この記事をまとめると

■EVの急速充電の料金形態は30分いくらという時間単位での課金

■テスラに関しては充電された電力量に応じた従量課金制を採用

■今後はCHAdeMOで従量課金を導入する可能性もある

初期のEVのバッテリーはいまの軽EVと同等の容量しかなかった!

 電気自動車(EV)の急速充電の料金形態は、「30分いくら」という、時間単位での課金になっている。

 2009年に、三菱自動車工業からi‐MiEVという軽自動車のEVが発売され、翌10年には日産自動車から登録車のリーフが発売され、EVの市販がいよいよはじまった。世界的には、その後のBMW i3や、テスラ・モデルSの発売はあったが、EVを本格導入する自動車メーカーは、当時まだ限られていた。

 上記の初期EVの車載バッテリー容量は、i‐MiEVが16kWh(キロ・ワット・アワー)で、リーフは24kWhだ。i3も、当初は22kWhで、いずれのEVもいまから見れば、軽EVの日産サクラや三菱ekクロスEV並の小さな容量だった。これであれば、30分も急速充電すれば、容量の80%近くを回復できる。このため、国内のCHAdeMOでの急速充電の課金は、時間単位で差し支えなかった。

 テスラのモデルSは、40〜85kWhの車種があり、もっとも小さな容量でも、先の車種の2倍近くあった。またテスラは、独自の充電方式を使うため、CHAdeMOと異なる料金体系で、ことに導入当初は無料で充電できた。その後、モデル3の導入に際し課金するようにしたが、充電された電力量に応じた従量課金をしている。そして、当初からCHAdeMOでの充電もコネクターを介して行うことができたが、その場合は国内仕様といえる時間課金での支払いになった。

 近年、欧州でのEV導入が上級車種から積極的に進み、モデルS並みの大容量バッテリーを車載する車種が増え、日本にも輸入されている。それに応じて国内のCHAdeMOの急速充電器も高出力化がはじまり、同じ30分の充電でも、充電器の性能次第で電力量に差が出るようになった。こうなると、時間単位での課金制度は、容量の小さな小型バッテリーを車載するEVが損をすることになりかねない。

 また、大容量のバッテリーを積むEVを利用する人は、充電料金の多少より、短時間で大電力を充電できることを望み、より高額の代金を支払ってもよいと思うようになるはずだ。

今後は従量料金制を導入した充電器の導入も検討されている

 本来であれば、テスラが進めてきたように、従量料金制が正当だ。ただしこの場合、どれだけの電力が充電されたかを、急速充電器とEVの相互通信により、確認する必要がある。時間課金なら、急速充電器の時間管理だけで済むが、従量課金になると、EVに充電された電力量の確認が不可欠だからだ。

 テスラは、これまで自社のEVを対象としていたので、充電器もEVも自社開発のプログラムで課金管理ができた。一方、多種多様なEVが充電を行うCHAdeMOでは、従量課金への変更手続きが充電器側もEV側も必要になる。そこは国内で急速充電の普及を進めるe‐MobilityPower社も理解しており、今後は、従量課金への移行を検討していくはずだ。

 それに際し、充電口に充電用の接点と別に通信用の接点を設けているCHAdeMO方式は、改善を可能にする仕組みを当初から設定しており、EV時代の本格化を迎える備えはできていることになる。