似顔絵を囲むように花などで埋め尽くされた献花台=2024年6月30日、北海道旭川市の中央公園

写真拡大

 北海道旭川市で2021年3月、中学2年の広瀬爽彩(さあや)さん(当時14)が凍死体で見つかった問題で、市の再調査委員会(尾木直樹委員長)がいじめと自殺の因果関係を認めたことを受け、広瀬さんの母親は2日、不安を抱えながらも再調査に期待を託した1年6カ月の思いを弁護士を通じて語った。

【写真】「いじめ、なければ自殺せず」 「不明」を覆す 旭川中2・再調査委

     ◇

 ようやく、再調査の結果が出ました。1年6カ月は長い期間でしたが、爽彩の声を見つけるためにどうしても必要な時間だったのだと思います。

 本当に大変な調査をしてくださった再調査委員のみなさん、再調査を決断してくださった旭川市長、再調査を支えてくださった旭川市民のみなさん、そして温かい支援の手を差し伸べてくださった全国の皆さんに、心から感謝を申し上げたいと思います。爽彩に寄り添った対応をしていただき、本当にありがとうございました。爽彩も、きっと安心してくれたと思います。

 特に、難しい再調査を決断して、全国各地から専門家を集めたり、予算をつけたり、再調査を全面的にサポートしてくださった市長には感謝しかありません。市長の決断なしに今回の調査結果はなかったと感謝しています。

 再調査の中で、あのときのことを思い出すのは本当につらいことでした。聴き取りのとき、自然と涙がこぼれてしまうこともありました。眠れなくなることもありました。

 今も、爽彩と過ごしたときのことをなるべく思い出さないようにしています。あの(行方不明になった)2月13日、いつものように私を見送ってくれた爽彩のことが、ずっと心に残ったままです。思い出すたびにつらくなるので、自然と、あのときの記憶を消そうとしていたのかも知れません。

 でも、いつも明るく、優しい笑顔の爽彩を忘れることはできませんでした。思い出すたびに、また会いたい、またいっしょにお出かけしたい、と思います。

 今も、爽彩は心の中にいます。

 なぜ、どうして、と自分に問い続ける日々でした。でも、やっと答えが出た、そう受け止めています。とても辛い答えですが、しっかり受け止めたいと思います。

 爽彩がこれほどたくさんのメッセージをSNSでやり取りしていたとは知りませんでした。代理人の弁護士が調べると、当時のメッセージがたくさん残されていることが分かり、中にはいじめのトラウマに悩んでいるような内容がいくつもありました。私はつらくてすべて読むことはできませんでした。

 再調査委員会の分析で、爽彩がいじめのフラッシュバックで苦しんでいた様子が目で見て分かる形になっていて、こんな分析ができるのかと驚き、同時に、とても悲しい気持ちになりました。

 再調査委員会の皆さんは本当に爽彩のことを思い、真剣に考えてくれている、爽彩の視点に立って、爽彩に寄り添った調査をしてくれている、そう思えました。なので、弁護士のアドバイスを受けて、膨大な量のメッセージを集めて再調査のためすべて提出することにしました。医療情報も同じように、前回の調査では控えたものを含めて、すべての資料を提供しました。

 長くて辛い日々でしたが、再調査の結果は以前とまったく違うものになりました。これまで知らなかったいじめが見つかり、前の調査では認めてもらえなかったいじめも認定されました。ぼんやりしていたいじめの姿が、とてもはっきりと見えるようになったことに驚いています。

 そして、教室で受けたいじめがどれほど爽彩を孤立させたのか。性的いじめが、どれほど爽彩の心を傷つけたのか。そして、その傷がどれほど長い間、爽彩に苦しみを与え続けたのか。残酷すぎる現実に、胸がえぐられる思いでした。

 今回、このような調査結果を頂くことができたのは、再調査委員会のみなさんのおかげであると同時に、再調査を決断してくださった市長、支持してくださった市民の皆さんのおかげだと受け止めています。そして、全国からお寄せいただいた支援のおかげで、新たな資料を発見することができました。

 爽彩の母親として、この場を借りて心からの感謝を改めて申し上げたいと思います。

 重ねまして、みなさまのお力添えに心からの感謝を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。引き続き、みなさまのお声を励みに頑張っていきたいと思います。