ソニー、AF速度/駆動音を改善して小型軽量化した「FE 85mm F1.4 GM II」
「FE 85mm F1.4 GM II」
ソニーは、G Masterレンズの新製品として、「FE 85mm F1.4 GM II」を9月20日より発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は30万円前後。発売に先駆けて、9月3日より予約受付を開始する。
2016年にG Master初の短焦点レンズとして発売された「FE 85mm F1.4 GM」の後継機。AF性能の大幅な進化と小型軽量化した点が特徴。
従来、解像/ぼけを含めた描写性能はポートレートレンズとして定評だった一方で、大きさ/重さといったメカ機構と、AF速度や駆動音について課題があったという。
今回、描写性能面ではさらに磨きをかけて、両立が難しいとされている高い解像度と自然なぼけ描写を実現。ED(特殊低分散)ガラスを2枚採用したことで、色収差を抑制し、ぼけの色つきとパープルフリンジの発生を抑制したという。ナノARコーティング IIにより、フレアとゴーストも効果的に抑制する。
課題となっていたAF性能は、重いフォーカスレンズ群を高速に駆動できる直動式アクチュエーターのXDリニアモータを採用し、進化した制御アルゴリズムとの組み合わせにより、駆動音を静音化しながら、AF速度は従来比約3倍高速化。
動体追随性も約7倍向上し、リアルタイムトラッキングAFの能力を最大限発揮できるという。α9 IIIの最高約120コマ/秒の高速連続撮影にも対応する。
動画撮影時の機能も強化。初代「FE 85mm F1.4 GM」はAF駆動音が大きかったこともあり「動画撮影用という認識はされていなかった」とのことだが、新型のFE 85mm F1.4 GM IIでは120fps動画撮影時でも、正確でスムーズかつ静粛なオートフォーカス駆動が可能。最新の光学設計により、フォーカス中の画角変動を抑制しているほか、αシリーズのブリージング補正機能にも対応する。
77mmのフィルター径はそのまま、体積は約13%小型化を実現。重量は従来の820gから約20%軽量化した約642gとなった。また、マウントにかけての根元の部分が細くなったことで、カメラのグリップを握った際に、レンズに指が当たりにくくなった。
そのほか、絞り値が固定できるアイリスロックを新装備。従来1ボタンだったフォーカスホールドボタンを2つ搭載した。レンズ表面には新たにフッ素コーティングを施し、指紋、ほこり、水滴、油、泥が付きにくいほか、付着しても簡単に除去できる。
最大撮影倍率はAF時0.11倍、MF時0.12倍。最短撮影距離はAF時0.85m、MF時0.8m。外形寸法は84.7×107.3mm(最大径×長さ)。重量は642g。従来よりも少し長くなった新型丸型フード、レンズフロントキャップ、レンズリアキャップ、ソフトケースが付属する。
Kando Tripで発表
発表が行なわれたKando Tripは、米国カルフォルニア州・サンタ バーバラで8月30日(米国時間)まで実施中。このイベントでは、様々な参加クリエイターと岸氏を含めたソニー社員が直接コミュニケーションを取り合い、この場での意見が新製品の開発に活かされることも多いという。
同イベントでは200種類以上の機材貸出も行なっており、FE 85mm F1.4 GM IIも発表直後からレンタルがスタート。即座にフィードバックを受けて、今後の開発に活かすとのことだ。
機材貸し出しエリアの様子
ソニー レンズテクノロジー&システム事業部 事業部長 岸政典氏コメントソニー レンズテクノロジー&システム事業部 事業部長 岸政典氏
前世代の「FE 85mm F1.4 GM」は、“ぼけと解像感の究極の融合”をテーマに開発が始まったGMasterレンズの象徴的なモデルでしたが、8年前の当時は、現在のようなリニアフォーカスモーターなどの技術がなく、重たいレンズを動かすために回転式のモーターを使って駆動していたため、AFの速度が最新のレンズと比較すると物足りないということで、アップグレードモデルを求める声が多くありました。
GMasterレンズの最初の1本で高価なモデルだったこともあり、その光学性能を妥協することなく、現代システムとマッチするようにAFの高速化や軽量化を図ることが非常に難しい課題となり、長い開発期間を経てようやく8年かけてアップグレードモデルとしてFE 85mm F1.4 GM IIを発表することができました。