大量に余った「カレー」どうする問題:高橋久美子さん流アレンジ「ビリヤニだってつくれる」
作家・作詞家として活躍する高橋久美子さんによる暮らしのエッセー。カレーをつくりすぎた日、悩ましいのが翌日以降の食べ方です。高橋さんが、飽きないために実践しているレシピについてつづってくれました。
「カレー七変化!」
野菜が家にたっぷりあったので、大量のカレーを作った。何種類かのスパイスやショウガを油でよく炒めて、そこに、ニンジン、タマネギ、ジャガイモに、カブを入れて、鶏ガラスープと煮込んでいく。そして、半分はハンドミキサーでつぶして、半分は固形のままで残す。
うんまい! その日の気分や、家にある野菜でカレーの味は変わっていく。トマト缶を入れて煮込むこともあるし、ひき肉や、豆を入れたりも。つまり、スパイスと一緒に煮込んでしまえば、なんでもカレーになっちゃうのだ。
その国や家庭で、味も盛りつけも異なるカレーは、簡単で奥深く、正解のない食べ物だなと思う。
しかし、たくさんに作りすぎた。おいしいけど、3回食べたらそろそろ飽きてきたわ。
翌日はやっぱり定番カレーうどん
翌日の昼、定番のカレーうどんにしよう、ということになる。それがええ。それがええ。小鍋にお湯を沸かしまして、たっぷりの鰹節を入れて出汁をとり、そこにお醤油を混ぜ混ぜ。塩梅をみながら、出汁を昨日のカレーと合わせ、ぶくぶくと沸かしたところへ、水溶き片栗粉を回し入れる。これで、とろみがついた。
出汁醤油のいい香りと、カレーのスパイスが混ざり合って、これはたまらないねえ! つやつやに輝くうどんを丼に盛ると、出汁カレーを麺が隠れるくらいたっぷりとかけてやる。
うまい! うますぎる! この和風味がカレーに加わることで、インドと日本の素晴らしいハーモニーが奏でられる。
さて、3日目である。出汁カレーはしっかりまだ残っている。むしろ、出汁を加えたことで、増えた気さえする。今日は、これをご飯にかけて食べるのさ。ありです、これも十分ありなんです。うどんで美味しいということは、この出汁カレーはあったかご飯にかけても最高においしいのですよ。カレー丼ですね。
微妙に残った出汁カレーはビリヤニ風に
迎えた、4日目の朝である…。
どうする、鍋の底に微妙に残った出汁カレー。ご飯を鍋に投入して混ぜ混ぜしたのを、食べたことのある人も多いのでは? あれ、見た目もそそられないのよねえ。子ども心に、「出た! お掃除カレー!」と思っていた。
そこで、ビリヤニを思い出す。みなさんご存知でしょうか、ビリヤニ。パエリアのカレー版という感じなんだけれど、定義としては、生米から炊き上げるのでなくて、半生の米とカレースープやスパイス、野菜を一緒に炊き込んだものらしい。
私は数年前に、初めて友人に食べに連れてってもらって、おいしい!!! とびっくりした。スパイスライスかなと思いきや、具がどっさり入っていることにも驚いた。なるほど、これは、インドの炊き込みご飯なんだなあ。
お掃除カレーを、もうちょっと美味しそうにやればビリヤニになるんじゃ…。いや、もう胸を張って和風ビリヤニと言ってしまえばいいのだ。堂々とやってしまえば、何だって正解になる。
ということで、私は、カレー出汁の残った鍋に温かいご飯を入れて、そのご飯を鍋の中でよく混ぜて、次にフライパンに入れて水分を飛ばしながら炒めた。日本の米なうえに、出汁カレーに混ぜたので、やっぱり水分は飛びきらない。
もぐもぐ。レストランで食べたビリヤニとは別物ではあるけど、これは、あの最後の混ぜカレーとも一味違う。カレー風炊き込みご飯だな。そこにチーズを削ってのせると、アクセントになって、うん、悪くないぞ!
ということで、カレー七変化の4日間だった。もう、しばらくはカレーはいいわと思っていたけれど、書いているとまた食べたくなってきた。今度はビリヤニからスタートしてみようかなあ。