3月20日(水・祝)に公開される『映画おしりたんてい  さらば愛しき相棒(おしり)よ』で、主人公・おしりたんていのかつての相棒で、ミステリアスなスイセン役を演じている仲里依紗さん。映画の見どころや、ご家族や人気のYouTubeのことなど、いろいろと伺いました。

仲里依紗さん『映画おしりたんてい さらば愛しき相棒(おしり)よ』インタビュー

――仲さんが演じられたスイセンは、おしりたんていのかつての相棒。10年ぶりにおしりたんていの前に現れ、世界的な絵画の贋作すり替え事件の調査を依頼します。しかし、彼女には別の目的があり、おしりたんていに絶体絶命の危機が迫る!

【写真】クールな表情が印象的な仲里依紗さん

仲里依紗さん(以下、仲):おしりたんていは、息子に読み聞かせていたんです。私にとってもいい思い出なので、そういう作品に出演できて、うれしかったです。おしりたんていって子ども向けだと思っていたのですが、今回の台本を読んでみたら、結構深い話で。まずそれにびっくりしました。大人が観ても楽しめる、しっかりしたミステリーになっているし、人と人のお芝居の部分、たとえば“おしりくん”とスイセンの揺れ動く心とか、二人の心境もちゃんと描かれていて。

スイセンは過去と現在で二面性があって、きっと観ている人もびっくりするぐらいキャラクターが変わるんです。撮影中も「彼女にどういうことが起きて、こうなっているんだろう」って、そこは考えながらやっていました。

もともと自分の声が大嫌いだった

――仲さんの「おしりくん」の言い方がかわいかったです。今回もですが、多くの人が仲さんを知るきっかけになったアニメーション映画『時をかける少女』も声優のお仕事でしたね。

仲:初めての長編映画で、もともと自分の声が大嫌いだったんです。うちの母から「アンタの声で役者なんかできるわけない」って言われていたので。うちの母、YouTubeだと、ほわっとしたお母さんに見えるけど、そういうこと言っていたんですよ。なんであんな冷酷なひと言を…絶対なにかに取りつかれていたと思います(笑)。

あの作品で初めて自分の声をほめられたので、それはすごく大きかったです。自信なんてまるでなかったですが、やっぱりほめてもらうっていうのは、すごく自信につながるし、人生を大きく変えるなと。だから、自分は子どもにそういうこと言うのはやめようと思いました(笑)。

――自信がなかったなんて意外です。

仲:小学校のときなんて人前に出るのも嫌だったし、合唱コンクールも歌いたくなかったから、ピアノを弾いていました。あと、電話も苦手で。緊張するから、全部言うことを紙に書いてから友達の家に電話していました。

それは今も同じです。仕事が始まると楽しいって思うんですけど、始まる前はドキドキするんですよ。電話と一緒で。遠足とか、学校とか、あるあるですよね。友達とのごはんも行ったら楽しいのに、行く前は、なんかちょっとなぁ〜って。結果、行ったら楽しいんです。人生そんな感じです(笑)。

「芸能人だって、みんなと一緒だよ」と伝えたかった

――ところで仲さんは、2020年から始められたYouTubeも人気ですね。俳優さんには珍しいぐらいプライベートを公開されています。

仲:YouTubeは楽しく観ている側だったので、「こういうおもしろいコンテンツができたらいいな」というのもあったし、一般の方の芸能人へのイメージって、雲の上の存在みたいな感じで。「いやいや、ものすごいごちゃごちゃしているキッチンで毎日、料理していますから」って言いたかったんです。芸能人だって、みんなと一緒だよって。大していい思いしていないよって(笑)。そうやって公開することで、元気になってくれたらいいなって。

――仲さんはご両親のことも名前で呼ばれていて、息子さんに接するときも、少なくともYouTubeの中では、お母さんを演じるというより、仲さんのままですよね。皆さんがありのままの仲ファミリーなのが魅力的です。お母さんの役割の中で、結果的に自分が後まわしになってしまうことも多いと思うので。

仲:ちびまる子ちゃんの家族みたいですよね。たしかに、みんなキャラが濃くて、自由に自分の好きなことしていて。父はとにかく自分の好きなことをしている人で、母は逆のタイプ。友達と遊びに行ったりもしないし、ずっとパパと一緒にいます。パパはママがいないとダメだから。

結婚すると、それまで見えなかったことが見えてきて、相手に対して「なんでこうしてくれないんだろう」っていうことが、すごくたくさん出てくると思うんです。でも、相手に対しての期待は、諦めた方が絶対にいいと思う。イライラするだけだし、それは時間の無駄だから。自分がやれることはやるし、相手に求めすぎないことがいちばんなんですよね。それはお互いに。私も求められても、できないよって言うし。

夫には「私、勝つまでやるからね」って言ってます(笑)

――読者の方の悩みでも、夫に家事をやってもらうにはどうしたらいいんだろうというのが多いようです。どうしたら、気持ちよくやってくれるんだろうって。

仲:永遠のテーマですね。だけど…別にほめたくもないんですよね。だって別に、私がなにかを片づけても、ほめられるわけじゃないですか。なんでアナタがやっただけで、私がほめなきゃならないの? って正論をぶつけまくる感じですけど(笑)。

私、口げんかって負けないんですよ。もうラップバトルみたいな感じで、ああ言えばこう言うがスゴイから。「私、勝つまでやるからね」って夫には言ってます(笑)。だから、みんなも負けないでって思います。

なにかいい方法は…言い続けるって、どうですか。ため込まない。「求めること」と「言うこと」は違うから。(かわいく早口で)「別に求めてないですけど、家事をしてください、あ、口から出てしまいました」って一生言う。これでどうでしょう(笑)。

【作品情報】

『映画おしりたんてい さらば愛しき相棒(おしり)よ』

原作:トロル
監督:セトウケンジ
脚本:高橋ナツコ 成田 順
音楽:高木 洋
声の出演:三瓶由布子 齋藤彩夏 櫻井孝宏 杉村憲司 池田鉄洋 小西克幸 中村まこと 渡辺いっけい
ゲスト:仲里依紗 津田健次郎 二又一成