表会で筆者もその水圧を体験しましたが、まるで強烈なスカルプケアシャワーを浴びているのでは、と感じさせられるほどの強さでした。本機の水圧に不満を抱く方はまずいないと思われます。

↑「ウルトラ高圧」モデルが登場したことに加え、「高圧」モデルの水圧も従来機よりアップしています

 

「Yシリーズ」には4機種がラインナップ。水圧と貯湯タンクの容量で区分されており、「ウルトラ高圧」「高圧」に、それぞれ370Lと460Lのモデルが用意されています。発売日は10月26日で、希望小売価格は104万9400円〜(税込・工事費別)です。自家発電した電力を効率よく使いたい方は要チェックですね。