Image: Kyle Barr - Gizmodo US|CES 2024でお披露目されたLGの透明テレビ

来年のCESあたりで、もしかしたら…?

みんなが日々見ているディスプレイをさらにキレイに鮮やかにしてくれる技術が、もうすぐデビューするかもしれません。それが青色PHOLED(Phosphorescent organic light-emitting diodes、燐光有機発光ダイオード)です。新たな情報によると、LGがすでに青色PHOLEDを使ったディスプレイを開発中で、実際の発表は来年になるかもしれませんが、とにかくもうすぐ見られそうなんです。

今の有機EL、青だけ事情が違う

ハイエンドな消費者向けディスプレイは今、mini-LEDと有機ELどっちを取るか?が選択肢になっています。Samsung(サムスン)やソニー、LG等々のなかで今最高のディスプレイ・QD-OLEDは、半導体のナノ粒子を使うことで、通常の有機ELよりさらに鮮やかで明るい色を表現しています。

ただ現在の有機ELの問題点は、赤や緑に比べると、青い光の発光効率が低いことです。いかに青色の効率を高めるかってことで、いろんな企業や研究機関が取り組んでいますが、実物のディスプレイとしてはまだ完成していませんでした。

が、韓国のETNewsが匿名の業界関係者の証言を元に伝えたところ(をTechRadarが伝えたところ)によると、LGがついに、Universal Display Corporation(UDC)による青色PHOLED技術採用のディスプレイを商品化に向けて準備してるようです。

ただ実際LGが青色PHOLEDテレビを発売するまでには、製造工程の検証も必要なはずで、その分時間がかかります。でもとにかくこの報道が事実なら、長年期待されてきた技術をついに目にできることになるかもしれません。

この話は突然降って湧いたわけじゃなく、2023年にUDCがTom's Guideに対し、青色PHOLEDの材料をテレビメーカーに引き渡すべく動いていると認めたことと符合しています。

青の発光効率を高める技術

青色PHOLEDがなんで重要かってことで、まずOLEDの仕組みを説明します。OLEDとは「有機発光ダイオード」の略で、つまりディスプレイを構成するダイオード自体が光を出してるわけです。なので液晶やmini-LEDのようなバックライトが要らないってことになります。

ただ現在の有機ELディスプレイでは、赤と緑の光にはすでに「燐光」を発するPHOLEDを使ってるんですが、青だけはもっと発光効率の低い「蛍光」を使ってるんです。

どれくらい非効率化っていうと、Tom's GuideのUDCへのインタビューによれば、赤や緑の25%の効率しかないとのこと。その青も赤や緑と同じようにPHOLEDにすることで、より省エネかつ鮮やかなディスプレイができるというわけです。

ただETNewsによれば、LGが開発しているディスプレイでは蛍光の青を完全にやめるわけじゃなく、蛍光とPHOLEDのタンデムOLEDにすることで、従来のOLEDと同等のライフスパンを実現しようとしてるみたいです。タンデムOLEDといえばApple(アップル)もiPad Proで採用することで輝度を高めています。

でも、お高いんでしょう?

が、ただでさえ高価なOLEDを2層にするってことなので、iPad Proがそうであるように、LGの青色PHOLEDテレビもそれなりの価格になるんでしょうね。

2025年にPHOLEDをリリースするとしたら、それはラインアップの最上位になるでしょう。もしかしたらCESでプロトタイプが発表されて垂涎の的にはなるかもしれませんが、一般のリビングルームに収まるのはもっと先になるんじゃないでしょうか。

青色PHOLEDが実現するのは大きなステップですが、ディスプレイ技術の進化には終わりがありません。他にもmicro-LEDやnanoLEDといった技術もあるし、透明や折りたたみのディスプレイも出てきています。

こういうプロダクトはまだまだ誰もがポンと買えるようにはなっていません。青色PHOLEDが単にハイエンドなコンセプトにとどまるのか、ディスプレイのあり方全体を変えるものになるかも、まだ未知数です。

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