一宮JCTと名古屋港を南北に結ぶ「一宮西港道路」の計画が進んでいます。今回は3つのルート帯案が示されました。

名二環の外側に新たな環状道路

 名古屋の西側を南北に結ぶ「一宮西港道路」の計画が進行中です。どのようなルートになるのでしょうか。


一宮西港道路とルートが重なる西尾張中央道。2022年6月撮影(画像:国土交通省中部地方整備局)。

 一宮西港道路は、愛知県西部の一宮市から弥富市までを南北に結ぶ地域高規格道路です。名二環の西側に位置し、名神高速と東海北陸道が接続する一宮JCTと、伊勢湾岸道を結びます。

 期待される機能としては、名二環の混雑緩和、名古屋港への南北アクセス向上、道路網強化などが挙げられます。

 名古屋港や伊勢湾岸道と東海北陸道を結ぶルートは現在、一般道の西尾張中央道がありますが、一宮西港道路の整備により大型車のシフトや混雑軽減が見込まれています。

 道路計画をめぐっては、2022年3月に開かれた名古屋都市圏環状機能検討会で名古屋都市圏の今後の方向を取りまとめ、一宮西港道路の概略ルート・構造の検討に着手することを公表しました。

 2023年2月の第1回計画段階評価では、計画ルート周辺の現状や課題、政策目標などを検討。さらに地元住民からは、「伊勢湾岸道、東海北陸道、東名阪道を1直線でつないでほしい」「西尾張中央道と、その周辺道路は信号が多く、混雑が目立つ」「(県西部は)交通の要衝であり、産業発展の拠点として期待が高いのに、長年道路整備が追いついていない」といったアンケートの意見も寄せられたといいます。

いずれも1兆円超え! 一宮西港道路のルート帯案

 2024年3月7日に行われた第2回計画段階評価では、これらの検討を踏まえ、3つのルート帯案が示されました。道路はいずれも設計速度100km/hの自動車専用道路です。

「東側ルート」は西尾張中央道の上に高架の道路を通す案です。東海北陸道と名古屋港を最短の約27kmで結びます。コストは約1兆2500億円〜1兆5000億円です。

「中央ルート」は海部地域の概ね中央部に新設の道路を通す案です。延長は約28km。コストは「東側ルート」と同じ約1兆2500億円〜1兆5000億円です。

「西側ルート」は国道155号の上に高架の道路を通す案です。西尾張や海部地域西部の高速アクセス性に優れます。延長は約30km。コストは約1兆3500億円〜1兆6200億円です。

 このいずれかで一宮西港道路が整備されると、一宮JCTから名古屋港(鍋田交差点)までの所要時間は、現在の約65分から、約16分〜18分に短縮される見込みです。

 今後は、このル―ト帯3案の比較・検討に際して重視・配慮すべき項目などを把握するため、再びアンケート調査が行われます。

 その後、アンケート結果や有識者委員会での検討などを経て、ルート帯の決定、都市計画・環境アセスメントの手続きなどへと進んでいきます。

 なお、伊勢湾岸道の南側では、名古屋三河道路の構想も動き出しています。この道路は伊勢湾岸道から東名高速までを東西に結ぶものですが、このうち西知多道路から国道23号名豊道路までが優先整備区間に設定され、ルート帯案の検討が進行中です。

 一宮西港道路と名古屋三河道路が全線にわたって開通すると、名二環の外側に新たな環状道路が形成され、東京から岐阜・米原方面へ抜ける際の新たなルートになりそうです。