「水菜」は栄養がなさそう?→管理栄養士「実は緑黄色野菜です」 最も豊富な“意外な栄養素”とは
シャキシャキ食感とみずみずしさが特徴的な「水菜」。生のままサラダや和え物に使ったり、スープや鍋料理に入れたりと、さまざまな調理法で活躍する野菜です。一方で、栄養価については疑問を持つ人もいるようで、「水菜の栄養って何…?」「水菜といえばこれっていう栄養素が思い浮かばない」「正直、あんまり栄養がなさそう」といった声も聞かれます。
水菜に含まれる栄養は多いのでしょうか、それとも少ないのでしょうか。管理栄養士の岸百合恵さんに聞きました。
鉄、カルシウム、食物繊維も多い
Q.そもそも「水菜」とはどんな野菜ですか。
岸さん「水菜は『京菜』とも呼ばれている、京都府原産の野菜です。アブラナ科の野菜で、霜に当たると味がよくなるので、京都では『水菜が並ぶようになると冬本番』といわれています。
シャキシャキとした歯切れのよい食感で、クセの少ない味わいです。特有の香りと辛みが、肉や魚の臭みも程よく消してくれます。鍋に使われることが一般的でしたが、現在ではサラダや和え物など生で食べることや、和食以外の料理に使用されることも多くなりました」
Q.「水菜は栄養が少なそう」という声も聞かれますが、実際のところ、水菜にはどんな栄養素が含まれているのですか。
岸さん「水菜は、β-カロテンを1300マイクログラム含む緑黄色野菜です。その他にもカリウム、カルシウム、鉄、ビタミンC、ビタミンB群、食物繊維などをバランスよく含んでいます。
100グラムあたり23キロカロリーと低カロリーではありますが、同じく緑黄色野菜であるホウレンソウと比較して、鉄と食物繊維は約1.1倍、カルシウムは約4.3倍、ビタミンCは約1.6倍含まれています(日本食品成分表2020 8訂)。
βカロテンやビタミンCが含まれることで抗酸化作用が高い上、体内で酸素供給の役割を果たす鉄や、骨や歯の構成成分であるカルシウム、便秘や生活習慣病を予防する食物繊維も多く、水菜は非常に栄養価の高い食材といえます。
しかし、カリウムや葉酸、ビタミンCは水溶性の栄養素であるため、ゆでたり、水にさらしたりすると流れ出てしまいます。一方で、β-カロテンや食物繊維は脂溶性の栄養素です。加熱すると水分が出てカサが減り、多く食べることができるため、脂溶性の栄養素は加熱した方が効率的に摂取することができます」
Q.水菜の栄養を効率よく摂取できる「お勧めの食べ方」や、注意点とは。
岸さん「栄養を逃がさず摂取するなら、生で食べるのがよいでしょう。ただし、汁ごと食べられるスープや鍋といった加熱する調理法なら、水溶性で流れ出た栄養素も一緒に摂取することができますし、カサが減ることで量をたっぷり取ることもできます。
先述したように、水菜に多いβ-カロテンは脂溶性の栄養素なので、油と一緒に調理すると吸収率が増します。さっと油で炒めるのもいいですし、生で食べる場合は油が入ったドレッシングやごま油、マヨネーズなどを利用するとよいでしょう。
鉄分も比較的多く含まれますが、植物性の鉄の吸収率はあまり高くないため、動物性のタンパク質と組み合わせたり、味付けにレモン汁を使用してビタミンCをさらにプラスしたりすると、鉄の吸収を助けてくれます。
また、カルシウムを効率的に摂取したい場合は、ビタミンDの多いサケやキノコ類と一緒に調理すると、吸収率が高まりますよ」