重窃盗と通信詐欺で禁固20年の可能性も? 水原一平氏の違法賭博、専門家に聞く捜査の行方
報じられた450万ドルとは別に、未返済の借金があると現地で報じられた水原一平氏(39)。連邦当局による捜査も着実に進展しており、賭博業者のみならず水原氏もまた重罪に問われる可能性が否めないというのだが……。
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疑惑をいち早く報じた「ロサンゼルス・タイムズ」によれば、水原氏はソウルで解雇された後、LAに戻るチームのチャーター機には搭乗せず、「自力で帰宅」することになっていたという。在米ジャーナリストが言う。
「FBIやIRS(内国歳入庁。日本の国税庁に相当)の捜査対象となっている胴元のボウヤーは、すでに昨年10月に家宅捜索を受けており、現金や高級ブランドの腕時計・バッグなども押収されています。現在、これらの連邦政府機関に、サイバー犯罪やマネーロンダリングなど金融犯罪を捜査するHSI(国土安全保障捜査局)も加わり、合同捜査が進んでいます」
マネロンに関与したと疑われる可能性
HSIは、2001年の同時多発テロを受け、国内の治安維持を目的として創設されたDHS(国土安全保障省)の国際犯罪を捜査するセクションだという。カルフォルニア州弁護士の資格を有する東町法律事務所の村尾卓哉弁護士が言う。
「ボウヤー氏は、違法な賭博で稼いだ資金をロンダリングしていた疑いがあります。米国内での資金洗浄であればIRS、国際的な案件であればHSIが捜査することになります。仮に水原氏が、ボウヤー氏の目的を知りながらマネロン用の口座に送金していたとすれば、マネロンに関与したと疑われるため、それに関連して捜査対象になる可能性もあります」
渡米後の全記録も
その一方で、
「450万ドルを送金した件については、州法の重窃盗罪や連邦法の通信詐欺罪に問われるおそれがあります」(同)
それぞれ「禁固3年以下または1万ドル以下の罰金」「禁固20年以下または25万ドル以下の罰金」となるのだが、
「今回の件は、スポーツの中立性や信頼性を揺るがす大スキャンダル。社会的影響や送金額を考慮すると、州ではなく連邦の管轄事件になる可能性が十分ある。通信詐欺罪は、詐欺行為ではなく詐欺のための州間通信行為を罰するもので立証が比較的容易。イメージとしてはオレオレ詐欺で犯人が『オレだけど』と電話した時点で犯罪が成立します。こうしたことから、通信詐欺罪を念頭に捜査が進んでいくと予想します」(同)
とはいえ、ことは一朝一夕には解決しないという。水原氏は21年にボウヤーと出会ったと証言しているのだが、
「18年に渡米して以降の大谷選手の口座の全記録を確認し、不正送金の疑いがある項目を洗い出した上、それぞれの送金にどの端末が使われたのか、また当時、大谷選手と水原氏がどこにいたのかなど、細かく調べることになるでしょう」(同)
余罪も視野に“徹底捜査”がなされるというのだ。
6カ月以内に起訴に関する決定がなされる?
元連邦検察官でカリフォルニア州弁護士のジョン・カービー氏に聞くと、
「米国では多くの人が違法賭博を行っており、当局は通常、見て見ぬふりをしている。ただし注目度の高い人にまつわる報道が多い場合、当局はしばしば行動を起こします。今回の捜査は終結までに日数を要するでしょうが、今後6カ月以内に起訴に関する決定がなされるのではとみています」
水原氏と“絶縁”した大谷は、シーズンを通して悩まされることになりそうだ。
「週刊新潮」2024年4月11日号 掲載