パリ五輪で活躍も…なでしこ主力は「外した」 JFA下した最終判断、谷川ら選外の理由
コロンビアで開催されるU-20女子ワールドカップ(W杯)メンバー発表
日本サッカー協会(JFA)は8月14日、今月31日から9月22日までコロンビアで開催されるU-20女子ワールドカップ(W杯)に出場するU-20日本女子代表メンバーを発表した。
ヤングなでしこの愛称を持つチームは、日本サッカー史上“最高”となる標高2600メートルの高地決戦に臨む。
今大会は参加チーム数が「16」から「24」に拡大されて行われる。参加24チームは4チームずつ6つのグループに分けられ、各グループの上位2チームと3位のうち上位4チームがラウンド16に進出。その後、準々決勝、準決勝、3位決定戦、決勝が行われる。日本はアジア予選を兼ねた今年3月開催のU-20女子アジアカップで準優勝の成績を残して出場する。
狩野倫久監督は「失敗を恐れずにチャレンジしてアグレッシブに躍動する姿を世界に見せられるように、世界での優勝を目指していきたい」と目標を定める。一方で、この世代からパリ五輪に出場したMF谷川萌々子やFW浜野まいか、DF古賀塔子といった選手たちは、この大会がインターナショナル・マッチデーに開催されないことも含め「エントリーできる年齢でパリ五輪に入った選手は活動日数やコンディション、クラブとの関係からも、日本サッカー協会(JFA)とそちらを優先したほうが良いだろうということでエントリーから外した」と選出されていない。
グループリーグでE組に入った日本は3試合をコロンビアの首都ボゴタで戦うが、標高は約2600メートルの高地。狩野監督は「富士山の5合目や6合目にあたる。2011年にU-17男子がメキシコで試合をしたのが標高1900メートルほど。日本サッカーでも今までにない標高でやることになる」と話す。
そして「準備段階として環境適応、高所順化ということで約2週間前に入って慣らしていく。色々な議論をしてフィジカル、メディカル、JISS(国立スポーツ科学センター)やJOC(日本オリンピック委員会)とも話して、少しでも高所順化して慣らしていかないといけない。高山病にならず整えて心肺機能を作っていく」と、日本の総力を結集していると話す。
優勝を目標に設定、大会中の成長ポイントにも言及
WEリーグの各クラブに所属する選手がオフ明けにあたる時期にもなるが、「各クラブがプレシーズンでキャンプやトレーニングマッチをしているが、各クラブと連係してコンディションを作ってもらっている。各クラブも協力してもらって、幅広く準備をしてもらった。選手たち個人だけでなく、各クラブとの連携やサポートでコンディションを整えている」とも話した。
優勝を目標に設定した狩野監督は、育成年代の男子代表を率いて国際大会に臨んだ経験が豊富な森山佳郎監督(現ベガルタ仙台)の話からも「W杯を戦いグループステージからノックアウトステージ、ファイナルへというところでいくと、ノックアウトステージで一気にギアを上げる必要があると。グループステージで勝ち点を取りながらも、さらなる成長と積み上げをもとにノックアウトステージにいく必要がある。それがさらなる上にもつながると思う」と、大会中の成長をポイントに挙げた。
陸上長距離の選手たちが高地トレーニングを行うような環境での戦いに臨むヤングなでしこは、それらを乗り越えていくことができるか。グループリーグではニュージーランド、ガーナ、オーストリアと対戦する。JFAによると、試合の模様は国際サッカー連盟(FIFA)による「FIFA+」で配信される予定だ。(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)