Image: shutterstock/AFM Visuals

暑いと出かけたくなくなるし、暑すぎて出かけるの危険だし…。

真夏の猛暑と相次ぐ気象災害に夏休みまで重なって、日米で医療用の血液不足が問題になっています。気候変動によって、ますます人々の健康と円滑な医療サービスが脅かされています。

猛暑や異常気象が献血者の出足に影響

アメリカ赤十字社は、7月に輸血用血液の備蓄が25%減少し、救急用の血液が不足しているため、献血の協力を呼びかけています。記録的な猛暑によって全米で献血キャンペーンが中止になったり、協力者の出足が鈍ったりしているのが主な原因といいます。

学校の夏休みや会社の休暇が重なる時期に献血する人が減るのは例年通りのようですけど、そこに全米各地で記録的な猛暑が続いているのと、ハリケーン、豪雨による洪水などの気象災害も重なり、ほぼすべての州において100件以上の献血キャンペーンに影響しました。1万9000人分の献血不足に陥ったとのことです。

「8月中に献血してくれた方には20ドルのAmazonギフトカードを差し上げます」という呼びかけからも、切羽詰まっている様子がうかがえます。

アメリカ赤十字社のロドニー・ウィルソンさんは、The Guardianの取材に対して

たった1カ月で献血数が急減し、すべての人に行き渡るのに十分な量を確保できなかったため、主要な血液の供給を制限せざるを得ませんでした。

と血液不足の状況について話しています。

また、暑さや異常気象が原因でキャンセルされた献血キャンペーンは、昨夏よりも多かったそうです。8月だけでキャンセルされた献血キャンペーンは60件にのぼり、約1500人分の献血が実施できませんでした。

昨年、アメリカ赤十字社が対応した大規模災害は10年前の2倍近く。山火事やハリケーンなど、季節によって起こりやすい災害に限らず、通年でほぼ毎日のように気候災害に対処しているそうです。

血液不足は今年に限ったことではなく、気象災害の影響で献血者がガクンと落ちるのは、近年の傾向になってきています。

日本も各地で血液不足に

気候変動の影響で血液が不足しているのは、アメリカだけではありません。日本でも各地で猛暑の影響から、献血に協力する人の出足が鈍っています。

福岡県赤十字血液センターでは、記録的猛暑が続いたことによって、献血に訪れる人が非常に減っているといいます。

大分県赤十字血液センターも事情は同じで、猛暑献血にくる人が減っているそう。同センターは、きてくれないならこっちからと、献血バスを臨時出張させて、献血してくれる人を増やそうと努力しています。

さらに、愛知県赤十字血液センターによると、東海と北陸の7県では、猛暑の影響もあって、8月初めの1週間で約600人分の献血が不足する事態に陥ったそうです。

台風10号の影響を受けた福岡では、電車やバスが運転を見合わせる中、赤十字九州ブロック血液センターは、必要なものはなんとしてでも届けなければならないと、使用期限があって、手術などに必要な血液製剤を輸送しています。

温暖化が続いている間は、長期的に見て今年のような記録的猛暑に見舞われる日が増えていくと思われます。猛暑の時に開設されるクーリング・センターなど、暑いときだからこそ人が集まりやすい場所で献血キャンペーンを実施するといいかもしれないですね。

Source: American Red Cross

Reference: The Guardian, Scientific American, テレQ, NHK, Yahoo!ニュース / テレビ愛知, テレビ朝日